2020年から突如として全世界を覆い尽くした中国発コロナウイルスは、もはやリーマン・ショックを超え、バブル崩壊を超え、世界大恐慌になろうとしている。コロナ禍が長期化すればするほど恐慌になってしまう危険性が高まっていく。つまり、これから社会に出る若年層は、大半が貧困に突き落とされる運命にあるということである。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
運悪く不況で暗い世相の中で社会に出た若者
1990年にバブルが崩壊した後、日本企業は勢いをなくして終身雇用も年功序列も維持できなくなった。これで日本の経済はピークを終えて下り坂に落ちていくことになった。
1990年代後半になると、いよいよバブル崩壊の膿が回っていき、山一証券や北海道拓殖銀行のような「潰れるはずがない」と言われた老舗の金融企業がバタバタと潰れていった。
ここで日本経済が坂道を転がり落ちるスピードに加速がついた。この頃、就職は非常に厳しい状態であり、この時代から「就職氷河期」と呼ばれる時代に入っている。
現在、引きこもりの人たちは高齢化して40代から50代に入っているのだが、彼らが20代の頃はこの1990年代後半の就職氷河期に一致する。親に寄生して自室に引きこもる若者たちは、仕事をうまく見つけることのできない時代から始まったのだ。
この若年層に厳しい環境は2000年代に入ると、ますます苛烈になっていく。小泉政権が「構造改革なくして景気回復なし」と言いながら非正規の雇用拡大を容認したので、企業は若年層を正社員で雇わなくなったからである。
これによって、日本の若年層の貧困化が決定的になった。社会の経済格差と貧困はここから鮮明になっていった。
運悪く不況で暗い世相の中で社会に出た若者は、優秀であっても仕事がうまく見つけられなかったり、低賃金を余儀なくされたり、住居すらも持てなくなったりして才能が殺される。
時代が悪ければ「どん底」に落ちる。
若者の貧困は「自己責任」ではなかった
2000年代のはじめ頃、若年層の貧困化は自己責任論で片付けられていた。
そうではなかった。不況の中で貧困化していくのは最も弱いところからであり、社会経験もなく人脈も対応能力もない若年層から深刻化していったと見るのが正しかった。
しかし、若年層の中でも低学歴の人たちから先に苦境に落ちていったので「ブラブラ遊んでいるから貧困に落ちた。自己責任だ」と決めつける人は多かった。
自己責任というよりも社会構造が変わった結果であると気付かなかったのである。
すでに企業は低学歴の人たちを非正規雇用者として使い捨てにすることが許されるようになっていた。非正規雇用で雇われると、どんなに貢献しても給料も上げてもらえず、景気が悪くなればすぐに捨てられる。
社会は格段に厳しくなり、生きにくくなっていた。
Next: 正社員で雇われた人たちは「自分たちは勝ち組だ」と特権意識を持つように――
ゆっくりと確実に貧困に足を突っ込んでいく状況に
正社員で雇われた人たちは「自分たちは勝ち組だ」と特権意識を持つようになっていったが、日本企業の業績がさらに悪化していくと状況は変わった。
勝ち組だったはずの正社員も年功序列も終身雇用も否定されるようになっていき、経営悪化が鮮明になった企業からどんどん社員をリストラするようになったからだ。
折しも2009年から民主党の時代になって日本の混乱は史上最悪のレベルにまで転がり落ち、ますます日本企業は萎縮し、経営は悪化し、グローバル社会の中で競争力を失っていった。
以後、日本社会には格差がゆっくりと広がって定着し、これは第二次安倍政権でも是正することができなかった。安倍政権は金融緩和によって企業や株主や経営者には経済的な恩恵を与えたのだが、社会の底辺に広がる非正規雇用者の貧困にはほとんど関心を見せなかったのだ。
時代が悪ければ「どん底」に落ちる。そして、どん底に落ちた人たちは最後の最後まで救済されずに見捨てられる。
自分の知能では乗り越えていけないような環境
社会が高度成長に向かっている時は、どんな凡人でも豊かさを享受できるようになる。
逆に社会が景気後退期(リセッション)に向かっている時は、どんな優秀な若者でも貧困にあえぐようになっていく。
