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海外投資家「日本株買い再開」の条件~東証2部・新興市場にヒントあり!

今週のFOMCで米国が利上げ見送りなら、来週NY株式市場は下降トレンドの悪循環から抜け出す可能性が高いと見る。そうなれば日経平均株価の懸念材料はなくなる。(『山の中の超相場観』)

今週の展望~注目イベントをこなし、残る懸念は米追加利上げのみ

ECB追加緩和と原油底入れを好感しリスク回避心理遠のく

週末の欧米株式市場は大幅上昇だった。

木曜日のECB定例理事会量的追加緩和とマイナス金利幅の拡大という市場予想以上の積極策を決めながら、会議後の記者会見でドラギ総裁のこれ以上の緩和策には限界があるという追加緩和打ち止め発言が市場の混乱を招いた。
ドラギ追加緩和の狙いと“あり得る”米3月追加利上げ/日本景況感に黄信号

しかし理事会翌日の金曜はECBの決定を評価する空気に変わり欧米市場は大幅高となった。

従来、追加緩和策はリスクオンに市場心理を傾かせ株式市場は買われてきただけに、木曜の積極追加緩和策を発表後、株式市場が売られたことですでに追加緩和策も刺激材料になりにくいかと思われたけれども、一日置いて市場はリスクオン方向で反応した。

NYダウ 日足(SBI証券提供)17213.31 +218.18 (+1.28%)

NYダウ 日足(SBI証券提供)17213.31 +218.18 (+1.28%)

NY原油先物市場は先週も反騰。2008年末から2009年年初にかけての月足3連続下髭出現後の陽線出現で底入れしたときと似ていて、今年1月、2月の下髭つき連続月足の後、今月月足は陽線方向なので底入れに向かっているものと思える。

WTI原油先物 日足(SBI証券提供)

WTI原油先物 日足(SBI証券提供)

年明けからリスク回避に極度に世界金融市場は傾いていたけれども、先週、ECBの定例理事会が無事通過し、加えて原油先物価格が底入れ確率を高めたことで週末の大幅高につながった。

NYダウは前回戻り高値の昨年11月3日高値17918ドルより下の位置なので、長期上昇トレンドが復活したとはまだ言えない状態だが、原油先物価格の底入れでリスク回避心理が遠のくのは明らかだ。

残る懸念材料は米国FRBの追加利上げ

残る懸念材料は米国FRBの利上げで、今週火曜から水曜にかけて行われるFOMCでどういう決定を下すか。利上げ見送りの市場予想が多いようだが、ようやく株式市場も安定してきた中で利上げを行う確率は低いと見る。
ドラギ追加緩和の狙いと“あり得る”米3月追加利上げ/日本景況感に黄信号

先に、いかに日経平均が底堅く推移しても夜のNY市場次第と書いた。長期下降トレンドの戻り高値に現在位置しており反落を心配したからだ。だから金曜、日経平均は安く始まって引けにかけて上昇する強い地合いで、連続足的にはきわめて上へ動きやすいチャート形状になったにもかかわらず慎重姿勢を崩さなかった。

しかし週末のNY市場の結果は想定以上の強いものだった。米国が利上げ見送りなら来週NY株式市場は下降トレンドの悪循環から抜け出す可能性が高いと見る。そうなると日経平均の懸念材料がなくなる。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

何度か書いたけれども現在の地合いは売り妙味不足で買い戻されやすい地合いになっている。売り方より買い方が有利だ。需給的に空売り比率が高いことが影響している。長めにショートポジションを持ち越すことは難しくなっている。

先週の東証1部空売り比率は36.3%→39.9%→39.8%→38.2%→33.2%と金曜日に30%台前半へと落ちた。月曜続伸して始まるため来週この傾向はさらに強まるだろう。

