NYダウの構成銘柄が、8月31日から入れ替えとなりました。NYダウ工業株30種のうち、3企業が入れ替えに。この中には長年、石油業界トップに君臨してきた「エクソンモービル」が含まれます。エネルギー産業の変化を先取りしたものではないかと、憶測を呼んでいます。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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NYダウ「3銘柄」入れ替え
8月31日から、NY市場のダウ工業株30種のうち、3銘柄(=3企業)が入れ替えとなりました。
アップル社が株式分割を行い(1株→4株)名目株価が低下する見通しのため、そのバランスをとるのが理由とされています。
NYダウ 週足(SBI証券提供)
入れ替えとなるのは、次の3銘柄です(筆者注:各社の対応順は筆者主観)。
OUT:エクソンモービル(石油)
→ IN:セールスフォース・ドットコム(企業の顧客情報管理)
OUT:ファイザー(製薬)
→ IN:アムジェン(バイオ製薬)
OUT:レイセオン・テクノロジーズ(防衛・軍需)
→ IN:ハネウェル・インターナショナル(機械・防衛)
石油の時代は終わるのか?
やはり、目につくのは「エクソンモービル」です。
エクソンモービルは、1928年からずっとダウ工業株30種に採用されてきました。この変化は、石油産業から新エネルギーへのバトンタッチの時代を示唆するのかもしれませんね。石油の時代も長かったですから、そろそろ大きな転換があっても不思議ではありません。
ファイザーも、製薬会社ではビッグですが、開発力では必ずしもその巨大さが反映されているとはいえません。販売に強い製薬会社というイメージであり、バイオ製薬会社のアムジェンに交代、
ということなのでしょう。
レイセオンは、パトリオットやトマホークなどの「ミサイル」で有名な、防衛・軍需企業です。入れ替わりで入るハネウェルも、実は防衛産業の比率が高め。日本の自衛隊の艦船などに同乗しますと、ハネウェルの装備があったりします。民生と軍需の両方、という感じの企業です。
新採用の銘柄は、しばらくの間は指数連動型のファンドが買うため、株価が堅調に推移することもあります(最近は「先回り買い」が早い傾向もあります)。
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セブン&アイの買収は、高値買いだった?
エクソンモービルのダウ工業株30種の入れ替えをみますと、やはり、セブン&アイの米国ガソリンスタンド兼コンビニの買収は、ちょっと高値掴みだったのかなという感じがします。
セブン&アイが、マラソン・ペトロリアムから「スピードウェイ」ブランドのガソリンスタンド兼コンビニを約2兆2,000億円(210億ドル)で買収すると発表した件です。
今後、石油産業に変化があるとすれば、2兆2,000億円はあまりに高額です。逆に言えば、
マラソン・ペトロリアムは、うまく売り抜けたと言えるでしょう。
もしかしたら5年・10年経つと、ガソリンスタンドで給油するというスタイル自体が変わっているかもしれません。
そう思わせるような、エクソンモービルの銘柄入れ替え話でした。石油の時代から、何か次の時代へと変化しそうですね。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年8月21日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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