マネーボイス メニュー

【展望】底入れの音は聞こえるか?日経平均は深押しケースで1万8700円水準も(9/10)=山の中

日経平均週足をテクニカルで見ると、今週は下押しが継続しそうです。浅めの調整で19000円前後、深めの調整なら18700円前後まで押してもおかしくありません。(『山の中の超相場観』)

※本記事は、『山の中の超相場観』2017年9月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

株価のカギを握るドル円相場の見通しは難解、今週のポイントは?

日経平均は売られ過ぎゾーンだが

先週、底入れで日経平均を見ていたのですが、直近安値を下回り、まだ下押し圧力が継続しています。 原因は想定以上の、北朝鮮によるロケット発射リスクです。

ファンダメンタル的には日経平均PERは9月8日で13.69倍なので、割安感が出ています。テクニカル的には日経平均の25日騰落レシオが77.69。 一般的に80が底水準と見られているので、すでに売られ過ぎゾーンに入っています。

いっぽう東証1部全体での25日騰落レシオは96.51なので、今週、80%台まで下落余地はまだあります。 先週、中小型株にも利益確定売りが入りましたが、まだまだ全体売りになるほど、ショック安は続いていないということでもあります。

為替に関しては、対ユーロや対豪ドルでは円安方向です。しかし対米ドルでは、直近安値を割ってドル安円高が進行しています。4月安値の108.11円(4月17日)を割り込み、先週末107円台に突入しています。

北朝鮮によるロケット発射リスクで安全資産の円買いが進んだという解説がもっぱらですが、ユーロや豪ドルでは大局的に円安方向ですので、9月FOMCで利上げ確率が低いためのドル売り要因が高そうです。日米金利差は9月8日時点で2.0610%と、直近4カ月で最低水準まで小さくなっております。

9月19日~20日が米国FOMC(連邦公開市場委員会)、20~21日が日本で日銀金融政策決定会合が予定されており、そこで日米の金融政策が決まりますので、まだ下押しが続く可能性もありそうです。9月FOMCではFRBのバランスシート縮小、12月FOMCで追加利上げが決定される見方がほとんどなので、「利上げ見送り」がドル売りにどのへんまで織り込まれるかがポイントです。

カギを握る米ドル/円相場

日経平均構成225社の中で輸出企業の今期想定為替レートで最も多いのが1ドル109円です。現在、それを下回って推移しているので、次の四半期業績見通しで下方修正思惑が出てくるのが懸念されます。

もっとも前回の日銀金融政策決定会合で日銀は量的緩和策の継続を決めており、四半期ベースでユーロ円や豪ドル円は直近高値を更新、つまり金融緩和策を通じて円安に動いています。9月8日時点、日本の10年債利回りは-0.01%と0%を下回っております。ある意味、ドル安円高がマイナスの長期利回りの状況下で続くのがおかしいわけですが、北朝鮮ロケット発射リスクによる安全資産の円買いという取られ方をしています。

ほかの要因としてはユーロ高ドル安が続いている影響もあります。9月7日に開催されたECB定例理事会では次の理事会(10月26日開催予定)でテーパリング(金融緩和策の出口戦略)が話し合われ、それまでは現状維持ということに決まりました。あと1か月半後ですが、そのへんを境にユーロ安ドル高へと変化するのであれば、ドル高円安にも動きやすいと思われます。

米ドルの動きと関連性が高いNY金は現在1350.3ドル。直近高値を更新し昨年高値7月6日の1377.5ドルを目指す動きです。9月19日~20日の米国FOMCか10月26日のECB定例理事会までか。ドル安がどこまで続くのかに注意です。

ただし円買いドル売りが北朝鮮情勢の影響が大きいということであれば、今日9月9日が北朝鮮の建国記念日ですので、週末を通過すれば、円高ドル安の動きも限定的になるはずです。しかし、その北朝鮮のロケット発射リスクが週末を通過したことで、なくなるかと言えば、まだ何とも言えない状態です。

Next: 下げ余地を意識も、底打ちは近い?日経平均のリスク要因は2つ



日経平均株価のリスク要因は2つ

日経平均を週足でテクニカル的に見ると、今週下押しはまだ継続しそうです。 浅めの調整で19000円前後、深めの調整なら18700円ぐらいまで押してもおかしくありません。

要因としては前述したとおり、円高がどこまで続くか不透明感がぬぐえない点。そして北朝鮮ロケット発射リスクの2点です。

現在1ドル108円割れで、日経平均構成の大多数の企業が想定する今期為替レート、109円を下回っていることで、次期業績発表で下方修正思惑が出てくることが懸念されます。短期でドル安が終了なら、9月19日~20日の米国FOMCまで、長引けば10月26日のECB定例理事会を目指して、まだドル安が続く可能性も否めません。

