政府がアクセス遮断を推奨した「漫画村」ほか海賊版サイトについて、NTTが実施に踏み切りました。それに対し、有識者から検閲にあたるとして批判の声が出ています。(『らぽーる・マガジン』)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2018年5月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「知的財産の保護」目的のブロッキングは正義か検閲か?大論争へ
政府が認めた「アクセス遮断」措置
日本電信電話(NTT)、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷららは4月23日、海賊版3サイトに対してブロッキングを行うことを発表しました。準備が整い次第実施するとしています。
この3サイトは、「漫画村」「Anitube」「Miomio」です(編注:原稿執筆時点5月7日:すでに漫画村、Anitubeについてはサイトが閉鎖されており、Miomioは動画再生画面が消されて利用できない状態になっています)。
「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」による決定で、児童ポルノサイト以外でのアクセス遮断を政府が認めるのは初めてです。
「知的財産の保護が第一」との判断
内閣府知財本部は「数ある海賊版の中でも特にアクセス数や被害額が大きいと見られることから、刑法上の緊急避難を適用してサイトブロッキングしていいという方針となった」と話しています。
漫画・同人誌・アニメなどを著作権者に無断でアップロードした海賊版サイトは、本来は有料のコンテンツを、無料で閲覧できるのが大きな特徴で、若いネットユーザーの間で急速に普及していると言われています。
早ければ秋の臨時国会に関連法案を提出するようです。
漫画村だけで「推定被害額は3,192億円」
コンテンツ海外流通促進機構によれば、国内最大規模の海賊版サイト「漫画村」の昨年9月から今年の2月までの閲覧回数は6億1,900万回に及ぶとのこと。
その推定被害額は3,192億円と言われています。
Next: 「“通信の秘密”を侵害している」有識者から批判の声も
「“通信の秘密”を侵害している」との批判も
サイトブロッキングが、ユーザーの同意を得ずに内容を確認して特定の通信を遮断するのは、電気通信事業法や憲法21条2項後段の「通信の秘密」を侵害するという議論があります。
法律学者らによる研究機関「情報法制研究所」(JILIS)は「法治国家原理からの深刻な逸脱」と断言、プロバイダーの業界団体「日本インターネットプロバイダー協会」(JAIPA)は「通信の秘密の侵害にあたる行為です」と批判しました。
事実上の「検閲」に与党内からも反発の声
与党内からも反発する声が出ていて、自民党衆議院議員の橋本岳氏は、この要請に「反対する」とブログで表明しています。「何よりも、政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できると思うこと自体が大問題です」と訴えているようです。
政府のサイトブロッキング要請に対しては、事実上の検閲に当たるものだとして、各業界団体が反対声明を発表しています。
世界40カ国以上で行われているブロッキング
政府による情報統制という批判もわかりますが、ネット上が無法地帯になっている現実も憂慮すべきことであるとも言えます。
サイトブロキングは、海外では40カ国以上の民主主義国で行われているそうです。ドイツでは、音楽の違法ダウンロードサイトをブロッキングすることについて、最高裁が憲法に違反しないという判決を出しています。
「政権の意向」で決めるのは問題がある
これらの問題を解決するには、時の政権の意向に左右されずに判断できる「独立行政委員会」設置が望ましいでしょう。
しかし今回、海賊版3サイトに対してブロッキングを行うことを決めた「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」は、安倍総理が官邸で主催している会議です。
時の政権意向に左右されないどころか、政権の意向そのものです。
違法サイト・フェイクニュースが問題であることは考えるべきで、政府に対しては「可及的速やかに法制度を整備していただきたい」ですよね…。
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『らぽーる・マガジン』(2018年5月7日号)より一部抜粋
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