「年金だけでは足りない」とのレポートが物議を醸し、かんぽ生命が高齢者に詐欺保険を売るなど老後生活はさらに不安な状況です。私たちはどう対処すればいいのか。各世代が置かれている現状とできる対策を解説し、お金を貯める方法についても考えます。
(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年7月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
45歳〜54歳は悔い改めるべき?お金が貯まらない人の特徴も解説
1. 崩れゆく“安全神話”
今、私たちとお金を取り巻く環境は、大きく変わろうとしています。 先日、金融庁が発表した「公的年金だけでは老後資金が不足する」というレポートが物議を醸したのは、2019年6月のこと。
同月内に、日本郵政グループの不適切営業が明るみに出るなど、ここへきて、いろいろな制度的な歪みが表面化しているようにも感じられます。
「郵便局よ、お前もか」!?
2019年6月、総務相が閣議後の記者会見で、日本郵政グループに対して法令遵守と営業活動の適正化に関して指導を行ったことを明らかにしました。
内容は、日本郵政傘下のゆうちょ銀行で投資信託の不適切販売を行っていたことや、同じくかんぽ生命で契約者に不利益となるような保険の契約をさせていた、というものでした。
ゆうちょもかんぽも、手口は共通していて、どちらも“郵便局”という信用力を使い、販売の主なターゲットにしていたのは高齢者でした。
先日、ちょうど朝のテレビ番組で、かんぽ生命の問題について取り上げられていたのを、私も見ました。番組の中で、コメンテーターや司会者が、盛んに口にしていたのが「高齢者が狙われている」現状。その理由として、社内の高過ぎるノルマや、成績未達社員が吊し上げに遭っていた様子などが、現場からの声として上がっていました。
番組のコメンテーターらは、「行き過ぎた企業の利益優先主義」と、「それによって苦しめられる弱者」といった、お決まりの対立構造を一通り話した後に、別の話題へと移っていきました。しかし、私はそこに違和感を感じずにはいられませんでした。
<誰もが「正しい判断ができない年齢まで生きる」可能性がある>
テレビの議論は「誰が悪いのか?」といった内容に終始していて、誰からも「自分もいつか被害者になるかもしれない」、といった言葉が出てこなかったからです。
現在、日本人の寿命は年々伸びており、2017年の平均寿命は女性が87.26歳で、男性が81.09歳と、ともに過去最高を更新しています。
けれども、寿命までまったくの介護なしに過ごせる人というのは少なくなっています。一般的には、健康寿命と言って、自分で日常生活が送れる期間と寿命との間には、平均して10年ほどの開きがあるとされています。
かつて、人の寿命はもっと短く、心身ともに自分で自分の制御ができなくなる前に、病気などで亡くなる方がほとんどでした。ところが今や、医療の発達や生活水準の向上などによって、90歳まで生きるのが珍しいことではなくなっています。
これからは、誰もが「正しい判断を下すことができなくなる年齢まで生きる可能性がある」、ということです。
<高齢者をカモにした日本郵政グループ>
先ほどの日本郵政の不適切販売に話を戻すと、ゆうちょ銀では高齢者に金融商品を販売する際、商品の理解度や健康状態などを確認するルールになっていたにも関わらず、直営店の9割で守られていなかった、ということです。
事態を重く見た日本郵便は、8月まで保険営業を自粛し、問題対応に当たるとしています。
郵便局に限らず、今後もこうした高齢者を狙い撃ちする詐欺まがいの行為は全国で増え続けるに違いありません。
私たちは、90歳以上まで生きることを想定しつつ、生活費などの準備をしなくてはなりません。その際、自分で自分を制御できなくなる日がやってくることも考慮しながら、その対策までを考えておくべき時代に入っているのです。
Next: 55歳以上だけ逃げ切れる?世代別サラリーマンの未来予想図
【世代別・よくあるサラリーマンの予想される未来像】
現在、ご高齢の方々は、日本の高度成長期を経験されていますので、特に郵便局や銀行といった金融機関に対する信頼が厚いのもムリはないでしょう。
今では信じられないことですが、高度成長期とは郵便局の定期預金でさえ、年5〜6%の利子が付いていた時代です。
