サラリーマンの6割は仕事をやめたいと考えており、その理由は給料の低さだ。しかも本音では転職したいわけではなく、早期リタイアを望んでいる。それは可能か?(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
仕事やめたい、転職もヤダ…。現実的な早期リタイアのプランは?
サラリーマンの6割「仕事やめたい」
サラリーマンのほとんどは「仕事は仕方がなくやるもの」であり、自分のやっている仕事がそれほど好きになれないまま働いている。
いくつかの企業がやっているインターネットでのリサーチや、コンサル会社が取ったアンケートなどで見ると、だいたい6割近くの人が「仕事を辞めたい」と答えている。
会社を辞めたい理由はいくつもあるのだが、常に統計の上位に上がっているのは「給料が低い」「やり甲斐を感じない」「会社の将来に疑問を感じる」「人間関係が悪い」「残業が多い」である。
この中で実際に会社を辞めるきっかけになる理由の第1位は「給料が低い」に尽きる。これが圧倒的に多い。ところが、ほとんどの人は「辞めたい」と思いながら辞めるのをためらい、ずるずると会社に居続ける。
なぜか。厚生労働省の『転職入職者の賃金変動状況割合』を見てもわかるが、今の会社に不満を感じて会社を辞めると、ほとんどは次の会社で賃金が下がるからである。特に35歳以上の人にはそれが顕著に表れる。
会社を辞めたら賃金が下がる。しかし、今のところに居続けても給料が低くて不満がある。その狭間でサラリーマンはストレスにさいなまされながら生きている。
アーリーリタイアは不可能になる?
サラリーマンの多くが望んでいるのが、転職ではなく「アーリーリタイア」である。
早ければ40代で、できれば50代で仕事を辞めて、後は贅沢はできなくてもいいから静かにひっそりと暮らしたいと考えている。
アーリーリタイアと言えば、ハワイかどこかのリゾートに引っ越しして朝からトロピカルな空気を満喫して生きるようなイメージが喧伝されている。
しかし、実際にサラリーマンが望んでいるのはそういったセレブの休暇みたいなものではなく、日本の郊外のどこか静かなところで、あまりカネを使わないで、ひっそりと静かに細々と生きることである。
しかし、1990年のバブル崩壊から日本社会は明確に変質して、アーリーリタイアが難しい社会になりつつある。
企業は従業員をリストラするようになった。企業は正社員を雇わなくなった。企業は賃金の上昇を抑えるようになった。企業は国外に出て行って、より低賃金の人間を雇うようになった。
これによって日本で貧困と格差が増えて目に見えて少子化が進み、30年経って世界でも類を見ない超少子高齢化の社会へと突入した。
その結果、賦課方式(現役世代が負担する保険料を財源とする方式)で運営されている年金が危機的になり、政府は「70歳まで働け。できれば一生現役」「年金だけに頼らずに2000万円貯めておけ」のようなことを言うようになっている。
一生現役とアーリーリタイアは真逆の方向だ。仕事だ好きで好きでしょうがないという人は一生現役と言われると喜ぶが、多くのサラリーマンは絶望の淵に沈む。社会の空気から見ると、アーリーリタイアは「とんでもないこと」なのである。
しかし、それでもアーリーリタイアを考えているのであれば、まずは「どれくらい資金が必要なのか」という具体的な数字が欲しいと思わないだろうか?
Next: アーリーリタイアするなら絶対に決めておくべき2点とは
決めておかなければならない2点
もし本気でアーリーリタイアを求めるのであれば、決めておかなければならないのは、以下の2点である。
1. 何歳でリタイアするか
2. 月にいくらで生活するか
当たり前だが、若くしてリタイアすればするほど資金は必要になる。資金が潤沢に用意できるのであれば、何歳でリタイアしても問題ない。
しかし、資金が足りないのであれば、リタイアする年齢を遅くして使う生活費を少なくしなければならない。
人々が羨望するのは40代でのリタイアだが、実際のところ50代でのリタイアが最も現実的であるかもしれない。
50代でリタイアするなら?
たとえば、「50歳でリタイアして、月に25万円で生活する」のであれば、65歳までは4,500万円の資金が必要になる。25万円の12ヶ月は300万円。それを15年だから4,500万円だ。
65歳以後は年金がもらえるようになるのだが、厚生年金と国民年金合わせて13万円くらいだと計算すると、以後は12万円の貯金を取り崩していく必要がある。そうすると2,880万円の生活費が85歳まで必要になる。
2つをまとめると、50歳でアーリーリタイアして85歳まで生きるとしたら合計で7,380万円の資金が必要だ。
しかし、この計算は「余裕資金がまったくない」計算なので、月25万円を使い切っていいというわけではない。多少は余るようにしておかなければ、長生きしてしまった時や事故や病気になった時に経済的余裕が一気になくなる。
「50歳でリタイアして、月に25万円で生活する」
「年金は月13万円で、85歳まで生きる」
この2点で計算した場合、約8,000万円がアーリーリタイアを実現できる一般的な額であると言える。
Next: 8,000万円など貯められない…現実的な早期リタイアのプランは?
8,000万円など貯められない…
8,000万円というのはエリートサラリーマンでは可能な額かも知れない。たとえば「国民は一生現役で働け」と指針を出している高級官僚は、皮肉なことにアーリーリタイアが可能だ。しかし、一般的なサラリーマンが成し遂げられる額なのか。
統計で「還暦を迎える人の平均貯蓄額は2,900万円。7割弱が2,000万円以下」という現状を考えると、恐らく多くのサラリーマンにとって8,000万円というのは「どんなに節約しても不可能」と思うような額ではないか。
現実的な額はどれくらいなのか?
そうであれば、どうするのか。
「年金は月13万円で、85歳まで生きる」という前提を変えないで8,000万円という額を減らすのであれば、「リタイア年齢を遅くする」「月の支出額を減らす」の2点を行うしかない。
55歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額5,880万円。
56歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額5,580万円。
57歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額5,280万円。
58歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額4,980万円。
59歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額4,680万円。
60歳でリタイアして月25万円で生活する場合は、総額4,380万円。
月の支出額を20万円に設定すると、もちろん総額はもっと減る。
55歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額4,080万円。
56歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額3,840万円。
57歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額3,600万円。
58歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額3,360万円。
59歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額3,120万円。
60歳でリタイアして月20万円で生活する場合は、総額2,880万円。
もし、田舎に引っ込んで月15万円しか使わない耐久生活をしてもまったく構わないと割り切れる人であれば、さらに総額が減る。
55歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額2,280万円。
56歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額2,100万円。
57歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額1,920万円。
58歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額1,740万円。
59歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額1,560万円。
60歳でリタイアして月15万円で生活する場合は、総額1,380万円。
これらの計算は「余裕資金がない」のと「85歳で人生が終わると決めている」という点でギリギリに近い額であると言える。
ただ、こういう計算をすると、自分がアーリーリタイアをするための具体的な「額」が見えてくるわけで無駄ではない。
さて、あなたはどうだろうか。具体的な数字は見えているだろうか?
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『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』(2019年7月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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