日本はもはや国際社会から鎖国することはできないし、今後もさらに深く国際社会に関わっていくことになる。そんな中で、恫喝・策略・買収を仕掛けられ、ことごとくワナに落ちている。日本人はあまりにも無邪気すぎた。今のままの意識で行くと、やがては国そのものが転覆させられたり、乗っ取られたりしても仕方がない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
相手に見透かされ、意のままに動かされてきた
日本人は、妥協することを「弱さ」だと考えない。妥協することによって膠着した事態が進んだり、相手が満足してくれるのであれば、相手のために折れてあげようと優しい心情で考える。相手の顔を立て、譲るのである。
日本人は自らのその態度を「民度が高い」とか「優しさ」とか「日本人らしさ」として評価してきた。確かにそうした優しさが日本の社会を住みやすくしているという面はある。
しかし、良いことだけではない。
たとえば、近隣諸国などはそこに付け入って日本を屈服させ続けてきた。大声でわめいて自己主張すれば、日本が必ず折れると知っているのである。
だから日本人相手のときは常に無理難題を主張し、日本人を無理やり屈服させようとしてきた。そうすれば日本を屈服させることができる。すでに日本との交渉でこれらの国はそれを学んできた。
だから絶対に折れない。
そこで日本人は、心の中で割り切れないものを感じながらも、相手の顔を立てるために、しなくてもいい妥協をしてきた。常に折れてきた。つまり相手に見透かされ、意のままに動かされてきた。
多くの国では妥協などしない。妥協は弱さだと考えるからだ。
自国の意見を押し通すのが強さであり、正義だと思っている。相手を屈服させるために行動する。自国の意見、自国の国益を通すためには何でもする。
日本人に「上司を買収する」という発想はない
正義が成り立たない国もある。
そうした国は、相手を恫喝することも、罠にはめることも、策略を仕掛けることも、嘘を真実のように言い立てることも、相手を買収することも、相手の情報を盗むことも厭わない。
汚い手段だろうがなんだろうが、できることはすべてする。根本的に日本と哲学が違っている。
日本人は「お互いに妥協することで着地点を見つけよう」と思って自分が最初に折れるのだが、諸外国ではそれを日本の弱さと受け止めて、「日本が妥協したということは、こちら側が強いということだ。それなら、もっと押して日本を追い込もう」と考える。
日本が妥協したから気持ちを汲んで自分も妥協しようなど思わない。どこまで相手に自分の意見を飲ませるかが腕の見せ所だと考えている。
だから、自分は妥協しないで、徹底的に相手を妥協させようとする。
日本人は相手の主張を検討する。しかし諸外国の中には、日本の主張を検討するのではなくて、どこまで徹底反論してつぶせるかを考える。
話が平行線になったときに日本人は折れる。しかし、一部の国は日本を罠にかけても自分の意見を通そうとする。だから、謀略・策略も生まれるし、買収工作も生まれてくる。
日本人政治家がハニートラップに引っかかったという話はよく聞くが、日本人の政治家が特定アジアの政治家をハニートラップで引っかけたという話は聞かない。
なぜか。日本人の政治家は、相手を策略で引っかけるという発想がまったくないからだ。
これは、日本人個人でも言えることだ。たとえば、日本人のサラリーマンが会社の上司を買収したり、ハニートラップで引っかけたりしたことがあるだろうか。あるいは、そのようなことを考えたことがあるだろうか。
日本人は認めてもらうためには「仕事で努力する」という発想はあるが、「上司を買収する」という発想はない。
Next: 正義など成り立たないいくつかの国では、政治家も国民もフェアな精神など――
正義であることもフェアであることも建前だけ
正義など成り立たないいくつかの国では、政治家も国民もフェアな精神など一片も持ち合わせていない。とにかく、「相手を買収する」「策略で動かす」のは当たり前だと考える。
何らかのコンテストや競技でも、審判や運営者にどれくらいの賄賂を送れるかで勝敗が決まる。つまり、策略や買収工作は個人的にも恒常的に行われている。それが国家運営にも反映されているのだ。
フェアであることや正義であることを、文字通りに受け止めているのは日本人くらいだ。
多くの国はフェアであることも正義であることも、単なる理想や建前だと割り切っていて、「理想と現実は違う」と思って行動している。「自分が勝つためには、買収でも何でもする」という感覚で動いている。
だから、国際政治の世界では策略から買収から盗聴からハニートラップまで、奇々怪々な裏工作が蔓延してしまっており、日本の政治家が次から次へと引っかかっている。
正義の国であるはずのアメリカでも状況は同じだ。
この国は、建前上では「正義だ、フェアだ」と叫んでいるが、裏では策略と工作で動いている。CIAやFBIなどの諜報組織がそれを受け持つ。「フェアであること、正義であること」は建前であったのだ。
日本人は「諜報組織」と言うと「ただ情報を集めてくる組織」のように思っているのだが実態はそうではない。情報を集めるというのは、業務のひとつに過ぎず、実際はその情報に基づいて、自分たちの国の都合の良いように工作するのが主たる仕事なのである。
中国はあからさまだ。国民全員が「国防動員法」によって工作活動に駆り出されていると言っても過言ではない。中国はそれこそ知的財産の侵害で成り立っている国であり、工作活動がなければ国が成り立たないレベルにある。日本だけは、スパイ防止法もなければ正式な諜報組織もない。
狼の群れの中に紛れ込んだ羊のように無防備
考えなければならないのは、日本はもう「妥協して合意を得る」「相手の意見も汲んで合意をまとめる」「自分が折れて話を進める」というやり方がまったく通用していないということを自覚すべきだということだ。
日本が外交的にまったく国際影響力がないのは、「日本など恫喝すれば折れる」「しつこく主張すればすぐに妥協する」と思われており、実際にそうだったからである。
しかも、相手の策略には無防備であり、政治家は次々と策略にはまっていく。すぐにハニートラップに引っかかり、すぐに買収され、恫喝に屈してしまう。他国にハメられた政治家も多い。
たとえば、元総理大臣の橋本龍太郎も中国のハニートラップに引っかかって中国にODA(政府開発援助)を決めている。政治家の女遊びのツケで国民の血税が中国に流れていくのだから、たまったものではない。
さらに、日本国内で相手国のスパイがうようよして好き勝手にスパイ活動をしている。日本の機密情報が、国家や企業から漏れ続けている。
それに対して、日本は「策略でも買収でも使って罠にはめる」という裏工作がまったくできないし、しようとも考えない。狼の群れの中に紛れ込んだ羊のように無防備だ。
Next: 日本はもはや国際社会から鎖国することはできないし、今後もさらに深く――
スパイ防止法すらない日本
日本はもはや国際社会から鎖国することはできないし、今後もさらに深く国際社会に関わっていくことになる。そんな中で、恫喝・策略・買収を仕掛けられ、ことごとくワナに落ちている。
日本人はあまりにも無邪気すぎた。
今のままの意識で行くと、やがては国そのものが転覆させられたり、乗っ取られたりしても仕方がない。それほど、危機的な状況にある。
日本にも、スパイ防止法が必要なのは言うまでもない。さらに諜報機関と戦略機関も早急に設立して、日本の国益を守らなければならない重要な時期に来ている。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年6月16日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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