LIXILグループは18日、2019年3月期は530億円の赤字になるとの業績見通しを発表しました。その背景にある創業者2代目とプロ経営者との対立を解説します。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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創業家2代目とプロ経営者が対立、未来を見ているのはどっち?
仰天の530億円赤字
LIXILグループは4月18日、業績見通しの修正を発表し、2019年3月期の当期損益が530億円の赤字になる見通しと発表しました。
これは、潮田会長が経営を担当していた時にイタリアの会社を買収し、その業績が振るわずに減損処理(株式評価の見直し)を行ったものです。
LIXILグループは、直近では15億円の当期黒字の見通しでしたから、545億円もの下方修正になります。
そして、潮田会長は辞任の意向を表明しました。
LIXILグループ <5938> 日足(SBI証券提供)
潮田氏と瀬戸氏の対立
この問題は、会長である潮田氏が、社長の瀬戸氏を事実上解任したことから始まりました。潮田氏は、瀬戸氏がイタリアの子会社を滅茶苦茶にしたという考えです。
一方の瀬戸氏は、イタリア子会社という「お荷物」を引き受けさせられた、これは潮田氏の経営時代のものであるという考えです。
双方の主張は、平行線。
多くのメディアの論調は、創業者2世の「ボンボン経営者」潮田氏が、「プロ経営者」瀬戸氏に無理強いをしている、という論調です。
Next: セブンイレブンの社長退任騒動と同じ?プロ経営者は本当にプロなのか
セブンイレブンの社長退任騒動と同じ
この問題をみていますと、セブンイレブンの鈴木氏の退任騒動と、似たような印象を受けます。
「プロ経営者」瀬戸氏側には、株主の海外ファンドなどがついています。セブンイレブンのときも「プロ経営者」を存続させろという声が強まり、鈴木氏の退任となりました。
しかし、その後、セブンイレブンはどうでしょう? 明らかにファミリーマートの方が、創意工夫や勢いがありますね。
鈴木氏の「新しいものが出てこない」という社長への厳しい見解は、やはり正しかったのではないでしょうか。
プロ経営者の目線は任期中だけ?
同じように、LIXILグループも「プロ経営者」が率いると、しばらくの間は良くても、企業の競争力の面で問題が生じる可能性があります。
「プロ経営者」は、長期の競争力アップやダントツを目指すという姿勢ではなく、この先の2~3年ぐらい数字が良いということを求められるからです。
しかし、それではライバル社との長期の競争に勝つことはできません。
もっと、「天才的な才能」が必要なのです。
欧米企業の標準経営が優れていると言っても、同じことを日本企業がやったとしても、せいぜい同じレベルまでです。それより上がありません。
そういう意味では、「高い買い物」であっても、イタリア企業を傘下に入れ、欧州のデザイン力という破格の可能性を手に入れた潮田氏の方が、欧米にも勝てるLIXILをつくりあげる可能性は高かったでしょう。
Next: 日本のトイレは世界最先端、リクシル買収に動く海外企業が現れる?
日本のトイレは世界最先端
ところで、LIXILには、かつての「INAX」が加わっています。
LIXILの事業内容は住宅設備全般となっていて、日本のトイレの技術は、旧・INAXとライバルのTOTOが世界の最先端を走っています。
外国のトイレは、有名なホテルでもすぐに詰まってしまったり、実はあまり優れていません。
日本にいるとあまりわかりませんが、旧・INAXと、ライバルのTOTOの技術は、世界でトップレベルのポジションなのです。
ですから、もしLIXILの経営がおかしくなってしまった場合、実は、LIXILを買収したいという考えの海外企業・投資家は存在するでしょう。
今回の騒動をみるにつけ、LIXILが「標準経営」の会社になってしまい、日本の技術力が低下したり、先々、買収されることにならないかという思いがよぎるのです。
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『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』(2019年4月19日号)より抜粋、再構成
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