独立記念日前日、NYダウやS&P500指数など主要株価指数は最高値更新。トランプ大統領はTwitterから喜びのつぶやきです。対して日本株はパッとしません。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
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日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
まるで「パチンコ屋」? なぜ日本市場はパッとしないのか…
米国債が売られるまで株高は続く
独立記念日前日、NYダウやS&P500指数など主要株価指数は最高値更新。トランプ大統領はTwitterから喜びのつぶやきです。
NYダウ 日足(SBI証券提供)
S&P500指数 日足(SBI証券提供)
ここもとの株高を促しているのが債券高・金利低下です。米国債利回り低下もさることながら、欧州債利回りも低下を続けています。財政が厳しいとされるイタリアの2年国債でさえも、利回りマイナス。
豪州など各国の中央銀行が利下げに動いていることも、株高を導いています。
今後はどうなるんでしょ、と問われたときにも、暫くは「米国債が売られるまで、株高は続くわね」が主流となっちゃいそうです。
いつまで債券高なのか?
FedというかパウエルFRB議長は、比較的トランプ大統領の圧力に「抵抗」した発言が目に付きます。
しかし、市場はFedの利下げなんか待っちゃいません。米国債が少し緩みかけて、ショート(売り持ち)を作る時機かなと思わせたときに、欧州債買いに出くわしたことも、買い戻し誘発による債券高を演出したようにみえます。
いつまで債券高なの?となります。ずーっと同じことの繰り返しですが、インフレ率が上がるまでです。昨日の債券高にしても、「雇用データ弱め→インフレ圧力弱め→金利下がっちゃう」の図式ですから。
株から資金を移す口実がない
また、株から資金を外す口実がなかなかみつからないことも、株の最高値更新に繋がっています。金(ゴールド)は確かに上がっていますが、米ドルと反対の動きをしているだけでして、大きな株からの資金移動を促すまでには至っていません。
それより何より、おカネが金融市場に滞留し過ぎです。これ以上留まらせてどうするのかという気もしますが、インフレ浮揚・景気刺激への力が限られようと、各中央銀行は緩和路線に進みます。
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なぜ日本市場はパッとしないのか
なんで日本市場がパッとしないのか。多分、市場機能が喪失されているからです。
日銀の存在感が大き過ぎるため、市場という「ゲーム」の妙味が薄れ、市場参加者もまばら。言わば、日本市場は今日のパチンコ屋です。
米独立記念日で、本日のパチンコ屋さんも閑散。閉店はしないので株価も保たれますが、「ETFの分配金作らなきゃ」なんて、売り口実には弱い設定にもなっています。連荘(れんちゃん)しません。
せめて西日本を中心とした豪雨の影響が最小限に留まることを祈念する、大雨の朝です。
<今回のまとめ>
・NY株、最高値更新です
・世界的な金利低下により、株式市場に資金が滞留しています
・日本株は、市場機能低下が参加者減少につながり、今日のパチンコ屋と化して…
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『高梨彰『しん・古今東西』』(2019年7月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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