今回は、「新興国投資」についてお送りします。新興国投資と言えば、その多くは不動産投資を指しますが、たとえ物価が違っても、不動産購入となると「決して安くはない買い物」となります。不動産は「気軽に返品」とはいかないモノだけに、「どうしたら失敗しないで済むか?」というのが、大方の悩みになるでしょう。
この特集でお伝えしたいのは、「ここに投資すれば確実です」とか「今なら楽してお金が手に入ります」といったことではありません。そうではなくて、「なぜ、世の中には投資で成功する人としない人がいるのか?」「投資で成功できる理由とは何なのか?」ということを、事例を挙げてお伝えできればと思います。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年10月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
第一人者が明かす、成功と失敗を分かつものとは?新興国投資(上)
新興国投資に「確実」など存在しない
あなたは、新興国投資と聞いて、どのようなイメージをお持ちになるでしょうか?「ハイリスクハイリターン?」「高い成長率に乗じて稼げる投資先?」等々。
日本でも、投資が注目されるようになった昨今において、ほとんどリターンのつかない日本の商品に代わって、最近、とみに注目されているのが新興国への投資です。とはいえ、「新興国なら何でも儲かるのか?」「何を基準に選べばいいのか?」など、疑問は増すばかりなのではないでしょうか。
そこで今回は、「新興国投資」についてお送りします。新興国投資と言えば、その多くは不動産投資を指しますが、たとえ物価が違っても、不動産購入となると「決して安くはない買い物」となります。不動産は「気軽に返品」とはいかないモノだけに、「どうしたら失敗しないで済むか?」というのが、大方の悩みになるでしょう。
この特集でお伝えしたいのは、「ここに投資すれば確実です」とか「今なら楽してお金が手に入ります」といったことではありません。そうではなくて、「なぜ、世の中には投資で成功する人としない人がいるのか?」「投資で成功できる理由とは何なのか?」ということを、事例を挙げてお伝えできればと思います。
1. 新興国の投資神話は実在するのか?
本特集の事例として取り上げるのは、フィリピンで今、もっとも注目されている第3の都市・ダバオです。私が運営しているマネースクールでは、この地で日本人の不動産業者として、もっとも早くダバオ入りしたチームへのインタビューに成功しました。
一般に「交渉下手」とされる日本人ですが、彼らがどうやって異国の地で足場を築いてきたのか、その軌跡をたどってみれば、投資をする上で欠かせない成功法則が見出せるに違いない、と考えた次第です。
※本特集はインタビュー形式にてお届けします(ダバオチーム:DTと表記)
ダバオの今の繁栄は、現大統領のコネのおかげ?
俣野:それでは早速、始めたいと思います。まずはなぜ今、フィリピンのダバオが注目されているのかを、お話いただけますでしょうか?
DT:まずは何と言っても、その成長率でしょう。フィリピン統計庁の発表によれば、2014年のフィリピン全体の成長率が6.2%だったのに対して、ダバオは最高で9.4%、2015年は全体で5.9%、ダバオが7.9%という数字でした。
ダバオはかつて、治安の悪い地域として有名でした。それが現フィリピン大統領であるロドリゴ・ドゥテルテ氏が20年以上ダバオ市長を務め、強権でもって犯罪に対峙した結果、世界でも突出して治安の良い地域となりました。現在はドゥテルテ氏の身内びいきも手伝って、インフラが急速に整い、国内外の多くの企業がこぞってダバオに進出しています。
俣野:フィリピンは途上国の中でも特に平均年齢が若く、人口ボーナス(※)が期待できる上に、ダバオの突出した成長率と治安の良さは、確かに不動産の投資先としては魅力ですよね。
(※人口ボーナス…総人口に占める労働人口の割合が高くなることによって、経済成長が促進されること。若くて働ける人が多ければ、その分、国内の生産量と消費量が増えると考えられている。)
俣野:日本では、ドゥテルテ氏と言うと「暴言大統領」というイメージが強いですが、現在のダバオの繁栄は「元市長がたまたま大統領になったおかげ」という、偶然の要素が強いのでしょうか? 後進国でよく聞くコネの影響では?
