米国のGDPを大きく左右するボーイング社。その最重要下請けメーカーが、2,800人を一時解雇すると発表して話題になっています。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2020年1月24日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
実態に合わせて株価も落ちる?零細企業の大量解雇は統計に出ない
ボーイング社が落ちると米国のGDPも落ちる
米国株価指数で最重要な指数が、ダウ工業株平均です。
NYダウ 月足(SBI証券提供)
その構成株の中でも最重要なものは、米国のGDPを大きく左右する「ボーイング社」です。
このボーイング社の最重要下請けメーカーが、2,800人を一時解雇すると発表。
同社の従業員数は1万8,000人との事ですから、16%に相当する解雇数です。
一時解雇だから、すぐに全員が再雇用されるかどうかは、今後の受注状況次第です。
今後、解雇された従業員は不安な毎日を送り、当然、買い物などの支出は極力減らすでしょう。
海外報道を翻訳しながら、問題点を解説します。
海外報道まとめ(翻訳)
ボーイング社の外注下請けSpirit AeroSystems社のカンサス州ウイチタ工場で、2,800人を解雇すると発表。
Spirit AeroSystems社は737MAX型機の全体の7割を製造しており、同型機の生産停止が影響した。
この解雇は、2019年1月22日から開始。
同社で受け持っているのは、胴体全般、逆推進装置、エンジンパイロン(エンジン取り付け部)、主翼構成部品等であり、全体の7割になる。
同社の737MAX型機部品の売上比率は、全体の5割以上になっている。
同社は、得意先であるボーイング社から、生産停止期間に関する情報や、今後の月間生産台数等の生産計画をまったく受け取っていない状況。
同社は、生産再開が決まっても、同社在庫の胴体100機分以上の出荷が終わってからのことになるので、同社としての生産再開はかなり先になると見ている。
また、ボーイング社の737MAX型機の完成機在庫も数百機有るので、それも考慮しなければならない。
ウイチタ工場とは別に、オクラホマ州のTulsa工場、McAlester工場でも、1月中に人員解雇をする計画がある。
ここでも737MAX型機用部品の製造をしており、ボーイング社と協議をした後に解雇人数を今後 決める予定である。
※参考:Boeing 737 Max: Supplier Spirit AeroSystems layoffs, production halt – Business Insider
※参考:Boeing 737 Max supplier Spirit Aerosystems to cut 2,800 jobs – CNBC
Next: 零細企業の大量解雇は統計に出ない。実態経済に合わせて株価も急落する?
零細企業の大量解雇は統計に出ない
Spirit AeroSystems社の従業員数は1万8,000人。ボーイング社にとって最重要構造部品メーカーです。
昨年は大手企業の工場閉鎖、大量人員解雇が起きました。これは法律で州政府に届出が必要ですから、統計で集計ができています。
しかし、小企業・零細企業の場合は解雇人数が少ないので、統計には載りません。
それでも、新車販売台数のトレンドと自動車ローンの焦げ付き比率のトレンドで全体像はボンヤリですが、見えます。
実体経済とかけ離れた株高
実態経済の急激な悪化と、株価の上昇という「乖離」が起きています。
実態経済を偽装することはできませんが、株価の上昇は人為的に可能です。
金融システムに米国債質入れのREPOで巨額資金を供給し、ヘッジファンドに株を購入させ、同時に自社株買いで流通株式数を減らせば良いのです。
もちろん、商いの少ない夜間などの時間外取引でちょっと手を突っ込めば、株価は急上昇させることができます。
しかし、永遠に巨額資金の注入を継続することはできないでしょう。
そんな状況下で突然、どこかの国の大きな政府系資産ファンドが引き上げれば、その瞬間に、株価や債券価格は下がり、投資銀行は自己資本が、その分、泡沫、シャボン玉のように消えます。
投資銀行、商業銀行の崩壊連鎖反応に進めば、止めるのが困難になります。現代では、その連鎖反応の伝達速度が電子化で極度に速いからです。
最期の日は近い?
英語では、その時点を「Day of Reckoning」と言います。「報いの来る日」「最後の審判の日」です。
最近の経済解説記事で時々、Day of Reckoning という表現を見かけます。誰もが「逃げ遅れるのは怖い」と感じだした時が、その瞬間になるのでしょう。
それがいつ来るのかは誰にもわかりませんが、近いような気がしてなりません。
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※太字はMONEY VOICE編集部による