売り買い勢力の力が拮抗しているうえ、買い判断、売り判断の基準がよく見えない現在の状態は、混沌、というしかない。株価の動きに連続性がないため、とらえどころがない。(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2016年8月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
週明け反発の公算も本格買いは時期尚早、拙速は危険な雰囲気
一貫した買いは信託銀行のみ
先週の日経平均は売り買い交錯で方向感のない地合いだった。
直近1か月間の投資主体別売買動向にも明らかだけれども、売買比率1位と2位の海外投資家(以下、略称で外資と記述)と個人投資家が週ごとに買い越しと売り越し、交互に転換。そして外資と個人投資家のポジションは正反対。
一貫しているのは信託銀行で、7月第2週を除き一貫して買い越している。
買い勢力と売り勢力の力が拮抗しているためだろう、日経平均もこの1か月、上昇と下落を繰り返しており、方向感が見えない。同時に、買い銘柄と売り銘柄それぞれの基準や目安が把握しづらい。
「悪材料出尽くし」と「好材料織り込み済み」が交錯
2017年第一四半期と2017年3月期の業績予想が今週も上場各社から発表されたが、先々週に続き先週も、下方修正を発表しながら買われた銘柄も多かった。その一方で上方修正や株式分割を発表しながら材料視されずに大きく下落した銘柄も目についた(代表的な例がセプテーニHD<4293>)。
一言で表現するなら、業績悪で買われるものは「悪材料出尽くし買い」、好業績で売られるのは「好材料織り込み済み」ということになる。悪材料出尽くし買いのほとんどが長期下降トレンド銘柄だった。また好材料織り込み済みで売られた銘柄に多かったのが上昇トレンド銘柄だった。
もっとも長期で上昇トレンドだったからといって、好材料ですべてが売られたわけではない。ミロク情報サービス<9928>やベネフィット・ワン<2412>は、好業績の発表で窓を空けて急騰した(しかしベネフィット・ワンはその後、利食いに押されて急騰する前の株価より下落しているが)。
傾向としては、中型から小型株に長期上昇トレンド銘柄が多かったが、好材料発表とともに下落が目立つ(すべてではないが)。いっぽう、業績悪を発表後、急騰する銘柄に多いのは東証1部の外需セクターで電子や自動車など部品メーカー。長期下降トレンド銘柄に目立つ。部品メーカーだけではなく、それ以外のセクターにも悪材料出尽くし買いは見られる。外需だけではなく内需セクターにも出尽くし買いは見られた。下降トレンド銘柄が特徴だろう。バリュー株買い、いわゆるファンダメンタル的に割安度の高い銘柄が買われたところに特徴がある。
売り買い勢力の力が拮抗しているうえ、買い判断、売り判断の基準がよく見えない現在の状態は、混沌、というしかない。株価の動きに「連続性」がないため、とらえどころがない。好材料を買いにくい、悪材料を売りにくい、そしてどちらの場合でも、持ち越ししにくい。
海外材料にも素直に反応せず
さらに言うと海外材料に対する反応も一定でない。NY市場が下落して返ってきても必ずしも日経平均が下げるとは限らない。だから売りポジションも取りにくい。買いでだめなら、売ればいいという、押してもだめなら引いてみると結果が出るのが株式市場なのだけれど、それも通用しないということは結局、いかに今の地合いがポジションを取りにくいかを表している。
というわけで現在は、トレンド待ちの状態である。好材料がそのまま上昇要因に、また悪材料が下降要因になるタイミングを待ちたい。
Next: 週明け反発で始まりそうな日経平均、現在のテクニカル的な位置は?
週明け反発で始まりそうな日経平均、現在のテクニカル的な位置は?
現在のテクニカル的な位置をおさらいしておきたい。
日経平均は現在下降する5日移動平均線と反騰する25日移動平均線がぶつかった状態で持ち合い圏のかたち。東証1部25日騰落レシオは120P台から100Pを割った状態で下向き。日経225PERは7月21日に14.03倍まで戻ったものの、その後、じわじわと下げ続け現在、13.5倍前後。どちらも決して高い位置ではないが下押し圧力の高さを感じさせる。
では売りかと言えば、先述した通り売り買い拮抗で方向感がないうえ、金曜のNY市場が上昇、シカゴ先物日経平均も大証比200円高で返ってきているため週明けの東京株式市場は反騰して始まる。
ドル円の下げ止まりが焦点だがNY終値101.75円とドル高円安方向で引けている。したがって週前半、買戻しでスタートだが、そのまま買戻しが続くか見極める相場展開になるだろう。
欧米市場や新興工業国のリスク選好相場はピークアウトする見方もあったけれども今週時点ではまだ継続中。金曜のNY市場、特にNYダウは綺麗に反騰しており来週は買戻しが続きそうな雰囲気がある。
カギを握るドル円相場
世界的なそうした市場環境を見ると日経平均も持ち合い圏のバランスが崩れて買いの力が上回ってもよさそうだけれども、まだ時期尚早で、拙速に動くと危険な雰囲気がある。ドル円は下げ止まっているのか。もし下抜けしても100円で下げ止まるのか。そのへんがカギを握る。
バリュー株買いの動機は100円まであと1円なのだから長期資金の見込み買いではないかとしていたが、まだまだ大きな流れにつながっていないため、あわてなくていいだろう。
今の日経平均に似た動きがトルコを代表するXU100指数。今年に入りロシア機撃墜や軍部のクーデターなど政情が安定しない。株価指数も荒い上下動で方向性がない。日経平均も欧米先進国の一部に根強い日本売り勢力がいる一方で原油大国の政府系マネーに長期資金で買う勢力もいるなど外資の中でも売り買いの力が衝突していると見る。
外資が連続買い越しになり、好材料が買い材料になる、わかりやすい地合いになるまでは、リスク限定、期間限定の着実、確実なトレードでこつこついきたい。
Next: 日経平均、マザーズ、ジャスダック 各市場の地合い判定
地合い判定
日経平均
上昇トレンド確率45%~55%、方向性が見えない。
マザーズ
どちらかというと上昇より下降トレンドが明確。
ジャスダック
どちらかというと上昇より下降トレンドが明確。
※本記事は、『山の中の超相場観』2016年8月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山の中の超相場観』(2016年8月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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