早くも新型コロナ休業による経済危機が訪れています。このまま行けばGDPが半減するという指摘も出ており、新型ウイルスで命を落とすよりも経済的な破滅で死においやられそうな状況になってきています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年3月12日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバッグナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
データではなく感情で動く日本政府
新型肺炎は中国ではかなり収まりつつあるようで、重慶など武漢から1000キロ離れているような地方都市ではすでに都市封鎖が解かれ始めていることが、様々なメディアで確認できはじめています。
ただ、製造の現場では、まだ実際にラインが稼働するまでには至っていないところがほとんどの様子。
当局から早く業務を再開するようにと強要されていることから、とにかく夜でも明かりをつけてやっている感を醸成して対応するといった、笑うに笑えない状況も示現しているようです。
国内に目をやりますと、やはりPCR検査はまったく進んでいないようで検査しないから感染者も判らず死亡者数もはっきりしないという、世界的にみても我が国はきわめて特異な状況に陥っていることがわかります。
あらゆる政治的判断に、客観的なウイルス感染のデータというものが一切利用されておらず、安倍首相がよからぬとりまきの進言だけで猛烈にエモーショナルな決定と要請を行うため、ひとつひとつの要請にも事実に基づく合理性は生まれません。
「ここ1~2週間が山場である」とされた時間を過ぎても、ピークを過ぎたのかどうかすら誰も判らないという、恐ろしい状況が延々と続いています。
街の景気は最悪の状況に到達
こうした中で街をうろついてみますと、とにかく人が少ないことに驚かされます。
ただ経済指標としてこうした状況が数字に現れるのはまだかなり時間がかかりそうで、政権が口にする景況感と実態とがすでに大きく乖離してどうにもならないところにきてしまっていることを強く実感させられます。
そんな中で、東京商工リサーチが全国の中小企業に対して新型コロナウイルスの影響を調査して結果が3月9日に開示され、非常に注目を浴びることとなっています。
その内容を見ますと、サプライチェーンに支障があると答えた企業が39.08%ともっとも多くなっています。やはり中国起因で、製造物や中間財が日本の市場にやってこないことがきわめて深刻な影響を及ぼしていることがわかります。
また営業や生産活動、イベント中止に伴う受注・売上減が25.8%、国内消費不振が13.7%と続いており、インバウンド需要低下が9.7%となっています。
参考:上場企業「新型コロナウイルス影響」調査 – 東京商工リサーチ(2020年3月9日配信)
もちろん中国をはじめとして海外からの観光客が完全に断たれてしまった地方の観光地などでは、借金をしてまでインバウンドのための投資をおこなった企業に甚大なダメージを与えることとなっています。
深刻な状況ですが、それにもまして国内起因で売り上げ減が顕在化してきている点を見逃すことはできません。
営業や生産活動、イベントとの中止とともに人が外に出なくなっていることから生じる消費の減退をプラスしますと、新型ウイルスの影響による売り上げ減の40%近くがこれに起因するものとなっているだけに、今後イベント自粛や学校の休校、外出などの機会が激減すれば、国内経済は壊滅的なダメージに至ることが予想され心配されるところです。
Next: 東日本大震災直後より悲惨。日銭を稼ぐビジネスモデルは致命的な状況に
日銭を稼ぐビジネスモデルはことごく致命的な状況に
マクロ経済の視点からはすっかり見逃されやすいミクロの部分ですが、とくに料飲店やキャバクラ・クラブをはじめファーストフードなど飲食関連の事業は、人が外に出なくなることで売り上げが壊滅的なダメージを受け始めているようで、倒産のみならず廃業といった危機に直面し始めていることがわかります。
内部留保をたっぷり抱えた大手上場企業ならば、足もとの厳しい状況を乗り切ることができるのでしょう。
しかし、まさに日銭を稼ぐことで経営を回していく事業に関しては、この新型ウイルスの感染ですでに経営が行き詰まり始めている状況。
あとから結果の指標をみると驚くべき状況に至ってしまっていることがわかりそうで、怖いものがあります。
東日本大震災直後の消費の落ち込みの数倍の下落がやってきている
内閣府が発表した昨年10~12月の実質GDPの確報値は、速報値の年率下落をさらに上回りマイナス7.1%に及んでいます。
仮に新型コロナウイルスの感染問題がなくても、最悪の国内経済状況が訪れてきていることがわかります。
家計消費でみますと、2011年3月の東日本大震災直後がマイナス6%にまで落ち込んだものを、すでに昨年10~12月の段階でマイナス11.8%というダブルスコアの状況ですから、この1~3月がどれだけのマイナス消費になるのか、数字の発表が恐ろしくなるほどです。
奇しくも11日で震災から9年が経過したわけですが、あの直後の厳しい状況よりもはるかに厳しく、しかも先行きがまったく見通せないところに陥っています。
国内消費者に異常な防衛本能が働いて、トイレットペーパーからカップ麺、レトルトごはんに至るまで買い占めが起こるのも無理はなさそうです。
Next: 国内GDPはいきなり半減? 休業が3か月続くと日本は壊滅する…
国内GDPはいきなり半減?
生産労働人人口の半数が最大3か月ウイルスに感染しなくても休業を余儀なくされた場合、本当に「国内GDPはいきなり半分になる可能性がある」と指摘するシンクタンクもあります。
さすがにこれは大げさかと思われたものの、国内消費がGDPの6割以上を支えるこの国では、どうやら本当に起こりそうあなところにきていることがわかります。
政権ははした金を無金利で貸与するなどとおめでたいことを言っていますが、多くの日本国民が直面する経済実態はそんなに甘いものではなく、新型ウイルスで命を落とすよりも経済的な破滅で死においやられそうな状況になってきています。
ついでに金融市場のことを言えば、いったん底をつけたかに見える相場はまだまだ下げ三波の途上にすぎず、厳しい下落はこれからやってくることを強く意識しておかなくてはなりません。
金融相場の中で生き残るのも大変な状況ですが、リアルな生活で景気悪化に命を奪われないようにすることはもっと大変な事態になっているのです。
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- 一旦底値を付けたかに見えた株と為替はさらなる下落に注意(3/11)
- 新型コロナは単なるきっかけ~中央銀行主導のバブル相場が崩壊しようとしているのでは?(3/10)
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2020年3月12日号)より抜粋
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