本日の書評は、宝島社から出ている文庫本『住宅情報誌が書かないコワ~い不動産の話』です。タイトルの煽り方が、さすが宝島社という感じです。新築の戸建て、マンション、中古の戸建て、マンションについての困った問題などを実録した内容となっています。投資物件というよりは、自分自身のための住居としての不動産について書かれています。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)
プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。
『住宅情報誌が書かないコワ~い不動産の話』を読む
『住宅情報誌が書かないコワ~い不動産の話』宝島社
この本は、投資物件というより、自分自身のための住居としての不動産について書かれたものです。
- 新築マンションを売るためのテクニックとは
- マンションの販売価格がいつまでも未定な理由とは
- タワーマンションの問題とは
などなど、気になる不動産屋の裏話が垣間見られます。ということで、簡単に内容をピックアップしてみましょう。
以下、著者の言葉を抜粋します。
※『』内は引用です。
新築マンションを売りつける心理テクニックの数々
女性はキッチンに、男性は売約済のリボンに騙される!
『モデルルームは購入検討者に「買い」を促すための不動産心理学が多用さている』
『マンションでもっとも多いパターンは住戸に挟まれた中住戸』
しかし、
『モデルルームにあるのは角住戸』
『天井を高く、部屋を広く見せるため、極力、家具や家電は置かず、低くて小さな家具を使っている』
『女性の心をつかむために(中略)キッチンに置いてあるのは、オプションの最高級品ばかり』
『一方、男性は「商談中」「売約済」のリボンに落とされる』
商談中、売約済のリボンを見ると
『限定商品なので手に入れられない』という『リアクタンス効果』が生じる。その効果を『振りほどこうとする行動(つまり商品を手に入れたいという衝動)が生じる』。そしてそれは『男性にその効果が大きいとされている』。
『業者によれば、このモデルルームの「商談中」「売約済」を示す造花やリボンなどは完全なダミーの場合が多いという』
Next: 新築マンションが予定販売価格未定なのはなぜか?
新築マンションが予定販売価格未定なのはなぜか?
『マンション価格は原価(土地代と建築費)で決まるのではなく、購入者が受け入れられる実勢価格できまる』
『マンション業者は購入者のフトコロ事情をよくよく調べてから価格を決めたいため、いつまでも“未定状態”になる』
『モデルルームを訪ねると(中略)「価格はまだ決まっていません」と説明され、逆に「予算はいくらですか」「どれくらいの価格なら購入しますか」などとヒアリングされる』
タワーマンションのエレベータ問題
『マンションの住人の頭痛の種がエレベータラッシュ。特に朝はラッシュで、乗るだけで10分以上も待つことも』
『エレベータは最低でも50戸に1台は必要だといわれているので購入前に、戸数とエレベータ数を比較する確認は欠かせない』
また、災害時の停電に備えて、
『エレベータの動力電源がバッテリーに切り替わり、最寄り階まで自動運転する停電時自動着床装置がついているかどうかもチェックしたいところ』
『首都直下型地震が発生した際のエレベータの閉じ込めは都内で7000台を越えると予測されているだけに、万全のチェックが欠かせない』
Next: 「この物件を探しているお客様がいます」の大嘘
「この物件を探しているお客様がいます」の大嘘とは?
『マンションの郵便受けによく入っているチラシに「○○マンション限定で部屋を探している人がいます(中略)」などと書かれたものがある』
『実際には「部屋を探している人」はおらず、チラシを見た人が連絡をすると』『「そのマンションの部屋が欲しいという方は別に欲しい物件がでてきてしまいました」』と断られ
『近隣で物件を探されているお客様が現在何人かいらっしゃいますので、物件売却をご検討されているのであれば、一度、お部屋を見せていただけませんか?』と言われる。
『注意したいのは、この「近隣で物件を探されているお客様」』の『「近隣」のエリアはバカ広く、「○○線沿線」や「××区」の物件を探していることが多いのだ』
総括
今回の本は文庫なので、電車中などで簡単に読み終わりました。そこまであこぎなことをするか?という疑問もありましたが、書籍としては、もっともひどい部分を強調して書いてあるのでしょう。実録とあるので、何らかの事実に基づいて書いているのでしょうし、程度の差はあれ、このようなコワ~い話はあるかもしれません。
不動産業者と一般消費者には、どうしても情報の非対称性が存在するので、騙されてしまうことは往々にしてあるかもしれません。消費者としては、できるだけ知識を付けて、悪徳業者に騙されないように自衛する必要があると思います。
不動産業者のやり口を知るという意味で、話半分にでもさらっと目を通しておいても良いかもしれません。まぁ、個人的には流し読みで十分だと思います。でわでわ。
『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2016年8月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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