昨年10月に消費税が上がったばかりだが、決してこれで終わりではない。いずれさらなる消費税のアップを強行する日がくる。そして、携帯電話税もすでに検討に入っている。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
税金や物価が上がっても賃金は増えない。やがて日本全体が貧困へ
アベノミクスで格差拡大
日本では金融資産をまったく持たない層が30%もいる。銀行や証券会社の口座に残高がない層も13%近く存在する。
アンダークラス(貧困層)は言うまでもなくミドルクラス(中間層)も、貯金は持っていても、株式のような金融資産は持たない世帯が多い。
そのため、株式市場や不動産市況が活況化するような「資産価格上昇」や「資産バブル」の局面になると、アッパークラス(富裕層)と一気に格差を広げられる。
日本の例で言うと、2012年11月頃から始まった円安・株高において、そうした格差拡大の流れが一気に起きた。
民主党政権時代には日経平均は8,000円台から9,000円台をうろうろとしていたが、自民党が勝利して第二次安倍内閣が成立すると、その瞬間に株価は爆上げして、2015年には2万円台を付けるようになった。
たった3年で資産は2倍になったということだ。
仮に資産が1,000万円の株式であれば、優良企業の株式や日経平均をトレースするETFを持っていれば、何もしなくても資産は2,000万円になっていたということである。資産が大きければ大きいほど、上昇のメリットを存分に享受できた。
しかし、株式を持っていない層は何の変化がなかった。一部の大企業を除けば賃金はどこも上昇していないし、この間には生活保護受給者も増加していた。資産バブルの陰で、貧困や生活苦で追い詰められている人が増えていたのである。
金融資産を持つ者と持たざる者との経済格差は、日本の政治が落ち着いて株式市場が好調になったら余計に目立つようになったのである。
Next: 消費税をさらに上げるだと? 生活保護の高齢者世帯、89万7264世帯へ
高齢者世帯における生活保護受給者は89万7264世帯になった
生活保護は、受給者も不正受給も増えていることもあって、政府の施策としては安易に受給させないという方向になっている。
しかし、そんな政府の意向とは裏腹に、それでも生活保護の受給者がじわじわと増えている。それだけ追い詰められている人がたくさんいるということになる。
内訳を見ると、増えているのは高齢者世帯だ。
団塊の世代と言えば、年金をもらって悠々自適の優雅な生活を送るのだろうと思われて若年層から嫌われている。しかし、実態を見ると、それほど優雅でも何でもない。
2020年1月8日、高齢者世帯における生活保護受給者は89万7,264世帯となって、過去最高を記録したと厚生労働省は発表している。受給者の半分以上がいまや高齢者世帯が占めている。
しかも日本は高齢層がさらに増えていく。そしてその高齢層の貧困化はこれからが本番なので、生活保護受給者はもっと増えていくのは確実視されている。
ちなみにシングルマザーも同時に追い詰められている。
考えなければならないのは、消費増税も、年金の切り下げも、年金受給年齢の引き上げも、医療費の自己負担増も、アンダークラスを追いやる動きがじわじわと続いていることだ。
消費税「もっと引き上げるべき」という衝撃の提言
安倍政権は2015年は10月に予定していた消費税10%を阻止したのだが、自民党内部には増税論者は大勢いて、2019年10月には消費税を10%に引き上げてしまった。
それだけではない。10%に引き上げた消費税は「もっと引き上げるべきだ」という声が、もう出てきているのである。
資産も収入も十分にある世帯は、消費税が10%になったからと言って、それで生活が破綻するわけではない。確かに年収が多ければ取られる税金も多いのだが、取られてもまだアンダークラスの年収以上に残る。
資産は消費税の対象ではないので、安心して保有し、増やしていくことができる。
しかし、アンダークラスは、ただでさえ少ない手取りからさらに税金で毟り取られることになる。わずかな物価上昇や手取りの減少が致命傷になってしまう。生活が苦しいのではなくて、生活が成り立たなくなる。
Next: 消費税が上がっても賃金は増えない。さらに「携帯電話税」までも?
「携帯電話税」も「自然保護税」も検討に入っている
言うまでもないが、物価が上がったり消費税が上がったからと言って、それに合わせて賃金が上がるわけではない。現状維持がいいところで、下手すれば賃金は下がる。
消費増税は買い控えを引き起こして企業収益を悪化させるのだが、そんな中で賃金を上げるはずがない。
企業収益が悪化すると、企業はコスト削減に走る。コストで最も大きなものは人件費なので、当然、人を減らすか、給料を減らすかという選択になる。
大企業はともかく、経営にシビアな中小企業は景気が悪化したら給料アップなどあり得ないのだ。だから、中小企業で働く多くの低所得層は、今までギリギリでバランスを取っていたのが、一気に崩壊して生活破綻に突き進んでしまう。
消費税を上げるたびに日本の経済成長率は下がってきた。本来であれば、消費税は段階的に下げていくか、もしくは撤廃するのが日本のためになる。
しかし、政府は消費税を下げるだろうか。
下げるどころか「歳入が足りない」と言って、いずれはさらなる消費税のアップを強行する日がくる。
そして、消費税以外のありとあらゆる税金を考えていく。たとえば「携帯電話税」も「自然保護税」もすでに検討に入っている。
日本の経済成長は止まっている
気がつかなければならないのは、すでに日本は1990年のバブル崩壊以降、ずっと経済成長率が低下し続けており、ほとんど成長できていないことだ。
少子高齢化も放置され、消費税は引き上げられ、内需が戻らないのである。
その結果、日本企業も体力を失い、従業員を守れなくなってしまっている。すでに非正規雇用者が4割近くを占めるようになっているのだが、それに伴って終身雇用も年功序列も日本企業から消えていこうとしている。
契約社員、派遣、アルバイト、パート、フリーターのような不安定な働き方が普通になっていき、正社員は稀少品種となる。グローバル化とIT化が雇用を減らし、今後は人工知能のような技術革新でさらに雇用は消える。
アンダークラスはどんどん膨らんでいき、彼らが生活保護に頼るようにもなる。高齢層の増加によって社会保障費が膨らみ、内需の減少や企業への法人減税にアンダーグラウンドの増加は、より政府の財政を悪化させる。
だから日本政府と官僚は、とにかく国民から消費税で毟り取り、年金や生活保護は減らすような施策ばかりを打ち出すしかない。
そして「老後のために2000万円を用意しろ」と言い出しているのである。
Next: ますます貧しくなる私たち。「国も企業も信用しないで生きる能力」が必要
「国も企業も信用しないで生きる能力」が必要に
日本人はどんどん貧しくなっていくというのは、もう20年以上も前から繰り返し言われ続けてきた。しかし、どれだけ警鐘が鳴らされても、当初は誰もが「一部の怠惰な人間の末路だ、自己責任だ」と意に介さなかった。
ここまで来ると、国に何とかしろと叫んでも無駄だ。国が生き残りのために収奪に来ているのだから、その国に何とかしろと言ったところで、もう何もできない。
いよいよ、自分の身は自分で守らなければならない事態に向かっているのだ。経済的に、いかに国や企業に頼らないで生きられるかのサバイバルゲームが始まった。
状況はどんどん悪化している。「お上が何とかしてくれる」と思ったら大間違いだ。お上は税金をどんどん引き上げ、新たな税金も導入し、ありとあらゆる局面で私たちから税金を毟り取る存在となっているのだ。
消費税10%で終わるわけがない。そして携帯電話税なども導入されていくことになる。そういうことだ。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月7日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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