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【展望】NY株式市場の調整入りで日経平均も下押しは避けられず(4/16)=山の中

今週の日経平均株価は、下押し圧力が高い地合いを予想します。NY株式市場の下落がさらに進みそうだからです。各種の指標から、底入れのタイミングを予想してみましょう。(『山の中の超相場観』)

※本記事は、『山の中の超相場観』2017年4月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

25日騰落レシオも信用評価損益率も、多くの指標が大幅調整示唆

NY株式市場に赤信号

今週の日経平均は、下押し圧力が高い地合いを予想します。その理由として、まず第一に挙げられるのが、NY株式市場の下落がさらに進みそうな点です。

先週引けの連続足は、主要3指数ともにレンジブレイクで下落しており、週明けの下押し圧力を想像させます。

週足NYダウチャートは先々週のクロスの後、明確に陰線で下落しています。クロスは売り買い拮抗を意味しており、転換線の別名があります。つまり、高値圏でのクロス出現は、翌週の足が陰線下落なら下押し圧力継続の可能性が高いと見ます。

NYダウ 週足(SBI証券提供)

というわけで、NYダウは今週2万ドル前後までの調整を予想しています。ポイントはその後です。2万ドルが支持線として機能するかどうか?心理的な節目でもあり、2万ドルを割らずに反騰すれば値ごろ感から買い戻されるでしょうし、逆に2万ドルラインを割って下落が進めば、リスク回避の動きが高まるでしょう。

先週木曜、アフガン空爆が嫌気され、NY市場はもみあいから大きく下押しして引けています。市場心理はあまりよくありません(金曜はグッドフライデーで休場)。

日本市場も弱気転換

4月1日前後からNY市場が調整入りする可能性について、以前当欄で指摘していました。問題は日本市場がその影響をどう受けるかでした。結論から書くと、強気で押してきましたが、今週から弱気に転換です。底入れは近いかもしれませんが、まだまだ下押しが続きそうです。

日経平均の週足は先月までのもみあいレンジ下限を割って、先週明確にレンジブレイクで下落しています。今週も陰線で下落しそうです。NYダウの連続足が先述したとおり下押し圧力が高い引け方をしていますので、日経平均も同様にレンジブレイク下落していることから、今週のさらなる下押しは避けられないでしょう。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

その下押しが今週で止まるかどうかのポイントとして、NYダウが2万ドルラインで下げ止まるかがカギを握っていると見ますが、VIX指数(S&P500 Volatility Index/恐怖指数とも)から判断すると、下げ余地はまだ十分です。

現在のVIX指数は15.96Pですが、これが24P前後まで上昇しないと底打ち感は出てこないと思われます。NYダウの13日終値が20453ドルですので、2万ドルまで下落したとしても453ドルの下落ですから、これくらいで果たして下げ切った雰囲気になるかは分かりません。

2万ドルとび台で、もみあいの可能性もありますし、もしかすると2万ドルを割って下落が進行する可能性も考えておきたいものです。

Next: 大幅調整は避けられず?では今回の下押しは一点底か二点底か



今回の下押しは一点底か二点底か~25日騰落レシオ

となると、日経平均の下押しは今週では止まらないかもしれません。今週後半からはゴールデンウィーク(GW)の大型連休が視野に入ってきます。下げ止まらず軟調な動きが続くと、連休前にポジションをいったん閉じる動きが予想されます。ファンダメンタルズを抜きにして売られる展開もあり得ます。

底入れタイミングを予想するために、いろいろな指標をチェックしてみましょう。まず日経平均25日騰落レシオは現在、69.07Pと70を割りました。80で底値圏の目安とされますので売られ過ぎ状態です。

直近2年でこの水準まで騰落レシオが下げたケースを見てみると、2015年8月25日~9月25日までの1カ月間と、2016年1月7日~2月15日までが、70割れの期間に該当します。

