日経平均は大きな流れとして下押しの可能性が高くなったと見ています。ただ先週突っ込みすぎたぶんリバウンドが入る可能性はあります。そこからの反落シナリオは2通りです。(『山の中の超相場観』)
今週の相場展望~長期では下押しの可能性が高い日経平均だが――
先週までの振り返り
先々週(~6/10)まで三角持ち合い圏形成の動きでした。その先端に近いという認識は当欄でずっと伝えておりました。そして上下どっちに進むかで、確率は上:下=3対7ではないかと予想しており、金曜の欧米市場大幅下落およびシカゴ先物の急落が影響して6/13から始まる6月後半は急落していくだろう、と当欄で予測しておりました。
したがって月曜(6/13)寄り付き、空売りでまずヘッジし、16000円を割れて反騰しないと判断できた時点で追撃の売りをいれていくことを最後に提案させていただきました。
手持ちの買い銘柄をLCしたくない場合は含み損増大を防ぐために信用枠を使ってリスクヘッジしていくしかありません。何もしないのは手持ち資産の行方を運にまかせるのと同じです。手持ちの株を早めに見切り処分するか、処分したくなければヘッジ売りをするか、2つのうちのどちらかしか方法はないでしょう。
日ごろから世界的なリセッションを考えリスクヘッジを考えた複合的なPFを組んでいる人はあわてる必要はないですが、それ以外の人は状況に合わせて臨機応変に対応していくしかありません。
暴落にいかに対応するか、明確な対策を
含み益銘柄を手仕舞いできなかった人は短期およびスイング投資でいくのか長期投資でいくのか日ごろから作戦があいまいな人です。何はともあれ現金です。損失に変わる前にどうするか日ごろから対策を立てておくべきです。
1570日経レバETFを月曜寄り付きで空売りし16000円割れで追撃売りした場合、手持ちの買い銘柄の含み損が平均5%増加した場合は買いと売りがそれぞれ100ずつなら相殺されたはずです。少なくとも買い銘柄の損失は軽減されたでしょう。
暴落にいかに対応するか。その方策についてはその程度にして、なぜ明確に下落がわかったかといえば、言うまでもなく、三角持ち合い圏形成をリアルタイムで追いかけていたからです。上下どっちにブレイクするかを息をつめて見守っていたからにほかなりません。
三角持ち合い圏はエネルギーが行き場を失って充満している状態で、ブレイクした方向にそのエネルギーが流出していくと解説しておりました。
ですから流れができるわけです。どっちにいくか不透明な状況から道筋がつくわけですから、そこから乗るというのが常套手段です。上なら買い。下なら売り。
金曜のシカゴ先物日経平均が16290円と三角持ち合い圏維持の下限レベルと見ていた16300円を割っているのですから、今週FOMCで利上げ先送り→円高ドル安の可能性を考えればブレイク方向は下の可能性が高くなったと判断し月曜寄り付き1570日経レバETF売りだったわけです。リスクはかなり低いディーリングでした。
今後の日経平均は大きな流れとして下押しの可能性大
日経平均の大きな流れとしては下押しの可能性が高くなったと見ています。日経平均の月足連続足をチェックしてみてください。
日経平均株価 月足(SBI証券提供)
2月の大陰線の後、3月~5月の3か月の月足が反騰を試みているものの今月の月足が再び大陰線で下落という連続形です。N字の逆で陰線が入る場合は下押し圧力を表現しています。もっとも今月あと2週間ありますので、その間で持ち直した場合、まだ反撃できる可能性は残されています。それが可能かどうかです。
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【展望】今週はいったん戻りを試してから反落か
イメージ的には来週はいったん戻りを試す方向と見ています。先週突っ込みすぎたのでいったんリバウンドが入る可能性のほうを考えています(間違っていればリアルタイムで修正していくだけです)。理由は以下の通り。
PER13倍割れ水準は目先、売られすぎ
日経225PERは6月16日に13倍を割っています。2月12日の12.97倍を割る12.90倍という低さです。明らかに下げ過ぎです。
日経平均株価 日足(SBI証券提供)
25日騰落レシオは16日に81.3P。こちらは今年1月から2月にかけて60Pも下回るときもあったぐらいですので、これ以上下げないとは限りませんが今週、上昇銘柄数が東証1部全体の5%を切る日が続いたぐらいなので、売られ過ぎ感はいずれ近いうちに出てくるものと見ています。
ドル/円のマイナス乖離度が急拡大
為替でも突っ込み過ぎました。ドル円はマイナス乖離度が急激に大きくなっています。2月中旬と6月月初はマイナス乖離度が大きくなりすぎても、なおドル安円高方向は続きましたが4月初旬と4月末はリバウンドが入っています。
