直近の世界の株式相場は米国FOMCで利上げが先送りされ、世界的な過剰流動性相場は相変わらず続いている。先進国から後進国まで株価指数はおしなべて堅い。その一方で、わが日本においては日経平均の直近の動きからわかる通り、乱高下が続き、特に8月以降は下押し圧力の高い地合いになっている。(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2016年10月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
世界的な過剰流動性相場の中、日本は先行き不透明な地合い
ボックス圏での乱高下
直近の世界の株式相場は米国FOMCで利上げが先送りされ、世界的な過剰流動性相場は相変わらず続いている。NYダウなど米国主要3指数やドイツDAX、インドSENSEX、アルゼンチンメルバル、インドネシアコンポジット指数など先進国から後進国まで株価指数はおしなべて堅い。株式市場はにぎわっている。かの国では国内投資家だけでなく海外からも投資マネーが活発に流入していることが予想される。
その一方で、わが日本においては日経平均の直近の動きからわかる通り、乱高下が続き、特に8月以降は下押し圧力の高い地合いになっている。日銀が7月29日の金融政策決定会合でETF(上場投資信託)の買い増しを年間3.3兆円から6兆円にほぼ倍増させる決定したあたりから突っ込めば下値で日銀ETF買い思惑から反騰するけれども、買戻しが一巡すると戻り高値反落の上下動リズムのボックス圏が続いている。
9月5日から15日までの調整で現在そのボックス圏の底水準にいるわけだが、21日の日銀金融政策決定会合で公的資金と見られる買い支えが入り、急反発。しかしその効果は長続きせず、翌日から再び下押しと反騰反落を繰り返しており、方向感がつかめない。先行き不透明な地合いとなっている。9月中間配当権利落ちを経て来週から10月相場に入るけれども、このもみあいから上下どっちに放れるかが10月相場のカギを握るのは言うまでもない。上なら買い、下ならヘッジ売り、あるいは空売りで攻める戦法となる。
外資マネーが入りづらい日本市場
騰落銘柄数で上下動のモメントを見る東証1部25日騰落レシオは、120Pを割り下降方向。一方日経225PERは、今週週末に向けて14倍割れ。日経225PERから割高感はないが、騰落レシオは息切れ状態を表している。ショートカバーが一巡すると高値追いが続かない影響が出ている。下値では日銀ETFやGPIFなど公的資金の買い支えが入るけれども、買戻しが一巡すると、高値を追ってくれる投資マネーが不足していることが明らかだ。
欧米先進国や新興工業国など全般、世界的に株式市場が低迷しているわけではない。冒頭でご紹介しているように、欧米先進国やインドをはじめとする新興工業国、そしてインドネシアやアルゼンチンなど後進国に至るまで、株価指数は底堅いものが多い。買えば上昇し、資金の回転ができている。それに対して日本市場は底から脱出しようと、あがく姿をチャートは表現している。
その原因はあらためて言うまでもなく、円高、ドル安、ユーロ安によって外資マネーが入りづらいことがあげられる。シカゴ先物市場でドル建てで日経平均を買ってもドル安方向で優位性に欠ける。年初、米国FRB(連邦準備制度理事会。米国の中央銀行に当たる組織)は複数回の利上げ意向を示したものの現在まで1回も行われていない。
※参照記事:https://info.monex.co.jp/report/sihyo/index.html
Next: 袋小路に入った日本市場。長期円高トレンド打破の条件とは?
政府系マネーの買い支えで保ち合い圏が続く
今後FOMCと利上げの関係だが、次回11月FOMCは大統領選前で混乱を避けるために先送りされる公算が高いと見られている。可能性が高いのは12月だが、米国金融関係者の間では2016年は1度も利上げが行われないと見る者もいる。
改めて言うまでもないが、FRBが利上げを行うとドルが買われドル高円安に向かう。しかし利上げが先送りされると、現状維持だけれどもドル安円高になる。これまでのドル価格に利上げ思惑が含まれており、それがはがれるからドル安になるというわけだ。今年3月、6月、9月、利上げが有力視され、そのたび先送りされ、ドル安円高の長期トレンドから抜け出すことができないでいる。
今年、日銀はマイナス金利やETF大幅買い増しなど追加緩和を発表してきたけれど、円安に向かわないし物価2%上昇にもつながらない。米国が利上げという金融政策のカードを切らなければ、ドル円の下降トレンドは変わりそうにない。先進国の中ではドイツDAXと日経平均が似たチャートだがドイツDAXのほうが、上昇トレンド維持が明確。日経平均は今年8月以降のミニボックス圏下限に位置している。
繰り返しになるが、現在世界的に株式市場は過剰流動性相場、リスクオンの状態だが日本市場は長期で円高傾向なので外資マネーが流入しにくく買われていない。したがって上値が重たい状態なのだけれど、突っ込むと政府系マネーの買い支えがあるから底割れせず、保ち合い圏が続いている。
日本市場は袋小路に入ったか
来週の動きは金曜のシカゴ先物市場の動きから反騰に向かうと見る。ただしこれまでの保ち合い圏から脱する動きは想定しづらい。日銀の金融政策が量的緩和をあきらめ、マイナス金利の深堀りか、長短金利差の調整という方向に向かっている。市場関係者の間では袋小路に入っていると見る向きも少なくない。
12月FOMC、あるいは11月の大統領選で何か変化が起こるか。全て米国当局のさじ加減で方向性が決まりそうだ。当塾ではドル円は12月までなかなか方向感を見いだせないのではと見ている。日経平均も高値追いの状態にはなかなかなりづらいだろう。
今後のポジションの取り方
今後のポジションの取り方だが、東証1部大型株はあきらめ、中小型株か新興市場ないしは東証2部市場から有力な銘柄の買いでいく予定だ。セクター的には為替の影響を受けにくい情報通信やサービスなど内需セクターを通信に成長している企業に的を絞っていく。今年4月まで有望視された銘柄をもう一度、見直している。たとえばミロク情報やテクマトリックスは今月に入り、再び強い動きを見せている。東証1部大型株のトレンドのない動きから今後、消去法的にこうした方向性が明確になりだした銘柄に資金が還流していくだろう。
市場別ではJQ指数チャートが三角保ち合い圏の頂点から今週、じわり上へ放れはじめている。東証2部指数チャートも上昇エネルギーを感じられる。東証1部や日経225銘柄にこだわらず、買われている市場に目を向けて、その中から有望銘柄を探していけば活路はきっと見いだせる。
Next: 日経平均、マザーズ、ジャスダック 各市場の地合い判定
地合い判定
日経平均
ボックス保ち合い圏、方向性はいまだ不透明。
マザーズ
売り買い交錯の膠着状態、買いやや有利。
ジャスダック
売り買い交錯からやや上昇トレンド方向、買い有利の市場と判断。
※本記事は、『山の中の超相場観』2016年10月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山の中の超相場観』(2016年10月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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