米国株やビットコイン相場は「イーロン・マスクバブル」の様相を呈しています。マスク氏の言動がこのバブルをぶち壊すきっかけになりうる危険な状況です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年2月19日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
テスラ株はバブル状態
皆様すでにご存じの通り、テスラ絶好調を受けてイーロン・マスク氏がもはや金融市場でも言いたい放題やりたい放題の状況に陥っており、さすがに目に余るものがあるところにさしかかってきています。
1月テスラの時価総額は8,000億ドルを超え、トヨタをしのぐ自動車業界ではナンバーワンの時価総額企業となりました。
2020年の同社の株価は実に700%超という通常では考えられない躍進を金融市場でだけは遂げて
いることになります。
TESLA INC<TSLA> 週足(SBI証券提供)
昨年2020年の1月に時価総額が1,000億でトヨタの次だったところから一気に株価だけ暴騰したわけですからさもありなんということですが、本当にこの会社そんなに力があるのか。
イーロン・マスク氏を信頼してもいいのかどうかは、かなり首をかしげたくなる場面がここへきて続発しつつあります。
足元のPERは連結で実に1,075倍、平たくいえば、もとをとるためには1,075年投資を続ける必要があります。
そんなわけですから、あきらかにこの時価総額は過剰であり、テスラ株だけでもとてつもないバブル状態で、相変わらずこの株をショートにして下落が始まるのを待っているファンドや投資家は後を絶ちません。
たしかに技術力は圧倒的なものがあるようですが、直近では中国でかなり大きな問題が起き始めており、株価に見合う製品を供給できているのかどうかも大きな問題になり始めているところが気になります。
Next: 中国で「品質問題」続発のテスラ車。本当に価値はあるのか?
中国で「品質問題」続発のテスラ車
イーロン・マスク氏といえば、中国共産党ともかなり近しい関係で、相当な資金の投資を受けていることは有名な話。
その中国で、年明けからテスラ車の販売が急激に落ち込むという事態が発生しています。
モデル3では、加速の問題、充電後の車両異常などが相次いでおり、中国当局からもかなり
厳しい指導をうけているといいます。
こうしたテスラ車の問題は、中国で生産したもので起きているのか。米国生産のもので起きているのかは明確になってはいません。アッセンブリで生産すること自体は決して難しくない電気自動車でも、リチウムイオンバッテリーの扱いをぞんざいにすれば事故が起きるのはスマホなどのほかの商品と同様です。
このあたりのクリティカルな部分に、しっかり対応できていないのではないかという指摘も多く上がってきています。
このメルマガでも以前テスラ車のクオリティについて触れたことがありますが、最近では多くのクルマの部品メーカーは中国にあり、見かけは中国車でも日本車でもドイツ社でもほとんど変わらなくなっています。
表面上のクオリティは同じような部品メーカーから供給を受けているので当たり前と言えば
当たり前ですが、それでも組み立ての精度に関してはテスラ車は相当レベルが低く、リチウムイオンバッテリーを除けば、クルマ自体の組み立てレベルは東南アジアや中国本土のメーカーのクオリティと大して変わらないというかなり辛辣な評価も出てくるほど。
時価総額が世界最大の自動車メーカーとして、生産クオリティは時価総額に遠く及ばない現実があるのが実情となりはじめています。
「ビットコイン購入だ」「ドージコイン購入だ」と大騒ぎのマスク氏
イーロン・マスク氏はこうした結構危機的な状況には我関せずで、1月には「ビットコイン」のことを度々ツイートし、結果、2月8日にはテスラとしてビットコインを1,500億円程度購入したことを明らかにしました。
その後、イーロン・マスク信者の個人投資家が群がったことで、ビットコインは史上最高値を更新中です。
また「ドージコイン」についても積極的にツイートしており、売却したいと思っている人間には自分がサポートをするなどと言ってみて、明らかにその価格を煽っているかのような発言を繰り返しています。
イーロン・マスク氏は過去にもテスラ株の上昇廃止をほのめかして株価を吊り上げ、SECから大目玉を食らったことのある前科者。このままSECが放置しておくのかどうかが非常に気になるところです。
そしてなにより、イーロン・マスク氏ご託宣というだけで爆上げしているビットコインが、何かをきっかけに暴落することになれば、テスラの利益が吹っ飛びかねません。それだけに状況は相当心配で、浮かれてやりたい放題もほどほどにして欲しい時間帯に差し掛かっています。
ビットコインに関しては、どうやら企業業績には影響を与えないようにはしてあるようです。
しかし、株価の上昇時には増資をしてしっかり資金を貯めこむなど冷静な対応をしてきたはずのイーロン・マスク氏のここ数週間の行状は、あまりにもいただけないものがあります。
Next: イーロン・マスク氏の言動がバブル崩壊のきっかけになる?
イーロン・マスク氏の言動がバブル崩壊のきっかけになる?
足元の新型コロナ起因の中央銀行バブル相場ですが、すでにその一部は「イーロン・マスク氏バブル」の様相を呈しており、勢いイーロン・マスク氏がこのバブルをぶち壊すきっかけになるの
ではないかと、かなり冷や冷やさせられる状況が続きます。
なにがきっかけであれ、バブルの崩壊は等しく同じ悲惨な状況を引き起こします。
イーロン・マスク氏に耳打ちして忠告する向きはいないのでしょうか。このままでは本当に彼がバブル崩壊の引き金をひきかねない雰囲気が漂いはじめています。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年2月19日号)より抜粋
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