当時は、マイホームを買えば、瞬く間に不動産価値が上がり、それにプラスして定期預金さえしていれば、一財産をつくることは比較的容易でした。
しかし、それも今はすべて過去の話。
目下、サラリーマンの平均年収は400万円台のまま低空飛行を続けており、退職金の引き下げや、老齢年金も支給開始年齢が後ろ倒しになったりと、制度の先細り感が否めません。
日本では少子高齢化社会が進行しており、社会保障費のインパクトも大きくなっています。
このままいくと、どのような未来が考えられるのでしょうか。
ここではあなたに実感してもらいやすいよう、世代ごとに輪切りにして、それぞれの特徴を分析してみましょう。各世代の対応策まで追記しますと、だいたい次のような感じです。
★55歳以上〜《逃げ切り世代》
2019年現在、55歳を超えている人は、既存の制度で何とか逃げ切ることが可能でしょう。少なくとも、70歳までには年金がもらえる見通しです。
この年代の人たちの選択肢としては2つあり、
- 60歳まで通常勤務をし、そこから再雇用に切り替え、70歳まで働く
- 65歳まで再雇用で働き、5年ほど退職金を切り崩しながら生活し、70歳になったら年金を受給する
…のいずれかになります。
《対応策》
この世代の方々は、老齢年金を前提とした将来計画を立ててもよさそうです。とはいえ、未来のことはわかりませんから、余裕を持った老後設計をオススメします。
★45歳〜54歳《悔い改め世代》
この年代は、バブル景気を経験した人もおり、いい時代を知っていながら、自らはその恩恵にあずかれないという不運な世代です。自分たちの上の世代が行なっていた成功法則をマネしても上手くいかず、新しい制度もまだできあがっていません。どっちつかずの中途半端な状態です。
古きよき時代のことは忘れて、今すぐ現実に対処しなければ、厳しい老後が待っているかもしれません。
《対応策》
この世代の方々は、既存の制度に乗り遅れ、時間も限られています。今すぐ行動することをオススメいたします。
Next: 30代〜40代前半《従順世代》/20代以下《ジプシー世代》
★30代〜40代前半《従順世代》
この年代の方は、基本的にバブルがはじけた後の世の中しか知らず、終始、低成長の時代を生きてきました。そうした社会的背景から、全体的に世の中に対して過度な期待を持たず、マイペースの人が多い、という特徴があります。
派手な時代を知りませんから、倹約家の人が多く、家庭的で、ささやかな楽しみに喜びを見出しているようなタイプの人が多いでしょう。
《対応策》
この世代以下の方々は、時間という大きな資産を持っています。今から対策を講じれば、十分、間に合います。ただし、既存の制度は当てにしないほうがいいでしょう。
★20代以下《ジプシー世代》
この年代は、小さな頃から「日本はダメだ」と言われて育った人たちです。生まれた時から携帯やパソコンが身近にあり、豊かでありながら「日本には未来がない」と言い聞かされてきました。
そのせいか、「風の吹くまま」「何かあってもわれ関せず」という、ある意味、世の中を冷めた目で見ている人が多いように思います。終身雇用制や正社員制度が崩壊していく中にあって、夢を抱きにくい世代であるのは確かなようです。
《対応策》
この年代の方は、時間がある分だけ、いくらでも対策は可能です。既存の制度に期待することなく早く始めれば、それだけ後が楽になりますから、ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。
いかがでしたでしょうか。世代別の未来像が「当たっている」という方もいれば、「私には当てはまらないな」と感じた方もいたでしょう。
いずれにせよ、どの世代の方であっても、ご自身の現状を把握し、将来に向けて備えておかなければならない、という点では変わりません。
2. 変化した社会に対応する方法
ここまで、私たちを取り巻く社会環境の変化や、予想される未来像などについてお話ししてきました。お読みいただき、「よし。自分自身のより良い未来のために、今から準備を始めよう」と思ってくださったのであれば、嬉しく思います。
続いては、行動する際の注意点についてお話しします。
Next: どうする2000万円問題。たくさん稼ぐことが幸せに直結するとは限らない?