DT:繁栄が偶然なのではなく、「大統領になった人が偶然、元ダバオ市長だった」ということです。もちろん、ダバオの現在の発展は、ドゥテルテ氏の力を抜きにしては語れません。ですが、発展の直接の契機となったのは、ダバオがあるミンダナオ島が2014年にモロ・イスラム解放戦線(MILF)との包括和平に合意し、休戦協定が結ばれたことです。
仮にこの繁栄がコネだけだった場合、ドゥテルテ氏に万一のことがあった際には、あっという間に投資が冷え込む可能性があります。しかし、現在のダバオの成長にとって、氏は必ずしも不可欠の要素ではありません。氏の進退とは関係なく、この傾向はしばらく続くのではないでしょうか。
Next: 新興国スリランカで20倍のリターンを叩き出した“究極の投資術”
新興国で20倍の儲けが出た“究極の投資術”とは?
俣野:ダバオチームの皆さんは、日本人不動産業者として、まだ内戦が終わっていない頃からダバオにいち早く乗り込み、地元に足場を築いた、と伺っています。「この広い世界でなぜ、ダバオを選んだのか?」について、詳しくお話いただけますでしょうか?
DT:「自分がどのような投資を、どういう目的でやりたいか?」というのは、人によって違うでしょう。端で見ていて、日本の投資家の多くは、インカムゲイン(※)狙いで投資をしている方が大半なのだと思いますが、私はキャピタルゲイン(※)を狙っていました。それを目的に、東南アジアでこれから成長しそうな土地を探しました。アジアを選んだのは、地理的に近いというのもありますが、知り合いの投資家が、みんなアジアに投資していたからです。
(※インカムゲインは利子収入、配当、家賃収入など。キャピタルゲインは売却時に出る差益。)
DT:私の中で強烈に印象に残っていたのが、2007年にある友人が行なったスリランカへの投資でした。当時のスリランカは内戦中で、とても地価が低い時でした。戦争をしていて治安も悪く、行くだけでも大変でしたが、友人は約1億円を支払い、ビーチの土地を買ったのです。
ところが2009年に内戦が終わると、世界のファイブスター級のホテルが、観光リゾート用に、どんどん土地を買い始めました。おかげで地価が急激に上がって、友人の土地も20億円くらいになりました。約20倍の儲けです。
それを聞いて、私も2009年にスリランカに行きました。しかし既に地価は上がってしまった後でした。確かに、まだちらほらと、買えば上がりそうな土地はありましたが、キャピタル狙いとしては時遅しでした。私は「あまり伸び代がないな」と思いました。
俣野:非常に興味深いお話ですね。「伸び代がない」というのは、どのようにして判断できるものでしょうか?
DT:たとえば、1億円のものが20億円になった後に、今度はその20億円が400億円になる可能性というのは、限りなく低いのではないでしょうか。これが「伸び代がない」状態です。ですから、投資としてはこの、1億円から20億円になる前に投資をすることが、キャピタルゲインを得る最大のコツです。
20億円になってから投資をして、25億円や30億円になったとしても、出資は多いのに、儲けは少なくなります。
おそらく新興国投資を行なっている人は、皆この「出資は多くて儲けは少ない」パターンだと思います。キャピタルを得るには、人より先に案件を探し出すことが必要ですが、ほとんどの場合、「早く見つけた」と思っているのは自分だけです。
俣野:他人が群がっている時点で「遅い」と思わないとダメですよね。
DT:はい。結局、スリランカの投資は諦め、どこにしようかと考えた時に、ダバオが目に留まりました。ちょうど2012年のダバオも、スリランカのように、ミンダナオ島で内戦が行われていました。そこでいろいろ調べていくと、「これは将来的に上がるかも」と思われる要素がありました。
俣野:戦争をしているところが、必ずしも地価が上がるとは限らないですよね? 何が決め手になったのでしょうか?
DT:はい。もちろん、どこでも上がるワケではありません。けれど、ダバオはフィリピン第3の都市です。日本で言う大阪レベルの土地が、その当時はものすごく金額が低かったのです。そこにまず、違和感を感じました。しかも、ミンダナオ島では内戦が繰り広げられていたのに、ダバオ市自体は世界主要都市220都市の中で3番目に安全な都市に選ばれていました。
俣野:ドゥテルテ氏が治安を維持していたからですね。
Next: 「土地が上がる」筋書きはあらかじめ用意されている?
2. 新興国投資の現実を知る
「土地が上がる」筋書きはあらかじめ用意されている!?
