トランプ大統領は1月30日、一般教書演説で規制緩和や減税等の成果を強調しました。就任2年目となる今年は、反動としての財政悪化と闘うことになります。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年1月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
自信たっぷりに語ったトランプ1年目の成果。今年はどうなる?
大きかった規制緩和の効果
トランプ大統領の一般教書演説(State of the Union)を観ています。話し方が静か、落ち着いています。イメチェン、キャラ変したかのようです。自信の為せる業でしょうか。
まぁ、減税の件で、裕福な家の出身であるトランプ大統領に「何千ドルも手元に入る、大金だ」と言われても、何も響きませんでしたけど。
1.5兆ドルのインフラ投資もさることながら、トランプ大統領自身も言及していたように、規制緩和の効果は大きかったように思えます。この1年の株高の理由が、この規制緩和で説明可能なのではないかと思うくらいです。
この辺りがトランプ政権の「明るい面」かと。
NYダウ 日足(SBI証券提供)
トランプ政権の暗い面も
反対に「暗い面」は、規制緩和や減税による財政赤字拡大です。米国債が売られ、長期金利が上昇しているのも、この「暗い面」を少なからず懸念しているはずです。
長期金利上昇に合わせて、米国株も下落しています。これも、この1年ほとんど材料にされなかったトランプ政権の「暗い面」を意識し始めたからではないでしょうか。
ちなみに、長期金利上昇によって、「株から米国債へ」の資金移動を考える人も出て来るでしょうが、10年債2.7%台では積極的な「株から米国債へ」には繋がりません。3%を大きく超えて来ないと現実味は帯びないのではないかと(細かいアセットアロケーションはあるでしょうが…)。
Next: トランプ政権の「明るい面」と「暗い面」が市場で闘いを繰り広げる
足元の懸念は早晩解消されるが…
2017年がトランプ政権の「明るい面」だけに焦点を当てたものであったとすれば、2018年は「明るい面」と「暗い面」との闘いです。足元では「暗い面」が新キャラとして登場したばかりなので、「暗い面」が若干優勢です。
ただし、「暗い面」である財政悪化、借金への懸念は、飲み屋のツケ同様に、時間が経ってから慌てる類のものです。足元の懸念は早晩解消されるはずです。
本当の懸念は…、中間選挙のある11月が近付いて来てからではないでしょうか。
FOX以外のメディアは、トランプ政権の「暗い面」を今後も叩きに行くはずです。しかし、その声を聴いても、これまた昨年同様に、相場では何の役にも立ちません。
むしろメディアの批判が強まって株価が反応でもしようものならば、押し目買いの好機となります。「明るい面」も機能しているのですから。
今回のまとめ
- 一般教書演説、規制緩和や減税等の成果を強調
- 政権の「明るい面」と「暗い面」が市場で闘います
- メディアは「暗い面」ばかり扱うでしょうけど
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『高梨彰『しん・古今東西』』(2018年1月31日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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