ワタミ「復活報道」も虚しく、18億円の最終赤字に転落したワケ

 

セグメント別の業績はどうなっているのか?

それでは、続いてセグメント別の業績を見ていきましょう。

現在、ワタミには、

  1. 居酒屋を中心とした国内外食事業
  2. 高齢者向けに弁当を宅配する宅食事業
  3. 海外で外食事業を展開する海外外食事業
  4. 再生可能エネルギーを中心とした電力小売業を展開する環境事業
  5. 主に自社の食材に使うための安心安全な農産物を生産する農業

という5つのセグメントがあります。

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このうち、主力の国内外食事業は479億円とほぼ前期並みの売上高をキープしました。

ただ、収益面を見ると2億円の赤字となっており、その前の期の15億円の赤字に比べれば改善しつつあるものの、まだ黒字化できていない状況です。

この国内外食事業において、最近では、ワタミの不採算店を閉鎖する一方、「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」といったワタミブランドを冠しない新業態への転換を積極的に行っています。

これらの新業態は、今や居酒屋業界で成長著しい鳥貴族のような低価格のメニューを提供することで人気を博しており、今後の国内外食事業黒字化の鍵を握ることになりそうです。

続いて、今やワタミの屋台骨を支える宅配事業を見ていくと、2017年3月期は売上高359億円、セグメント利益は25億円と好調に推移しています。

売上自体は前期比4.4%の減収となったものの、利益は18.8%増で今後もワタミが復活を目指すうえで、宅配事業は重要な「キャッシュカウ」となるといえるでしょう。

次に、事業的に苦戦を強いられているのが海外外食事業です。

2017年3月期には新規に7店舗の出店を行いましたが、不採算店舗の18店を閉鎖するなど、なかなか軌道に乗せることができていない状況といえます。売上高は19.8%も減少して128億円に留まり、損失は5,000万円を超えるなど、今のところは大きな赤字要因ではありませんが一つの心配の種といえそうです。

また、電力小売りを展開する環境事業は、旺盛な電力需要に支えられて順調に成長しています。

売上高は12.9%増の26億円、利益は5,000万円を記録し、規模的には主力事業に及びませんが、今後も安定的に収益をもたらす役割を担うのではないでしょうか。

そして最後の農業部門ですが、売上高こそ、10億円と前期比54.1%という高い伸びを記録しますが、利益は思うように伸びずに2億円近い損失を計上することになりました。

今後は、より差別化された農産物の生産に注力して付加価値を高めていくことが、ワタミグループの外食および宅食のブランド価値向上にも直結するために、より一層の努力が期待されます。

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