近い将来、存在している職業の半分が無くなると言われています。では、その影響で失業者が増え、社会不安が起きるのでしょうか? その答えはノーです。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
近づく「第四次産業革命」人工知能はどんな変化をもたらすか?
2020年から2030年にかけて起こる変化
世界4大会計事務所の1つ「EY総合研究所」が2015年9月15日に公開したレポート『人工知能が経営にもたらす「創造」と「破壊」(PDFファイル)』には、2020年から2030年にかけて産業ごとにどんな変化が起きるのかが大まかに書かれています。
このレポートを元に産業ごとの未来予想をまとめると、以下のようになります。
<運輸>
・トラックの自動運転化が進む
・タクシーの自動配車・自動運転化が進む
→ 公共交通機関並みの低料金になる。
<卸・小売>
・顧客の顔認証でパーソナルデータに基づいた広告提供や顔パス決済が普及する
<製造>
・ロボット制御セットアップの簡素化(ティーチングの軽減)が進む
<土木・建設>
・建設機械の自動オペレーション化(がれき撤去も)が進む
<金融>
・アルゴリズム・トレード(超高速取引)が普及する
・個人の信用度推計機能による賃借が拡大する
<生活>
・コールセンターが自動化される
・職業紹介業、清掃、警備などのロボティクス化が進展する
<広告>
・アド・テクノロジーと呼ばれる広告配信・流通のためのビジネス領域において、人工知能の活用が拡大する
<情報>
・クラウドのAI関連市場が拡大する
・ソーシャルメディア等の監視、内部情報漏えい等に対する監視システム機能の利用が拡大する
<電気・ガス・通信>
・電力取引市場において、人工知能の利用が拡大していく
<医療>
・医療助言アプリが普及する
・手術支援ロボットが2020年代に本格的に普及する
・遺伝子解析や新薬開発等の支援システムなどが大きな市場として期待される
<エンターテインメント>
・旅行業において添乗員の代わりをするアプリ、ペットの体調管理等のシステム、興行場における来客監視やイベントの発生タイミングを最適化するシステムが登場する
<教育>
・自主学習を支援するシステム、教員用の授業サポートを行うシステムが登場する
ほぼ例外なく、全産業において人工知能が深く浸透してくることがわかると思います。
技術の発達によって人間の仕事が奪われる?
近い将来、存在している職業の50%程度はなくなってしまうと言われています。その予言をしているのは、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授です。
米国労働省のデータに基づいて、702の職種が今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを分析しました。その結果、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至りました。この研究結果は2014年に発表されたものなので、ターゲットになっている年は2024年~2034年となります。
その影響で多くの人が失業してしまい、社会不安が起きるのでしょうか?
EY総合研究所は「AI失業で社会不安が起きる」という点については、明確に否定しています。
Next: 私たちが「AI失業」を心配しなくてもいい理由
歴史上、産業革命によって社会不安に至った例はない
人工知能が人間の仕事を奪ってしまい、(AI失業によって)社会不安が起きるのではないかという懸念について、次のように書かれています。
歴史に学ぶ1つの示唆として、職業分類の変遷を追いかけてみたところ、これまでにも既にかなり多数の職業分類が消滅してきていることが分かっている。職業分類が無くなることは、少なくとも統計情報を取得する意義が薄れてくるほどに、その職業についている人口が少なくなってきたことを示唆している。
しかし、これらの変遷に伴い、社会不安などに至った例は報告されていない。むしろ、経済学的に通常と捉えられている「恐慌」「不況」「経済停滞」による雇用への悪影響の方がはるかに深刻であると考えられる。
人類はこれまでに産業革命を合計で3回、経験しています。
<産業革命の歴史>
その時に多くの人が失業してしまい、大きな社会不安が起きたという話は聞いたことがありません。
例えば、20世紀の初めには米国では40%の人が農業に従事していました。20世紀の終わりには2%にまで減っています。それでも、社会全体の失業率は5%前後でほぼ同じです。
農業以外の新しい仕事が生まれたため、テクノロジーの進化によって仕事がなくなったからといって、失業率が40%に達することはありませんでした。
2020年代から始まる第四次産業革命でも今までの歴史をなぞって、デメリットよりもメリットの方が大きい可能性が高いと考えた方が良いでしょう。
さらに「タスクごとに人工知能の進化速度が異なる点」にも注意する必要があります。コンピューターがそのまま一気に人間の代替になるわけではありません。
人工知能が担う「3つのタスク」とは
人工知能と一言でいっても、実際はタスクごとに分かれています。
・四則演算
・自動運転
・文学作品の理解
四則演算については、1960年代にコンピューターが人間のレベルを超えています。電卓の登場によって、私たちは「計算する」という作業をコンピューターに外注できるようになりました。
<【四則演算】人工知能の進化速度>
出典:EY総合研究所
第四次産業革命で実現がほぼ確実視されているのが「自動運転」です。2030年頃には、自動車は人間が運転するものではなく、コンピューターが運転するものになっているでしょう。
<【自動運転】人工知能の進化速度>
出典:EY総合研究所
この完全自動運転によって社会不安が起きるとは考えにくいと思います。自動車での移動が公共交通機関並みの低料金になります。私たちはAI失業というデメリットを上回る経済的なメリットを受け取ることになるでしょう。
そして、最後にこちらのグラフをご覧ください。
<【文学作品の理解】人工知能の進化速度>
出典:EY総合研究所
現時点では人間のロジックやナレッジを再現できる人工知能の到来は、まだ先のことだと考えられています。
例えば、人間はリンゴの落下を見て、重力を発見できました。なぜこのような発見ができたのか? …人間の脳にはまだまだ未解明な謎が多く残っています。
今のAI技術は統計的・確率的手法に頼っているのが現状です。そのため、人工知能には今の所、感情がないので、文学作品を読んでも、喜んだり悲しんだりすることはできません。
喜怒哀楽を読み取る人工知能は、例えば「人間は怒っている時、こういう動作をする傾向が強い」というふうに統計的・確率的手法で検知しているだけです。人工知能に感情があるわけではありません。
Next: 人間の労働は今後、よりクリエイティブな方向へシフトする
人間の労働は今後、よりクリエイティブな方向へシフトする
最も社会的にインパクトが大きいとされる自動運転は、統計的・確率的手法によって実現しています。
人間が運転する場合、交通ルールに則って、A地点からB地点に自動車を移動させます。ここにオリジナルな発想性が要求されることはほとんどありません。統計的・確率的手法でなんとかなるため、自動車の運転という分野は人工知能に任せられるのです。
今までも人類は機械化によって単純労働から解放されてきました。2020年代から始まるAI革命はこの延長上にあるものです。人工知能が浸透してくれば、人間の労働は単純労働からよりクリエイティブな労働にシフトしていくことでしょう。
このこと自体は別に悪いことではなく、むしろ、喜ぶべきことです。過去の歴史に学ぶと、これから新しい仕事が猛スピードで生まれてくることはほぼ確実だと言えます。
人間がコンピューターに支配されるという世界は、今の所、SF映画の中だけの話なので、アンテナを張り巡らして、到来するチャンスに焦点を合わせていきましょう。
『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年8月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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