そのへんの時間軸で考えると1ドル105円くらいまで調整が進行するのか。それとも現時点ですでに底水準なのか、見通しは難解です。

もっとも、世界的な株価調整の動きにならない限り、東証1部大型株から小型株に至るまで全てのセクターが売られることは、まずありません。 現在、東証1部の25日騰落レシオが96.51なので、日経平均が調整する過程でもう少し売られる可能性がありますが、大底は近づいてきています。19000円前後、あるいは突っ込みが深くて18700円前後まで下げるなら、底入れの音が聞こえそうです。

対策としては日経平均構成銘柄、とくに輸出企業はなるべくはずすこと、大型株より中小型株で今期来期業績見通しが良いところに絞ることをお勧めします。今期来期の1株利益と1株当たり配当が増えるところは、もし株価が押しても時間経過とともに株価は見直されます。あわてず、どっしり構えていけばいいでしょう。毎年2桁増収増益、しかも配当も増え続けるなら投資家は見逃しません。

これは、アウトソーシングの2014年以降の配当と株価をチェックすればわかることです。 こういう銘柄の場合、ドカンと下げたときは、最高の仕込み時になるわけで、スイング投資家が耐え切れずに投げたところを狙っている投資家は多いです。

今週の予定

今週の予定ですが海外は特に大きなものはありません。 木曜中国の8月小売売上高(11:00) 、8月都市部固定資産投資(11:00) 、8月鉱工業生産(11:00)、3つの経済指数は世界の投資家が注目しています。 現在、上海総合指数は最高値水準で過熱感が出ているので、内容次第では大きな調整にならないか注意をしておいてください。

世界の株式市場ですがリスク回避の雰囲気は感じられません。 NY市場は調整の範囲内で長期上昇トレンドは崩れていません。 欧州は主要国は長期上昇トレンドを維持しています。ユーロ経済の中心、ドイツのDAX指数は先週、反騰し、上昇トレンドを維持しています。フランスや英国もしっかりです。

いっぽう、新興国のBricsは堅調過ぎるほど堅調です。 先述した中国以外にも、ブラジルボペスパやロシアRTS指数はテクニカル的に過熱圏に入る買われようです。 東京株式市場を避けて消去法的に投資マネーが入っているのかと疑われるほどです。

米債務上限問題、そして北朝鮮問題の見通しは?

ただし今月末に米国で債務上限問題がありますので、議会承認でもめると、リスク回避の動きが出てきても、おかしくありません。

テキサス州を襲った大型ハリケーン「ハービー」による洪水からの復興問題があるので議会もトランプ政権に協力するという報道もあるので、早期に法案が可決すれば株式市場への影響は少ないですが、月末まで、もめるようであればリスク回避の影響が世界的に出てきます。米国民全体の問題なので恐らく早期に議会通過のめどが立つと予想しています。

最後に、肝心の北朝鮮情勢ですが、いくぶん希望的観測かもしれませんが、しだいにリスクは織り込まれて、北朝鮮の挑発も低下していくのではないかと想定しています。米国が中南米諸国に北朝鮮への経済制裁に協力するよう呼びかけ、メキシコが北朝鮮大使の追放を決定しました。

9月12~25日にニューヨークで行われる国連総会に向けて、この動きは進むものと予想します。水素爆弾搭載の大陸間弾道ミサイルを開発し祝賀ムードの北朝鮮ですが、世界破壊級の武器がテロ組織に流出するのではないかという懸念も当然ありますし、世界的な孤立に北朝鮮は向かっています。ミサイルを使った挑発的行為は徐々に影をひそめていくものと予想します。

続きはご購読ください。初月無料です<残約2,000文字>


※本記事は、『山の中の超相場観』2017年9月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(各種チャート図版や「ヒット銘柄探しの作法 まとめ」)もすぐ読めます。

【関連】洞口勝人の「ザッ 資産運用!」マーケットは最終局面、大変動の直前にある(動画付)

【関連】遂に始まった「波乱の9月相場」秋の大バーゲンセールを見逃すな=藤井まり子

【関連】円高に垣間見える「ドル高の兆し」と北朝鮮問題のありがちな結末=長谷川雅一

山の中の超相場観』(2017年9月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

山の中の超相場観

[月額1,760円(税込) 毎週土曜日(年末年始を除く)]
リーマンショックや東日本大震災の前にショート(売り方)ポジションを取り大暴落を大幅利益に変え、アベノミクス上昇相場が始まる前にバブル崩壊後の日経平均の長期下降トレンドは底打ちしたと判断し買い方に転換。山中株式投資塾がおくる1週間ごとの相場観です。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。