知られざる「ウーバーイーツ」の舞台裏。飲食業界の黒船が急成長を遂げたワケ

 

配達員14万人以上の最大手~高級店も続々と加盟

コロナをきっかけに配達を始めた人も多い。大手化粧品会社に勤めるナナさん。コロナの影響から在宅勤務になったのを機に、副業でウーバーイーツの配達員を始めた。

「コロナがなければ副業は考えていなかったです。時間もできたし運動不足もあるので、気分転換で始めました」(ナナさん)

ナナさんは会社の仕事がない朝と夜、やりたくなった時だけ配達に出ている。そこで頼りになるのが配達員専用のアプリだ。開くとGPSで今、自分のいる場所が表示され、出発ボタンを押せばその瞬間から仕事を受けられるようになる。

「(他の仕事は)2週間前にシフトを提出しないとダメ、朝と夜だけシフトに入るのはできないので、好きな時にできるのがメリットだと思います」(ナナさん)

アプリを起動して5分、注文が入った。すると画面には店までの地図と所要時間が。店には前もってウーバーから注文が入っているから、出来たてを受け取るだけだ。次の画面は配達先までの地図。ここまでアプリが指示してくれるから、初めての人でも配達できる。

結局、ナナさんは注文を受けてから20分ほどで届け先に到着した。矢継ぎ早に配達をこなし、体が空いたところで向かったのはマクドナルドの前。実はここが稼げる大人気の待機場所なのだ。

「だいたい2キロ圏内ごとに1店舗あるので、長距離の配達にはならないんです」(ナナさん)

長い距離の配達より回数を増やした方が稼げるという。実際、マックの届け先はすぐ近所で、この配達は狙い通りわずか5分で完了した。その報酬は413円。この日は2時間で4回配達し、1700円ほどの収入になった。

「ランチ代です。この分が豪華になります」(ナナさん)

ウーバーイーツの拠点は東京・渋谷にある。そこであちこちの名店からウーバーイーツでおやつを取り寄せていたのが、ウーバーイーツ日本代表・武藤友木子だ。武藤は代表に就任して2年半で、加盟店を20倍にまで増やした急成長の立役者だ。

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「チョコレートケーキ、焼きそば、たこ焼きと、何でも運べるようにしました。圧倒的な種類の多さ。可能性は無限大です」(武藤)

武藤が最近、力を入れているのが高級店の開拓だ。

東京・港区の「ウルフギャング・ステーキハウス」六本木店は、皿ごと焼き上げる熟成肉のTボーンステーキが名物。ニューヨークからやってきた味も値段も超一流のステーキハウスだ。4月からウーバーイーツに加盟。これまでのウーバーイーツのボリュームゾーンは2000円から3000円ほどだったが、「ステーキ(2人前)」は2万8002円(配送料別)だ。加盟を決めたWDIの清水謙社長は、始めてみて注文の多さに驚いたと言う。

「4月から8ヵ月の売り上げは1億円以上。他の出前会社と比べてもウーバーの注文が多いです。『これは手数料が下がらない』と思うくらい突出しています」

ウーバーイーツと手を組みたいという飲食店は増え続け、サービス開始から4年で加盟店の数は7万店を超え、デリバリー業界でトップを走っている。
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