目先の投資判断は「やや買い」。日経平均株価は月曜も17000円前後でのスタートが予想されます。また新年度の4月に入ると官製的な買いが期待できますが、逆に年度末のドレッシング買いの巻き戻しもありそうです。売り買い交錯する中、次第に推進力が失われる展開を予想します。(『KA.Blog』)
目先とりあえずは買われそうだが、波乱含みの4月相場
日経の投資判断は「やや買い」月曜も1万7000円スタートか
日経平均は金曜反発。前日のNYは終盤にかけて切り返し、ほぼ横ばいで終了。週間では6週ぶりの下落になりました。
それを受けた日経平均は朝方から買いが先行。113円台に乗せたドル円相場が下支えとなり、間もなく17000円を回復する動きになりました。ただ欧米のイースター休暇を控え、商いは閑散。そのまま17000円を挟んだ値動きに終始し、上値が重い一方で下値も固い三角持ち合いの流れが続きました。
日経平均株価 1分足(SBI証券提供)
引けではギリギリ17000円乗せ。売買高は18億株台、売買代金は1.7兆円台と今年2番目の低水準でした。
投資判断は「やや買い」。金曜のNYはお休みでしたが、GDP確報値が発表され年率+1.4%と予想を上回る結果に。それを受けてシカゴ225先物は16835円ということで、月曜も17000円前後でのスタートが予想されます。
外国人投資家は11週連続売り越し中
個人的には今週辺り一度出遅れ感からドカンと買われる(日経平均で500円程の上昇)場面があると考えていたのですが、結局不発でした。理由としてはやはり外国人投資家の動きが変わらないからでしょう。
昨日発表された先週の投資主体別売買動向では、引き続き外国人投資家が現物株を4580億円の大幅売り越し。これで今年に入ってから一度も買い越し無しの11週連続の売り越しです。
それに対して買い支えるはずの信託銀行もわずかに182億円の買い越しに止まり、遂に神通力が消えつつあります。もうGPIFもお腹いっぱいという状況でしょうか。これでは株価が上がらないのも仕方ありません。
今週末は材料豊富、波乱の展開も
一応、今週は月末ということもあり、また同時に月初でもあるのでイベントが目白押しです。特に金曜から名実共に4月相場入りですが、日本で日銀短観、中国で製造業・非製造業PMI、そしてアメリカで雇用統計やISM製造業景況指数があります。これだけ重要イベントが重なっていると、金曜はさすがに波乱の展開が待っているのかも知れません。
一方で、とりあえず4月に入るとまた新年度ということで様々なタイプの資金が入ってきやすいでしょうから、官製的な買いが期待できると思います。しかしながら逆に年度末の数字を良くしたいという官製的なドレッシング買いの逆戻しもあると見られ、売り買いが交錯する中、次第に推進力を失っていくものとも見られます。
TOPIX浮動株の係数調整解除(4月末)
もう一つ4月に入ってから気になるのは、4月末に控えるTOPIX浮動株の係数調整解除。特に東証1部に指定された銘柄で大きなものはその指数インパクトが強いことから、段階的に組み入れられる仕組みになっています。
今回ここで問題にしたいのは郵政3社の話。昨年11月に上場して、12月末に組み入れられたことまでは周知だと思いますが、それは本来組み入れられる予定の数の75%でした。そして残り25%が4月末(正確には4/28引け)に予定されています。12月ほどのインパクトは無いにしろ、12月の時の1/3のインパクトがあるという計算になります。
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郵政3社絡みのリバランス売りが上値を圧迫する可能性
そもそも12月に日本株が下落した要因はECBの追加緩和期待外れによる下落開始が本質的にありますが、もう一つの要因としてこの郵政3社のTOPIX組み入れのため、他の銘柄を売って郵政3社を組み入れる必要があったので、その換金売り圧力が強かったというのも日本独自の要因としてありました。
TOPIX 日足(SBI証券提供)
今回もまた4月に入ると、そのリバランス売りが上値を抑えてくることになりそうです。
とにかく何と言っても外国人投資家が買い越してこないと日本株の上値は追えません。これは上述しましたし、またずっとずっと言い続けていることでもありますが、少なくとも今年はまだ外国人投資家の買い転換は見られません。
何故外国人が買ってこないか、ということを考えると、やはり円高による業績悪化懸念が第一でしょう。先般の日銀短観の際に製造業の想定為替レートはドル円で118円でした。それが足元では113円まで円高が進んできているので、どう考えても厳しい未来予想図になりそうです。
実際、足元は商社を始めとして、様々な特に外需系企業の下方修正が目立っています。
※関連:大手商社「減損ショック」の中身~三菱商事と三井物産はいまが買い?=栫井駿介
ですから、今は外部環境が良いのでこれだけの下落で済んでいると言えます。もしアメリカが急落したらどうなるか。そのことは常に念頭に置きながら、おっかなびっくりでの買いで対応すべき場面であるという認識です。
ロックフェラー家が化石燃料への投資を中止
日本株がモタモタしている間に、アメリカもさすがに2月中旬のボトムからの戻り局面が息切れしつつあります。背景はやはり原油。先日発表されたアメリカの原油在庫が予想を大きく上回る伸びで過去最高となりました。それを受けて原油先物も下落に転じ、これまでのアメリカ株の快進撃の勢いを減じてきています。
もう一つの話題として、ロックフェラー財団のロックフェラー家が化石燃料への投資を止めるとのこと。ロックフェラーといえばNYのロックフェラーセンターが有名ですが、石油で財を成してアメリカの石油王と言われたジョン・D・ロックフェラーの血統です。そのロックフェラー家が、自分達のルーツとも言える化石燃料を「環境の敵」として否定することになりました。日本の商社株の下方修正と対極的な印象です(しかし既に業績の悪さは織り込まれていると思っていましたが、案外株価は下がりました)。
こうなってくると、足元ではジャンク債への資金流入が続いて危機も忘れ去られた感じになっていましたが、また流れが戻りつつあるような印象です。
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今週の日経平均株価と新興市場の見通し
日経平均のチャートを見ると、17000円でのもみ合いで煮詰まり感が出つつある一方、MACDの暗転が週明けにも迫ってきます。
例年最終週は権利取りの動きも出て高いという季節性要因もありますから、今週はとりあえず買われる展開が期待できそうですが、元々4月途中で天井を打つと見ているので、次第に先安感が迫ってくる感じです。この弱さ、何か昨年12月の時のような雰囲気があります。
日経平均株価 日足・MACD(SBI証券提供)
新興市場も「やや買い」。金曜は高安マチマチ。為替が円安に振れたことで、これまで強かったマザーズ銘柄を利食い、東証1部に資金が移動したとも取れます。ただ商いも少ないので、純粋に土日にさしかかるため、一旦利食いしておこうという向きが強かっただけとも捉えられます。
今週は権利取りの動きも期待できる東証1部銘柄の方が優位性があると言えそうです。
『KA.Blog』(2016年3月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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