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【展望】日経平均は反落注意も、「1年3か月ぶり」資金流入の新興市場に熱視線

今週の日経平均は戻り高値からの反落に注意、世界的にも反落の兆しが出ている。ただ、そんな中で新興市場売買金額の比率が1年3か月ぶりの高水準となっているのは注目だ。(『山の中の超相場観』)

外資の売り越しが続く不透明な相場、新興市場に一筋の光

日経平均株価は戻り高値反落に注意

今週の日経平均は戻り高値反落に注意の週。日本だけでなく世界的に戻り高値反落の兆しが出ている。

NY市場主要3指数、ドイツ、英国、香港、アルゼンチン、インドネシアなど多くの国が過熱圏の位置で先週週足陰線になった。長期トレンドが前回の高値より下の位置の下降トレンドなので、先週の週足陰線は戻り高値反落に進む可能性で見ていく必要がある。

日経平均は先週、戻り高値位置から反落の兆しが明確になったわけではなく、もみあいが続いている。売り買いが交錯して方向感がない。考えられる理由は欧米主要株式指数に比べ戻りが出遅れ気味であることと、ドル高円安の動きが寄与していることがあげられよう。

3月FOMCで利上げペースの緩和を発表し急激にドル安に振れたことからFRB高官の一部に4月利上げをにおわすタカ派発言が先週続いた。行き過ぎたドル安を修正したいようだ。そのことによりドル円の巻き戻しが先週続いたことが日経平均の買い支えにつながったようだ。

ドル円は週末1ドル113円台に乗せて引けている(113.12円)。今週も反騰が続けば日経平均の下支えになるはずだ。ユーロ安ドル高兆候であり、その可能性がないとは言えないが、ただ4月利上げ思惑が高まればリスク回避の市場心理に傾きやすい。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)


NYダウ 日足(SBI証券提供)


独DAX30指数 日足(SBI証券提供)


米ドル/円 日足(SBI証券提供)

テクニカルに過熱感、4月利上げ思惑も

米国をはじめとして世界の株式市場は2月中旬から1か月超の買戻しが続き過熱感が出ている。無論さらに上昇を続けることで下降トレンドから脱することができるが、米国の4月利上げの憶測がある中、そこまでリスクをとって高値を買い進めるとは想像しにくい。

日経平均に関してテクニカル的に過熱感を表しているのは東証1部25日騰落レシオだ。3月18日に129Pをつけたがその後反落。先週は120Pを割って引けた。買われすぎ状態からの反動に気を付けたい。

問題はNY市場でVIX指数が14.74P。恐怖指数と言われ現在最も恐怖から遠い状態を表している。いつ天井を打ってもおかしくない状態である。

あらためてNYダウとS&P500の週足チャートをチェックすると、昨年5月高値、11月高値を結んだ延長線上が現在の位置である。このラインを乗り越えて上昇が続けば下降トレンドから抜け出したと見ることができるが、2月11日の底から6週ぶりに週足陰線をつけたことで変化の兆しとも見える。十分に気を付けたい。

Next: 今週も続くか?新興市場への久方ぶりの資金流入に注目



今週も続くか?新興市場への久方ぶりの資金流入に注目

リスクオフ的なことばかり書いて用心を喚起させているので買い方の投資意欲を盛り上がらせることも最後に書いておきたい。

東証1部は先週売り買い拮抗の方向感がないもみあいが続き売買金額も2兆1千億円台が2日、1兆7千億円が2日と、低調な商いだった。その分、新興市場に投資マネーが流入している。

東証1部売買金額に対して新興市場売買金額の比率(当塾オリジナル算定。当塾呼称、ST比率)が先週から2桁に乗り、金曜まで4営業日続いた。これは一昨年2014年12月22日から2015年1月5日までの7営業日連続以来の出来事。新興市場への久方ぶりの資金流入現象だ。

東証1部の不安定な動きを嫌い、安定して上昇傾向の新興市場に資金が流入している。

2014年末から2015年にかけての前回の新興市場盛り上がり期間はその後、東証1部市場が盛り返し、7営業日連続以降はこの1年3か月で最長、2日連続しかない。アベノミクス相場でにぎわった2012年秋から2013年5月までは1か月、2桁が続いた月もあった。来週以降も新興市場人気が続くか。流出入を表すこのデータに注目している。

マザーズ指数 日足(SBI証券提供)

もっとも、新興市場が盛り上がりかけているところに水を差すような言い方になるが、すべてはNY株式市場の調整の仕方次第だ。

2月のような暴落が再び起これば全てが押し流される。NYダウの1日の調整が200ドル未満程度の緩やかな調整なら東証1部から新興市場への流入は続くと見る。またドル円の動きにも注意したい。

ドル安円高が進行するなら内需系が多い新興市場は盛り上がりやすい。2つの動向に気を付けながら取り組むのがいいだろう。

地合い判断

上昇トレンド確率45%~55%、方向性が見えない

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「外資の日本株買い転換はいつ?」相場よもやま話

先週木曜日(3/25)に最新の投資主体別売買動向(3月第3週分)が東証から発表されました。

先々週(3月第2週分)は1兆1935億円の大規模な売り越しが明らかになり、3月FOMCで米国市場と東京株式市場が上昇下落の明暗を分けたこともあり、外資の日本株への強烈な売りポジションをあらためて確認したわけですが、最新発表分でも4509億円の売り越し。相変わらず日本株に対して弱気のポジションが続いています。

東証1部の6割~7割を外資が売買しているわけですから、順張りの外資の買いが戻ってこないことには、なかなか明快な上昇トレンド復帰が期待しづらい状況です。

3月第2週(3月7日~3月11日)

海外投資家:1兆1935億429万円の売り越し
信託銀行:720億6292万円の買い越し

3月第3週(3月14日~3月18日)

海外投資家:4509億9087万円の売り越し
個人投資家:1825億5489万円の買い越し

ドイツDAX指数の動きを見ると、日経平均同様2月安値からの戻りは新興国の底入れ反騰と比べると小さいままです。米英は同盟国であり金融立国ですから株価の持ち直し加減もいいのですが、その他先進国全般は新興工業国ほどではありません。米国FRBは3月FOMCで利上げペースを年4回から2回に減らすとしましたが、やはりそのへんが先進国株価のブレーキになっているようです。

ECBも日銀もマイナス金利を導入していますが、株式市場への資金流入は先週の東証1部売買金額を見る限り低調です。

こういう煮詰まった状況で反面教師のように盛り上がりやすいのが新興市場ですが、そろそろマザーズ指数も過熱圏入りが心配です。原油価格の持ち直しとともに原油大国のSWF(政府系投資ファンドマネー)に期待したいところですが、外資の買い転換はいつ頃になるでしょうか。現在、昨年12月第3週から3か月半、14週の長期連続売り越し中です。

【関連】大手商社「減損ショック」の中身~三菱商事と三井物産はいまが買い?=栫井駿介

山の中の超相場観』(2016年3月26日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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