【たくさん稼ぐことが幸せに直結するとは限らない】
さて。「資金を準備する」と言うと、どうしても「もっとお金を稼ごう」という短絡的な発想に陥りがちの人が多いような気がします。
人生にお金が必要なのは事実ですが、仮に「たくさんお金を儲けさえすれば、万事が上手くいく」というのであれば、宝くじに当たった人は、みんな満ち足りた人生を送っているはずです。
実は、宝くじで高額当選した人に対して渡される『【その日】から読む本』という冊子があります。これは突然、降って湧いた大金で身を持ち崩さないよう、生活していく上での注意点を述べたものです。
この冊子が配られていること自体、お金が人生の問題すべてを解決してくれるわけではないことを物語っているのではないでしょうか。
お金について書かれた名著は数多くありますが、その中に『となりの億万長者〜成功を生む7つの法則』(トマス・J・スタンリー他著、1997年、早川書房)というベストセラーがあります。
この本の内容を一言で言うと、「億万長者とは、高級住宅街に住み、贅沢三昧をしている人のことではない。質素な生活をしながら、ひっそりと、あなたのとなりに住んでいる」ということを、豊富な実例とともに述べたものです。
<蓄財劣等生・フレンド氏の事例>
ベストセラー作家の橘玲(たちばなあきら)氏が若かりし頃、将来について思い悩んでいた時に、「この本を読んで衝撃を受けた」と話しています。
この本の中に、蓄財劣等生・フレンド氏の事例が出てきます。要約してお伝えすると、以下のような話です。
フレンド氏は、トップセールスマン。ブルーカラーの家庭に育ち、大学を出ていません。彼は成功への渇望と富への憧れから、必死に働いて、セールスの技能に磨きをかけてきました。
フレンド氏の年収は、2,000万円を優に超えています。そのお金で豪邸に住み、ボート2艘、高級車6台、リゾートマンション等を所有し、身につけているものもすべて高級品です。当然、貯金はありません。
実は、フレンド氏が「貧しい家庭の出身」と言っても、決してひもじい思いをしたわけではありませんでした。実家にはいつも食べ物があふれ、冷蔵庫はギュウギュウ、朝からご馳走を食べていた、と言います。
彼の両親は、買い物が大好きでした。ディスカウントストアに行っては、何時間もそこで品物を物色していたそうです。
つまり、彼の実家は本当にお金がなかったわけではなく、両親の浪費グセのために貧しかったのです。
実際、お金を貯められない人のパターンは、かなりハッキリしています。主なものを挙げてみると、次項の通りです。
Next: 身の丈以上の贅沢してない?お金が貯まらない人の特徴
<お金が貯まらない人の特徴>
お金を貯められない人の主なパターンは、次の通りです。
・身の丈以上の贅沢をしている
・収入を超える浪費グセ
・自身の収支を把握していない
・お金を使うことが快感になっている
・将来に目を向けない、等々
それでは、「お金を稼ぐだけでは将来の問題を解決できない」のだとすると、一体、どうしたらいいのでしょうか?
私は現在、金融の専門家とともにマネースクールを運営しています。おかげさまで現在、会員数は順調に伸びておりますが、その中に、かなり初期に入会されたAさんがいます。
Aさんは、もともと私のビジネススキルを学ぼうと、私のところにやってきました。けれども、Aさんと面談した私は、マネースクールへの入会をオススメしました。
最初、Aさんは「お金の稼ぎ方を学びにきたのに、なんでマネースクールなの?」と怪訝そうでしたが、私のススメに同意してくださいました。
Aさんは半信半疑で入会し、その意味に気づいたのは、半年ほど過ぎてからのことでした。収入は増えていないのに、毎月、手元にお金が残るようになったのです。
それまで、収入が足りないと思い込んでいたAさん。しかし、それよりももっと必要なのは、“お金を残すこと”だったわけです。
貯金をつくる方法自体は至ってシンプル
資産を築くためには、お金を残すことが絶対条件となります。世の中には、
「お金を残す=貯金」ができずに悩んでいる人は大勢いますが、やるべきことは
非常にシンプルです——
お金を残す(貯金をつくる)方法
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<新刊情報>
この記事の著者・俣野成敏さんの新刊『トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」』が7月20日に発売されました。ぜひお手にとってご覧ください。
『トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」』
著:俣野成敏/刊:日本経済新聞出版社
次回予告
次回は、「新刊出版記念特集 その2」をお送りします!
今回の特集では、私たちとお金を取り巻く状況と、これからどうすればいいのか?といったことをお伝えしました。次回はより具体的な内容にまで踏み込んだ後に、特集の総括を行いたいと思います。
・誰にお金の相談をすべきか?
・お金のために今すぐできること
・良い投資に出会うためには、マネーリテラシーの向上が不可欠
・マネープランが日本人を救う?!
本特集では2回にわたり、新刊の魅力をたっぷりとお伝えいたします。次回の特集も、どうぞお楽しみに!
今後の特集スケジュール(予定)
2019年8月
第1回:(Vol.140)新刊出版記念号2(8月1日配信)
第2回:(Vol.141)現場で使えるビジネス格言集11(8月11日配信)
第3回:(Vol.142)AIが金融市場を席巻する?!(8月21日配信)
2019年9月
第1回:(Vol.143)香港金融最新事情特集2(9月1日配信)
第2回:(Vol.144)賢人の名言から学ぶ9(9月11日配信)
第3回:(Vol.145)AIが金融市場を席巻する?!(9月21日配信)
<初月無料購読ですぐ読める! 7月配信済みバックナンバー>
※2019年7月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- 【Vol.138】「賢人の名言から学ぼう!シリーズ(7)」〜ウォーレン・バフェット氏編(3)〜(7/11)
- 【Vol.137】「投資のことから人生相談まで!」〜投資の疑問に答えるQ&A集(8)〜(7/1)
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年7月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2019年7月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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