国際労働機関の労働市場予測によると、世界の雇用リスクは今回の新型コロナ禍で12.5億人出現し、うまく収入が得られなくなる人は世界労働人口の38%にも及ぶという驚愕の数字が発表されています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年4月27日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
正社員1億9,500万人分の雇用が失われる?
先ごろ国際労働機関(ILO)は、2020年のここからの労働市場予測を発表しました。
それによると、世界の雇用リスクは今回の新型コロナ禍で12.5億人出現するとされており、解雇や労働時間の削減などでうまく収入が得られなくなる人は世界労働人口の38%にも及ぶという驚愕の数字が発表されています。
また直近2020年第2四半期における労働時間の減少は6.7%におよび、正社員雇用でカウントしますと1億9,500万人分の雇用が失われる勘定になるとされています。
週単位で雇用を解除するのが常の米国では、この1か月あまりですでに2,200万人が新規失業保険申請をしており、5月の雇用統計でもすでに10%以上の失業率が出かねないところにさしかかっています。
恐らくこのままでいけば、1929年の大恐慌時の25%といった失業率に並ぶか追い越す可能性すら指摘されはじめています。
日本でも生活できない人があふれる事態に
日本国内の失業率は、失業保健に加入している労働者の失業しか基本的にはカウントされていません。
ですから、個人事業主で事実上仕事ができない人、フリーランスで新規の業務が途絶えている人、パート・アルバイト・派遣などで労働時間短縮から月額の報酬が著しく減り暮らしていかれない状況にある人たちが実際どのくらいの規模になっているのかについて、政府が正確にその人数を把握しているとは到底思えない状況です。
足もとでは10万円の給付を巡って国民の関心が高まっていますが、ワンオフでひとり10万円を一回こっきりの支給を受けただけでは到底暮らしていかれない人たちが街にあふれかえるのは時間の問題になりそうです。
Next: IMFが発表している2020年の経済成長率はマイナス3%で、損失額は9兆ドル――
失業者・未収入者の激増はコロナの感染をさらに加速する
国際通貨基金(IMF)が発表している2020年の経済成長率はマイナス3%で、損失額は9兆ドル(日本円にして970兆円ほど)になると見られています。
マクロでみるとマイナス3%程度と丸められてしまいますが、GDPの中で個人消費がすでに7割前後となっている米国や日本などの落ち込みは激しいものがあり、GDP成長率ベースでは次の四半期で30%程度の落ち込みは避けられないという見方が非常に広範に広がりつつあります。
とくに料飲店や物販、小売り、サービス業は大打撃でありどこの主要国でもこうした分野で働く人たちが仕事も収入もいきなり失うというかなり厳しい状況に追いやられているのが現状です。
米国でもこうした人たちが結果的にコロナの感染拡大にはからずも寄与してしまっているようで、失業者の増加はウイルス対策ではもっと大きな壁になろうとしていることがわかります。
政権にも各省庁の役人にもそこまでの危機感がないご様子
しかし、この国では政権も役人もそこまでクリティカルな状況に直面しているということを正確に理解できていない気がしてなりません。
人事権掌握で完全に財務省を掌握・制御しているように見える安倍政権ですが、実際にはモリカケをはじめ、桜を見る会などややもすれば法律違反や選挙違反満載の案件が積み上がるなかで、逆に悪事の詳細をすべて掌握されることで、安倍首相は財務省に逆制御されているように見えて仕方がありません。
とにかく消費増税を一旦ストップすることも、国民に広範にカネを配ることについても財務省の役人はことごとく拒否しているようで、ようやく1人10万円にたどりついたというのが実情なのでしょう。
しかし実態経済、とくに失業者と未収入者の激増はかつてないほどのレベルに達しており、それだけでこの国を滅ぼしかねないところまでやってきています。
日銀がいくら株価をETFで買い支えても、実態経済を反映する株価はほどなくして激しい暴落に見舞われるのではないかということが非常に気になるところです。
日経平均株価 日足(SBI証券提供)
そもそも株価以前に国内消費経済が完全破綻に追い込まれ、世界で日本だけが新型コロナ敗戦国になりかねない状況です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2020年4月27日号)より抜粋
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