あとは海外投資家の日本株買いが戻ってくれば上伸へ弾みがつく。信託銀行が年初から買い続けて底割れを防ぎ、海外投資家は売り続ける構図で最新の投資主体別売買動向(先週までの売買動向)でまだ海外投資家の売り越し姿勢は続いていることがわかったが、来週あたりから変化してくる期待がある。

海外投資家が買い越しに転じれば日経平均上昇への強い味方になるのは言うまでもない。

Next: 注目はマザーズ。新興ブームか?再び東証1部大型か?岐路に



注目はマザーズ。新興ブームか?再び東証1部大型か?岐路に

その海外投資家だが日本株に決して興味を失っていない。東証2部市場とマザーズ市場では最新発表の2月29日~3月4日の週、買い越している。東証2部市場では2週連続だ。

政府系ファンドマネー(SWF)が扱う銘柄は大型株なので原油価格の下落が影響して東証1部は売り越しが続いているけれども、新興市場や東証2部に関しては海外の機関ではなく個人投資家が日本株買いに動いているのではないだろうか。

ECB定例理事会が通過したのでこの傾向は今後も続くと見る。

マザーズ指数は年初からの長期調整が続く前、昨年12月の直近高値を超えて上昇が続いている。マザーズ市場が買われる理由は東証1部の見通しが不透明だからだろう。

マザーズ指数 日足(SBI証券提供)

年初からの長期の下落で東証1部に嫌気しマザーズ市場に逃避してきた投資家も少なからず存在するのではないだろうか。したがって東証1部市場に明るい見通しが出てきたら再び東証1部に資金移動が起こる可能性もあり、これまで同様買われるかはわからない

サイバーダイン<7779>がナスダック市場上場を目指していることが伝わり、上昇したけれども、いくつかスター銘柄が出てくるとパフォーマンスのよさから注目を浴び、資金流入は続くだろう。

昨日急騰した後、引けにかけて伸び悩み、長い上髭をつけた。この銘柄の売買金額の大きさからマザーズ人気の火付け役になる素質十分で、上髭を超えて上伸するか反落するか監視しておきたい。

サイバーダイン<7779> 日足(SBI証券提供)

新興2市場の売買金額比率はまだ「初動」

東証1部売買金額に対する新興2市場の売買金額比率がまだ10%に満たない状態なので、マザーズ市場が人気化する目安は、10%を超えて推移できるかどうか。ちなみに先週5日間は8.43%→7.60%→7.99%→8.04%→6.59%だった。

カイオムやガンホーが化け物株として急騰した2013年は20%を軽く超えており、連日我が目を疑った記憶が鮮明に残っている。まだまだだが、今年その可能性がないとは言えない。

Next: 上昇トレンド確率60~70%、買い有利の地合い/今週の狙い目



地合い判断

上昇トレンド確率60~70%、買い有利の地合い

狙い目銘柄

先週の狙い目銘柄の結果

住友重工は月曜始値517円。金曜終値503円。週間高値は月曜、火曜の521円。引き分け。
サンデンは月曜始値314円。金曜終値362円。週間高値は火曜日の369円。勝ち。
先週は1勝1敗だった。

今週の狙い目

三菱商事<8058>(買い目線)
原油や金など資源関連が底入れに向かっている。資源高が株価の追い風になっているのが大手商社。資源安とともに長期下落トレンドだったが資源価格の底入れで株価も反騰に向かっている。高配当であり中長期視野で配当権利を取る選択肢もありそう。

ベリサーブ<3724>(買い目線)
携帯、デジタル家電、高度道路交通システム(ITS)のソフト検証を行う。貸借倍率が1倍を割る売り長銘柄。チャートのかたちがいい買い方有利の銘柄。昨年10月から動意が続いており、年初からの悪地合いも無関係で上昇波動が続いている。来週もこの傾向は続くと見る。

【関連】ドラギ追加緩和の狙いと“あり得る”米3月追加利上げ/日本景況感に黄信号

山の中の超相場観』(2016年3月12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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