優秀であれば社会がどんなに悪くなっても要領良く生きて豊かになると思われがちだ。しかし、イギリスのジャーナリストであるマルコム・グラッドウェル氏は知能指数の高い人々を調べた結果、必ずしもそうとは限らないと指摘している。
神童と呼ばれていた子どもが成人しても、凡人以下の貧困生活に落ちている人たちがいる。彼らは高度な知能を持ちながら、社会では落ちこぼれた。
その理由は、親の貧困を受け継いだり、学歴が得られなかったり、家庭環境が崩壊していたりして「知能を発揮できる環境」が最初からなかったからだった。
虐げられ、家庭でも冷遇され、社会からも見捨てられた子ども時代を送ると、知能を社会的な成功に向けようとする努力さえなくなってしまうのだ。
社会的な成功に意味を見出せなくなり、場合によっては社会から背を向けて生きるようにもなっていく。成功する素質はあっても、子ども時代や自分を取り巻く社会環境が不幸なものであれば知能は生かせない。
自分を取り巻く社会環境が悪すぎれば、成功しようという気持ちそのものが早い段階から台無しにされる。
コロナ禍の地獄が社会を覆い尽くそうとしている今、これから何が起きるのかは明白だ。
これからはコロナ禍によって社会環境が極度に悪化してしまい、何をどうしても自分の能力だけでは這い上がれない時代が来る。これから社会に出る若年層は「どん底」に突き落とされる確率が相当高まっていくことになる。
Next: バブルが崩壊した1990年代以後の若年層は、日本社会が景気後退を深めれば――
見たことがないほど巨大な衝撃となって若者を襲う
バブルが崩壊した1990年代以後の若年層は、日本の社会が景気後退を深めれば深めるほど就職ができなくなり、何とか見つけた仕事も「非正規雇用」だったりして、人生の安定を手に入れることができなくなった。
その結果、彼らは長らく貧困を強いられるようになって、豊かになる展望も持てず、結婚もできず、生活が不安定なまま人生の大半を消耗してしまうことになった。
2020年から突如として全世界を覆い尽くした中国発コロナウイルスは、もはやリーマン・ショックを超え、バブル崩壊を超え、世界大恐慌になろうとしている。コロナ禍が長期化すればするほど恐慌になってしまう危険性が高まっていく。
つまり、これから社会に出る若年層は、大半が貧困に突き落とされる運命にあるということである。
本人の努力・才能ではどうにもならないほどの苦境
「いや、才能がある若者はそれでも成り上がる」「どんな社会環境でも努力すれば何とかなる」というのは、ほんのごく一部のレアケースである。大半はそのまま貧困に落ちてしまう。
こうした事実は、すでにバブル崩壊以後の30年で実証されていることを知るべきだ。
1990年代のバブル崩壊・就職氷河期、2000年代からの非正規雇用者の増大によって、日本社会は平均年収186万円の低賃金層(アンダークラス)が930万人も誕生して、彼らはもはや這い上がれないほどの貧困の中で暮らしている。
さらにその中でもどん底の若者たちは、もう住所すら持てないほど追い詰められている。
「どんな社会環境でも努力すれば何とかなる」というのは悪質な嘘だ。
努力しても何ともならなかった若者が、今の社会のアンダークラスを形成するほど巨大な存在となったのだ。
Next: これから社会に出る10代後半から20代前半の若者たちは、自分たちが――
地獄がやってくる
中国発コロナウイルスによる全世界を巻き込んだ危機的なまでの景気後退(リセッション)は、見たことがないほど巨大な衝撃となって若者たちに襲いかかっていく。
これから社会に出る10代後半から20代前半の若者たちは、自分たちがどのような状況に置かれているのかをしっかり把握しておいた方がいい。
地獄がやってくる。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年5月12日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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