大幅に上昇中の東京株式市場。だが、2月と6月の「1円違いのW底」を「大底」として大相場が始動したか?と言えば、本稿では依然、これは中間反騰だという見方をとる。(山崎和邦)
※本記事は、有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く2016年11月27日号の一部抜粋です。今月分すべて無料の定期購読はこちらからどうぞ。
「大相場がやってきたわけではないぞ。どんどん売っておけよ」
忘れられない経験則
1964年東京オリンピックのときは、その3年3カ月前の1961年7月に1,822円の史上最高値をつけ、翌年1962年10月に1,216円まで33%下がった。そして中間反騰は、この1,216円から1,634円(1963年4月)まで、大天井からの下落幅606円の68%を戻した。
筆者は、この「68%戻し」という壮大な中間反騰を鮮明に記憶している。
当時の筆者は野村證券入社後3年目であったが、隣の課の課長が(68%も戻ったのに)、
「これは中間反騰だぞ。大相場がやってきたわけではないぞ。どんどん売っておけよ」
と連呼していたことを思い出す。
筆者はそれをまったく半信半疑で(むしろ濃い疑いを持って)聞いていたが、結果はまさしく課長の言う通りであった。相場はその後2年間、下がり続けた。
これが筆者の「半値戻しは全値戻し」はウソだと知った原体験だった。ちなみに「半値押しは全値押し」もウソだと知ったのは、1966年10月ポンドショックの6割安である。これはやがて2倍半になる大相場の中間反落に過ぎなかった。
1962年10月安値から1963年4月戻り高値までの中間反騰
現在の相場に当てはめると?
これを現在に当てはめ、昨年6月20,952円→今年6月14,864円(30%安)の中間反騰とすれば、14,864円+下げ幅の68%=19,003円となる。この価格は(たまたま大和証券が言っているところの)「PER15倍、1ドル110円ならば19,000円」とも合致する。
68%戻しを今局面にあてはめる
ただし、ここで意地悪な言い方をすれば、ファンダメンタルズ上の理屈で出した数値がチャート上のそれと合致するときは、往々にして予想が的中しないものだというジンクスもある。25日騰落レシオやTOPIXの連騰は、短期的には相場の過熱を示唆するものの、中期的には上昇トレンド入りを示唆していると言える(騰落レシオが140%台の過熱圏まで上昇すると、1カ月弱は佳境を迎えることが多かった)。長い膠着時代の因縁場を次々と抜いて、7月以降の上向き三角保ち合いの計測値では、まずは19,000円を視野に入れる可能性は高い。
では、2月と6月の「1円違いのW底」を「大底」として大相場が始動したか?と言えば、本稿では依然、これは中間反騰だという見方をとる。
万年強気で人気を博している大和証券の木野内氏でさえ、「まずは19,000円、春ごろに20,300円」と言っている(つまりは「中間反騰だ」と言っている)。
彼らには強気を言わねばならない宿命があるから、いっそ「本格反騰の始動だ」「NYが史上最高値を示現したから日本もそれに続く」「すなわち1989年の38,915円を超えてくるであろう」くらいのことを言えないものか?
ともあれ、1964年の東京五輪前後の例を取れば、相場はその3年3カ月前が天井だった。これを現在に機械的に当てはめれば来年4月となり、トランプの大統領就任後100日間(ハネムーン期間)の終了と合致することは前回記事で述べたとおりである。
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メルマガ愛読者Hさんからの質問
初めてメールを差し上げます。佐賀県のHと申します。よろしくお願いします。 先生の著書『賢者の投資、愚者の投資』でメルマガ『投機の流儀』を知り、拝見するようになりました。
さて、現在米国大統領選が終わり、予想外の結果から、米国内の財政投融資が拡大すると予想されNY株価が急伸し、これに引っ張られるように東京市場も大幅に上昇しております。
しかし、東京市場を米国ドル換算のチャートに置き換えてみて驚きました。 円ベースでのチャートは急上昇しているものの、ドルベースのチャートは横ばいないしはやや右下がりとなっています。これは急激なドル高によるためですが、外国の投資家はこれをどのように判断するでしょうか?
NY市場は高値更新したといえ横ばいになっていますし、東京市場は25日騰落レシオも140%に近づこうとしています。またドルベースのチャートでは上ヒゲもかなり目立ちます。海外投資家の売却による急激な下降が起こるのではと感じております。先生のお考えをお教えください。
山崎和邦氏の回答
海外から見れば、ドル安だった大統領選挙前のドル建て日経平均株価は、決して割安なレベルではありませんでした。為に、ご存知の通り売り越してきましたが、現在は当時より割安に見えましょう。以下にチャートを示します。
ドル建て日経平均
また、私が以前から述べてきたとおり、NY株式市場は決して若くはありません。長期で見れば三段上げを終えているはずで、逆ソーサ型大天井の可能性もあり得ましょう。
そして、海外投資家の売りによる急落の可能性は常にあり得ましょう。 ただ言えることは、下値はそんなに深くはないでしょうということです。25日騰落レシオは140%→150%と進む時が相場も勢いよく上昇するものです。ただ問題は、25日線との乖離が浅いく整理局面を読みにくいことです。
年足陽線となれば5年連続陽線に
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『山崎和邦 週報「投機の流儀(罫線・資料付)」』(2016年11月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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