この時の動きでは、2015年8月25日~9月25日までの期間、日経平均もほぼ最も安い水準で推移しました。2016年1月7日~2月15日の期間では、1月20日にいったん底をつけますが、それはリバウンドにすぎず、本当の底入れは2月15日でした。

つまり、2回急落が入り、ようやく底入れしました。今回の騰落レシオ70割れは一点底になるか?それとも2016年1月型のように二点底になるか?そのどちらでしょうか。

ここから評価損が拡大する方向~信用評価損益率

次に信用評価損益率を見ましょう。4月7日の-9.49%が最新の数値です。

信用評価損率が7%未満の状態が今年2月10日~3月24日まで続きました。信用評価損がその水準まで小さいということは、相場の過熱を表していました。現在は、その信用評価損が少し悪化し始めたタイミングです。

信用取引の損の小ささと大きさで、相場の天井と底を想像してみます。前回の信用評価損率7%未満は、2015年7月15日~2015年7月31日です。この後、今回と同じように、評価損率は悪化し、同時に日経平均も大きく調整が始まりました。

日経平均は8月13日の高値2万595円から、9月29日の16390円まで、1カ月と17日で4200円下落しています。

今回直近の日経平均高値は3月10日の19604円。このときの信用評価損率が-5.19%です。2015年の大幅下落期間では、信用評価損率は9月4日の-16.7%まで下げましたので、最新データの-9.49%は、まだまだ評価損が拡大する方向と言えるでしょう。

東証1部空売り比率、新安値銘柄数はリバウンドを示唆するが…

東証1部空売り比率新安値銘柄数をチェックして分かるのは、いったんのリバウンドは近いのではないか、ということです。

直近2年以内では、空売り比率が40%超えの期間に入ると、まずリバウンドが入っていました。しかし今回は3月29日以降、12営業日連続で空売り比率が40%超えしているにもかかわらず、まだ1回もリバウンドが入っていません。ずるずると下げ続けている状態です。

もうひとつ、新安値銘柄数を見ても、過去2年間で、新安値銘柄数が500を超えたのは2015年9月、2016年1月、2016年7月と3回ありましたが、いずれもリバウンドが入っています。

しかし、これらはあくまでもリバウンドに過ぎず、その後、さらに大きな下落が入り、そこで底入れ反騰の動きとなっている点には注意が必要です。

Next: 続く株価下落。セリング・クライマックスはいつ?



続く株価下落。セリング・クライマックスはいつ?

以上のデータや連続足チャートから考えた結果、まだ下落が続く可能性が高いということです。

では、いつ頃がセリング・クライマックスになるかですが、早ければ今週から来週にかけて、遅ければゴールデンウィーク明けと見ます。

フランス大統領選への警戒で、NYダウの2万ドル買い支えが機能せず、選挙でEU離脱の国民投票を主張するル・ペン候補が勝利すれば、大型連休後のショック安などもあり得ない話ではありません。その後、大きなリバウンドが入るものと予想します。さらにその後の展開については、別稿で分析します。

この分析を読んで、まだ下げ止まらないのかと、ため息が出そうな方も多いと思います。しかし世界的なリスク選好が長期に続いた後、NY市場の雲行きが怪しくなっています。状況に対応して長期投資目的の銘柄だけを残し、現金比率を高めたい場面です。

現物株の金額に見合った日経レバETF<1570>の空売りなども考えられますが、空売りをするためには信用口座が必要ですので、まだの場合は証券会社に申し込む必要があります。手続きに時間がかかるようだと、突っ込んでからの空売りが、急激なリバウンドにつかまる危険もあります。

空売りは苦手、したくないという投資家は、長期投資銘柄だけに絞って現金比率を高め、嵐が過ぎ去るのをじっと待つのみ、の局面と見ています。
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※本記事は、『山の中の超相場観』2017年4月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(「ヒット銘柄探しの作法その2」)もすぐ読めます。

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山の中の超相場観』(2017年4月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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