トルコリラ円が急落しています。多くの投資家がスワップ狙いで長期に保有してきたトルコリラ円のロングは無意味なものになろうとしている点に注意が必要です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年4月23日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
トルコリラ円のロング(買い)が無意味に
22日トルコ中銀の政策決定会合があり、市場の予想通り再度の政策金利の引き下げが行われました。結果8.75%で1.00%の引き下げとなり、市場の予想を上回る利下げ率となってしまいました。
これを受けて瞬間的にトルコリラ円は売られましたが、その後は15.40円台でなんとか推移しています。
トルコリラ/円 日足(SBI証券提供)
相対取引をする国内の店頭FX業者からは、新たなロングのスワップポイントは発表されていません。しかし、ここまで政策金利が下がってしまいますと、もはやトルコリラ円のスワップはつかない、もしくはマイナスになる可能性が非常に高いでしょう。
ここ数年多くの日本人トレーダーがスワップ狙いで長期に保有してきたトルコリラ円のロングはまったく意味のないものになろうとしている点に注意が必要です。
実質マイナス金利のトルコリラ
トルコ統計機構発表の3月消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比11.86%で前月の12.37%からは若干低下しています。しかし、すでに1WEEKの短期レポ金利はこれを下回っており、今回の利下げでさらに下落することが予想されます。
となると、実質的なマイナス金利は深堀される形になりますので、トルコと日本との政策金利差
の実数ではないスワップポイントの設定となってしまうことから、一部の業者ではすでにゼロスワップポイントや一時的にマイナスとなるような場面も出始めているわけです。
したがって、今回の利下げでトルコリラ円をロングしてもマイナスのスワップポイントとなる業者が続出する可能性があり、もはや保有の意味は完全になくなりつつあります。
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新型コロナの感染者も中東エリアでは1番のまずい存在
トルコの新型コロナ感染者数は22日朝時点で9万5,591人(前日比4,611人増)、死者は2,259人(前日比119人増)となっており、この数字はイランをこえて、中東地域でもっとも感染者数の多い国になっています。
23日はトルコが祝日にあたるためエルドアン大統領は4月としては3回目、4日連続のロックダウンを実施することもあり、経済的な停滞はさらに進みそうな状況です。
流動性のない中でトルコリラ円の急激な売りに厳重注意
トルコリラ円は、クロス円ですからいわゆる架空の通貨ペアであり、ドルトルコリラとドル円の組み合わせで作られているのはご存知の通りです。
国内の個人投資家は、9割以上がトルコリラ円をロングで持っています。
これらが保有妙味がないと判断して一斉に売りにまわりますと、そもそも流動性がほとんどありませんから、急激な投げ売りになるリスクが非常に高く、ここからの相場には相当注意が必要になりそうです。
また、トルコリラ円が売り込まれることになりますと、ドル円にもかなりの影響が出ることが考えられますので、十分にご注意いただきたいと思います。
本邦の個人投資家はとにかくスワップで毎日日銭が入ってくるのが大好きな方が非常に多いわけですが、もはやトルコリラはそうしたニーズを満たさなくなっています。
また南アランド円もメキシコペソ円も、今は決して買い向かうタイミングではなく、スワップ目当てで新興国通貨を買うのは絶対に避けるべき時間帯に突入していることを、しっかり認識しなくてはなりません。
当メルマガでは、5月1日から6日まで、連続してFXとファンダメンタルズをテーマにしての連続解説メルマガをお送りする予定です。相場が大きく動けば別途号外を発行しますが、お休みでもどこにもいかれないこの時期、再度FXとファンダメンタルズの関係について認識を新たにしていただければと思います。ご期待ください。
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