米ドル/円 日足(SBI証券提供)
現在1ドル104.09円で25日移動平均線からの乖離の大きさから、このままドル円が下げ続けるよりも、いったんリバウンドの可能性が高いと読みます。
しかしながら6月16日の103.58円は底ではなく、さらに下落が進行すると見ており、下値メドは、103円前後から最も低い水準で100円前後。このへんがテクニカル的に現時点で底と推測できる水準です。
ドル円と日経平均は連動しておりますのでドル安円高が長期的に続くならば下押し圧力になるのは言うまでもありません。FRBは利上げをコンスタントに行っていくとしていますが、それならばドル高円安に向かわなければおかしいはずですが、現実に目の前に繰り広げられているのはFOMCで利上げ見送り→ドル安円高です。
長期的なドル安円高トレンドは明らか
これまで米国の利上げを見越してドルが買われ過ぎてきたので、その水準訂正が利上げ見送りのたびに行われているというのが専門家の説明ですが、単純にチャートだけ眺めていれば長期的なドル安円高がわかります。また外資が日本株を積極的に買ってこないことも仕方ありません。ドル安円高方向ですからADRでドル建てで日本株を買うなら割高になり魅力を感じません。インドSENSEX市場あたりが、より魅力的に映るでしょう。
2つのシナリオ
日経平均に関しては来週いったんリバウンドが入って16000円を超えるかどうかがポイントと見ています。16000円ラインが上値抵抗線になり再び反落するか。あるいは16200~16300円ぐらいまで戻って、重くなり再び反落の2つのシナリオを描いています。
Next: 現在のマザーズ市場をどう見るべきか?
現在のマザーズ市場をどう見るべきか?
新興市場は、JQ市場はそうでもないですがマザーズ市場に関しては全般、利食い売りが入っています。どれが辛抱強く持ち続けていい銘柄か厳密に吟味するときが来ています。
マザーズ指数 週足(SBI証券提供)
当塾では3092スタートトゥデイの下降トレンドへの転換を正確に当てたキャリアがあります。2011年9月の大幅下落のときです。テクニカル的に判断して上昇トレンドは終わったと告知しました。そしてその通りにこの銘柄は下げていきました。その後1年4か月の長期間、下降トレンドが続きましたが、再び長期上昇トレンドを築いています。目先突っ込むことはわかりますが2年先、3年先の株価を読むことは非常に難しいです。
ですので、長期で持っていたら大丈夫ですよ、という言い方は当塾ではしません。雲をつかむような言い方は好きではありません。目先、下押しが続きそうだとわかれば、厳しいですとお伝えするしかありません。もちろんスタートトゥデイのような銘柄であればいいですが、それはずっと後にならなければ、わかりません。
地合いが変わった
すべては地合いです。アベノクス初期の頃は強気でした。どっしり構えていればいいんですよと繰り返し言いました。そして実際、持てば持つほど、株価は上へ行きました。辞めた方から、ずっと持っていればよかったんですねと繰り返し言われました。現在の株価を見て信じられないといった顔をされました。それだけ強い地合いだったのです。
今後に関しては不透明というしかありません。今後、上がる銘柄とそうでない銘柄が明確に分かれていくでしょう。個別勝負と割り切るべきだと思っています。どんなに悪い地合いの中でも株価が伸びる会社は必ず存在します。逆行高できる銘柄を発見できるように分析力をさらに高めていきます。
Next: 現在の地合い判断/今週の狙い目銘柄
現在のポジション
日経平均地合い判定
F どちらかというと上昇より下降トレンドが明確
マザーズ地合い判定
F どちらかというと上昇より下降トレンドが明確
JQ 地合い判定
D 上昇トレンド確率55%~60%
方向性がわかりにくいが、どちらかというと買い有利(状況次第で調整入りする可能性あり)
今週の狙い目銘柄
福井コンピュータHD<9790>
建築・測量土木CADで首位。連続最高益。建設3次元CADが牽引。今期義務化の点群データ処理ソフトが特需始動(以上、ネット版四季報より)。
福井コンピュータホールディングス<9790> 週足(SBI証券提供)
持ち合い圏ブレイク上伸で今週逆行高しており地合い悪の影響を受けずにマイペース上昇中。浮動株比率6.1%、特定株比率82.6%というところがミソ。地方発の銘柄が大局的流れに逆行できる独自力ありと見る。17日終値1758円。
『山の中の超相場観』(2016年6月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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