前回のコラムでは「個人の市場価値を測れる時代の到来」としてVALUやTimebankについて取り上げさせていただきました。
今回はこのような新しいサービスを提供する企業で、Timebankの運営会社である株式会社メタップスに焦点をあててみようと思います。(『億の近道』梶原真由美)
ファイナンシャルプランナー。日本ではまだ珍しい顧問契約制のFP会社である株式会社マネーライフプランニング所属。1976年千葉県生まれ。40歳で出産、12歳年下の夫と長女の3人家族。
話題の新サービス『タイムバンク』運営会社3つの事業と成長戦略
株式会社メタップス<6172>の歩み
設立は2007年9月。佐藤航陽氏がSEO(検索エンジン最適化)を中心としたマーケティングコンサルティングサービスの会社として、メタップスの前身であるイーファクター株式会社を開業しました。
2011年4月、アプリ収益化プラットフォーム“metaps”のサービス提供を開始し、同年12月、社名も株式会社メタップスに変更しました。
米国、韓国、台湾、中国に支店・子会社を設立し、2015年8月にマザーズ上場となりました。
メタップス<6172> 月足(SBI証券提供)
成長戦略「データノミクス構想」とその柱となる3つの事業
事業を通じて得られるデータを軸とした経済圏の構築を「データノミクス」と定義し、成長戦略としています。
具体的には3つの事業を柱としているようです。
- マーケティング事業(分析、広告、販促等)
- ファイナンス事業(決済、投資、融資等)
- コンシューマ事業(EC、メディア、動画等)
主要サービスで社名でもある“metaps”は、アプリ開発者向けのプラットフォームです。AI(人工知能)を経由することで、スマホユーザーに対して適切な広告を配信することで、アプリの収益を最大化します。
例えば、スマホゲームの広告を打つときに、「月3,000円以上使う課金ユーザー」と同じ属性のユーザーにのみ広告を配信するといった柔軟なターゲティングが可能となります。
Next: Timebankが成長の鍵に?利益率が高まるのはこれから
今期は黒字化の見通し
2016年8月期の有価証券報告書を見てみましょう。
売上高は前期41.3億円に対し、88.9億円と倍増していますが、当期純損失も前期▲3.9億円から▲8.2億円と倍増しています。
売上高増に対して売上原価及び販管費も増額しており、結果的に営業損失を拡大してしまっていることが要因だと思われます。
一方、為替差損が▲2.1億円計上されています。これはメタップスの売上の53%が海外事業からとなっており、為替の影響を受けやすいことが指摘できます。
しかし、2017年度の第3四半期累計を見ると、今期は黒字化になりそうな見通しです。
今後はコンシューマ事業のシェア拡大と収益化が目標
有価証券報告書や決算資料を見ると、マーケティング事業の収益化とコンシューマ事業への投資が完了、並びに決算黒字化が実現してきた、というフェーズのようです。走り幅跳びで言えば、助走をつけて踏み切った段階でしょうか。
2016年10月の中期経営方針では「まずシェアの拡大、その後(5年を目処に)利益率を高める」としていますので、今のところ目論見通りというところでしょうか。
今後はコンシューマ事業のシェア拡大と収益化が目標となりそうですね。その先駆けがTimebankだという位置づけでしょうか。Timebankはメタップスの成長の鍵となるでしょうか?しばらく注目していきたいと思います。
『億の近道』(2017年10月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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