すでに海外短期筋は、日経先物を手仕舞い始めた可能性がある。日経平均株価は、目先は高値圏を維持しようが、早晩波乱含みの展開に陥ると見込む。(『馬渕治好の週次メモ「時の花」』馬渕治好)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2017年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「何かがおかしい」日経平均の急上昇。早晩波乱含みの展開へ
今週の日経平均予想:2万2,400~2万3,000円
(先週の予想:2万2,200~2万3,000円、実績値:2万2,119.21~2万2,864.33円)
引き続き、日本発の材料が好悪とも乏しいなか、米国の政治・政策情勢が注目されている。
今週も、
- トランプ政権のイスラエル政策が引き起こした、中東諸国を中心とした不満の強まり(だからと言って、すぐに何かがどうなるというわけではないが)
- 今度は12/22(金)が新たな期限となった暫定予算策定の協議
- 減税法案の上下院統一案の行方(上院案における、地方税分の連邦所得税控除の全廃を取り下げてもらうため、下院が法人減税を22%までの引き下げにとどめる案を提示しているとの観測も)
- いわゆる「ロシアゲート」捜査の進展(今週に何かがあるということではないが)
- 12/12(火)のアラバマ州での上院補欠選挙
といった、市場の不透明感が強まってもおかしくない材料が並んでいる。
これまで米国株式市場や米ドル相場は、「相場が上がっているうちは、悪材料は見ないふりをする」という態度であったため、そうした姿勢が目先はまだ続く可能性は否定できない。
しかし、正確にいつであるかのタイミングはわからないが、いずれ米株や米ドルの反落が引き起こされることはありうるだろう。そのため、日経平均株価は、目先は高値圏を維持しようが、早晩波乱含みの展開に陥ると見込む。
日経平均株価 日足(SBI証券提供)
今週の米ドル円相場予想:112.00~114.00円
(先週の予想:111.20~113.20円、実績値:111.99~113.55円)
前述のように、米ドル円相場は、最近の高値水準ながら、波乱含みで推移し、一段と上値を広げることは難しいと予想する。
米ドル/円 日足(SBI証券提供)
12/12(火)~12/13(水)の米FOMCでは、0.25%の利上げが行なわれようが、それ自体は予想されており、市場の材料とはなりにくいだろう。2018年の金利シナリオについても、連銀は、年3回程度の利上げという展望は変更しないものと見込まれる。
Next: 短期筋は日経先物を売り始めている? NT倍率から分かること
短期筋は日経先物を売り始めている
NT倍率(日経平均÷TOPIX)の推移をみると、特に10月を中心とした日本株が上振れした局面では、大きく上昇していた。
これは、日本株上昇の理由は、企業業績の増加など、実態面の改善を評価して、実態の良い企業の株を幅広く買う(それが底上げ的にTOPIXを押し上げる)、という動きがなかったとは言わないが、かなりの部分が、海外短期筋による日経平均先物の買い上げ(それが日経平均ばかりを吊り上げる)によるものだった、と推察している。
そうした短期筋の先物買いは、いずれ売りに転じ、日本株は短期的に反落すると懸念している(反落の要因は、高すぎる米国株が、米国の政治要因で下落すること)。まだ先週の国内株式市況は、下げ基調を強めたとはまったく言えないが、NT倍率は反落気味となっており、既に短期筋は先物を手仕舞い始めた可能性がある。
先週の主要な株価指数の週間騰落率をみると、NT倍率の低下に表れているように、日経平均が0.03%下落した一方、TOPIXは0.40%上昇している。またTOPIXの内訳でも、大型株指数は0.24%上昇だったが、中型株指数は0.57%、小型株指数は0.77%上昇で、小型優位だった。
これは、前述のように短期筋が日経平均先物を売り始めているが、個々の企業に注目した長期投資家の現物株買いが、成長が期待できる小型株に個別に入っている、という動きだと考える。
こうした物色は、健全な動きだと解釈しているが、今後もそうした流れが続くだろう。すなわち、短期筋の売りで日経平均株価は大きく下落するが、それに比べてTOPIX、特に小型株の下落は限定的、という相場展開だ。
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2017年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『馬渕治好の週次メモ「時の花」』(2017年12月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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