知られざる「ウーバーイーツ」の舞台裏。飲食業界の黒船が急成長を遂げたワケ

 

事故や配達マナーに批判も~直面する課題への対応は?

若者に人気の街、東京・三軒茶屋。駅前のマクドナルドの前には数多くのウーバーイーツの配達員が待機していた。通称「ウーバー地蔵」。道端で地蔵のようにじっとしてただひたすら注文を待ち続けるのだ。なぜこんな事になってしまったかというと、配達員のひとりは「配達員が1年前と比べると増えて、仕事の取り合いになり稼ぎにくくなっています。夏は月収40万円ほどだったが、10月、11月は20万円ほど。30万円はいかない。10万円以上月収が落ちました」という。

すさまじいスピードで拡大する一方で、ウーバーイーツには様々な課題も生まれている。

例えば配達員の事故。一部で問題のある交通違反も報じられたが、前述の鈴木さんも事故にあっていた。

「ウーバーイーツが日本に上陸したから生活ができているので感謝していますが、一回事故を起こしました。何のケガもなく相手もケガはなかったのですが、その時のウーバーイーツの対応は他人事でした。雇用されているわけではないので仕方ないですが」(鈴木さん)

配達員は全員、個人事業主という扱い。ウーバーイーツとの間に雇用関係はなく、事故の時に責任を取る関係にもないとされる。それでも保険を導入し、鈴木さんの事故でも保険金はおりたが、事故相手との交渉などはノータッチだったという。

また、利用した人からは、「Uber Eats頼んだら、配送30分ぐらい遅れたうえに、スープをこぼされてグチャグチャになっていたから、受取拒否したら、マンション共有部分に投げ捨てられていた」などという声も。少数派とはいえ、マナーの悪い配達員がいたことは事実だ。

真面目な配達員はこの状況について、「正直、迷惑です。一部のマナーの悪い配達員が少なくなるよう、ウーバーイーツには働きかけをしてほしいと思っています」という。

さらに、ウーバーイーツのユーザーである小池栄子もこう言う。

「届いたものが間違っていた時があって、すぐ配達員に電話をしたら、英語のアナウンスが流れて配達員と連絡が取れなくなっていました。やきもきした思いをどこにぶつければいいのか……」

これらの声について、スタジオで武藤は次のように語っている。

「まだまだ改善の余地がありますが、いろいろな声が届くたびに、新しい教育プログラムを入れたり、配達を始める前に気を付ける項目をチェックリストにしています。(配達員と連絡が取れなくなったことに対しては)お客様相談室を設けて、そこに連絡できるようにしました」

~村上龍の編集後記~

利幅は薄いらしいですが本当ですか。武藤さんは「本当です、だから店舗数や注文件数のスケールをとっていかないと」と答えた。あのロゴが入っているカバンはよく目立つ。わたしには無理だなと思う。配達員は個人事業主だ。Uber Eatsに雇われているわけではない。だから不安定で悪さをする人もいるし、だから自由だとも言える。自由な生き方を求めている人が増えているとも言えるし、自由な生き方しかできない人が増えているとも言える。わたしたちはUber Eatsに、本当に自由に生きたいのかと試されている。 

<出演者略歴>

武藤友木子(むとう・ゆきこ)東京都生まれ。1998年、大手外資系コンサル会社入社。2000年、友人とIT企業を起業、楽天へ売却、楽天へ転籍。その後、トラベルズー・ジャパン社長、オープンテーブル社長などを経て、2017年、グーグル合同会社にて新規顧客開発 日本代表に、2018年ウーバーイーツ日本代表就任。

(2021年1月14日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)

 

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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