10時27分、弁護人からの立証。被害弁償はなく、情状証人は被告人の母親。こんなことを言ってた。
母親 「長女が…(いわゆる身体障害)で…小さいときから○○○(被告人)に関わってあげられなかった…満たされなかったものがあるのかと…」
どんなお嬢さんかと裁判官から問われ…。
母親 「小さいときからウソがつけず、学校の先生にも、自分が間違ってないと思ったら、大人がそんな強い口調でがーがー言ったら子どもたちは半分も言えないと…すごく自分勝手でわがままな子ですけど、ウソはつけない子と思っています」
10時42分、ウソはつけない子の、被告人質問が始まった。被告人は、●●も××も詐欺の仕事をやってると知ってたんだそうだ。しかし、2人ともキャバクラの「良いお客さん」だったんで、受け子の紹介を断ると「来てくれないんじゃないか」と思ったんだそうだ。キャバクラの売上げの何割かは、詐欺の被害者、主にお年寄りたちの蓄えから出たもの、かもね。
弁護人 「振り込め詐欺の被害者…」
公訴事実のどこにも「振込入金」の話はない。しかし弁護人は、警察にならって「振り込め詐欺」と言う。バカじゃねーかと俺は思う。「振り込めって言わないからこれはあの有名な振り込み詐欺じゃないのよね」と騙された高齢者も少なくないんじゃないか。
弁護人 「被害者の多くが高齢者であること、あなたは知らなかったんですか」
被告人 「逮捕状を見せられ、被害者の方、みな高齢者と知り、とても悲しい気持ちになりました」
被害者が主に高齢者とは知らなかったんだという。なぜ? 被告人は堂々ときっぱり言うのだった。
被告人 「あたしは日本のメディアに洗脳されたくないので! テレビを全く見ない日々で…うちにはテレビの配線がないので…知りませんでした」
弁護人 「被害者が生じるとは思わなかったんですか」
被告人 「私が紹介した人が絶対に振り込め詐欺に関与するっていう、実感がわかなかったんだと思います」
そうなのだろう。被害者らも、同種詐欺についてのテレビ・新聞のニュースを見ても、実感がわかなかったんだろう。俺も…。
実行された2件の詐欺のうち、東日本大震災の被災者の住宅云々の詐話について、被告人は述べるのだった。「…」は俺はメモしきれなかった部分だ。
被告人 「私の親戚や友人は福島県いわき市、双葉市…大切な友人を亡くしました…私自身、双葉町へ行き、地震の被害を目の当たりにし…被災者のためならと、少なからぬ募金もしてきました…なので…東日本大震災の…お金を騙し取っていた…とても許せません…自分したことの罪の重さを感じました」
被告人の言いぶりは、じつにパキパキと頭が良さそう…ただ、暗記してきたことを朗々と棒読み、と聞こえるのだ。けど、暗記にしては言葉の量が多すぎる。あれが地(ぢ)なのか、あるいは、脳に特殊な才能が備わったお姉ちゃんなのか。
とにかく、社会の、また人間としての底辺で蠢(うごめ)く犯罪者、シャブ中、にはぜんぜん見えないんである。すごい女だ。