友人の投資事例に学び、当時、内戦の続く地・ダバオに注目するようになったダバオチームのメンバー。その豊富な投資経験から語られる新興国投資の実態とは、どのようなものでしょうか?
DT:スリランカと比べると、内戦をしていたとは言え――
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やはり投資初心者に海外投資は高嶺の花?
3. どんなに長い戦争も、やがて終わる
他人が『やめよう』と思った時こそがチャンス到来の時~本日のワンポイントアドバイス
自分の理想とする投資を考えてみよう~今週の宿題
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【Vol.73】「新興国投資(上)」(10/19)目次】
〔1〕イントロ:
好調な新興国に忍び寄るテロの脅威
〔2〕本文:
「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(上)
~失敗しない新興国投資とは?~
1. 新興国の投資神話は実在するのか?
◎ダバオの今の繁栄は、現大統領のコネのおかげ?
◎新興国で20倍の儲けが出た“究極の投資術”とは?
2. 新興国投資の現実を知る
◎「土地が上がる」筋書きはあらかじめ用意されている?!
◎やはり投資初心者に海外投資は高嶺の花?
3. どんなに長い戦争も、やがて終わる
★本日のワンポイントアドバイス☆★
☆今週の宿題★☆
自分の理想とする投資を考えてみよう
〔3〕次回予告(予定):
「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(中)
~失敗しない新興国投資とは?~
〔4〕ニュースのビジネス的着眼点:
ドラッカー博士は「副業・兼業時代がくる」ことを予言していた!
〔5〕編集後記:
ミンダナオ島より最新ニュース!
〔6〕今後の特集スケジュール:
2017年10月~11月予定
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【Vol.72】『リタイヤ論(下)』目次(10/12)
イントロ:キヨサキ氏の言う「速くお金持ちになる方法」とは?
「人類未曾有の超高齢化社会の行く末とは?」(下)~少子高齢化時代の「リタイヤ」を考える
1. 日本の未来を見据える
◎年金を当てにしてはいけない理由
◎考えられる日本の「現実的な未来」
2. 既定の未来を変える方法
◎老後破産を防ぐための4ステップ
◎具体的な一歩を踏み出す
3. 選ぶのは「あなた自身」
今週の宿題:自分の老後について思いを巡らせてみよう
今週のQ&Aコーナー:今さらだけど、「投資で成功する方法」って?
ニュースのビジネス的着眼点:ついに仮想通貨取引所が正式認可!
編集後記:私が考える「究極の老後対策」
【Vol.71】『リタイヤ論(中)』目次(10/5)
イントロ:「念願叶ってリタイヤした後」の先にあるものとは?
「人類未曾有の超高齢化社会の行く末とは?」(中)~少子高齢化時代の「リタイヤ」を考える
1. リタイヤは「バラ色の世界ではない」
◎理想のリタイヤをするには、「計画と実行」が不可欠
◎ハメを外しすぎたツケは後に回ってくる
2. それでも早期リタイヤをしたい人は
◎まずは「可処分時間を意識する」ことから始めよう
◎目的のないリタイヤでは「路頭に迷う」
3. 早期リタイヤの近道とは「サラリーマンをやり尽くす」こと
今週の宿題:「自分の老後はいつなのか?」を考えてみよう
今週のQ&Aコーナー:投資のリスクを回避する方法って?
ニュースのビジネス的着眼点:変わりつつある「日本の常識」
編集後記:当マネースクールにも通ずる古典の名作がアンリミテッドで読み放題!
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年10月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文もすぐ読めます。
『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2017年10月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編
[月額550円(税込) 毎月5日・20日(年末年始を除く)]
老後2000万円問題、働き方改革、残業規制、等々。政府も会社も「自助努力で生きよ」と突き放す中、コロナ・ショックによるリストラが追い討ちをかけています。自己責任の名のもとに始まった大副業時代を生き抜く術とは?『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社)』『一流の人はなぜそこまで○○なのか?シリーズ(クロスメディア・パブリッシング)』『トップ1%のお金シリーズ(日本経済新聞出版社)』等、数々のベストセラーを世に送り出してきた著者が、満を持して『サラリーマンを「副業」にしよう(プレジデント社)』を発売。マネーとビジネスの両面から、サラリーマンを副業にするための情報をお届けします。