本日7月6日の21時30分(日本時間)より、6月米雇用統計が発表されます。米中貿易戦争の行方が注目されるなか、今夜の米ドル/円はどう動くのでしょうか? 雇用統計の展望と有効なトレード戦略を考えます。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
テーマは「FOMCの答え合わせ」。レンジブレイクの有無に注目!
雇用統計より米中貿易摩擦問題?
しつこい円売りでも株価は伸びず、なんとなく円安と株高をセットで意識していた投資家にとっては、ここ1~2週間の動きはチグハグに感じられます。そんな中で迎える今日の雇用統計の展望を考えて行きたいと思います。
トランプ大統領は本日6日の東部時間0時1分(日本時間13時1分)、340億ドル相当の中国製品に25%に追加関税を発動しました。また、さらに2週間以内に160億ドル分の追加関税を課す可能性があり、合わせて500億ドル規模の関税パッケージが実施されることになりそうです。
これまでは言葉だけの応酬でしたが、今日からはいよいよ実態を伴うことになります。中国政府も米国が関税を実施すれば、即座に米国製品500億ドル相当に同様の関税を課す報復措置を講じるとしていますから、それが実施されるかどうかにも注目でしょう。
現段階では、せいぜい500億ドルといった規模ですから、直接的に経済に与える影響は限定的と思われますが、市場心理を悪化させる可能性は高いでしょうから、今日はこれを受けての市場の反応をまずは確認しておきたいですね。
既に織り込み済み、といった声がある一方で、リスクオフ(回避)相場の始まりといった懸念の声も多くあります。株価の暴落、円高という動きが強いようであれば、もはや米中の交渉・対立のテンションが相場のメインテーマとなって、雇用統計云々という話は吹き飛んでしまいますからね。
雇用統計のテーマは答え合わせ!
先月行われたFOMC(連邦公開市場委員会)では、年4回の利上げが示唆されており、ここ最近のドルの押し上げも多少はそういったことが影響しているでしょう。なので、今回の雇用統計でも、とりわけ平均時給がしっかりとした足取りを示すのであれば、一段と織り込まれることになります。
Fedウォッチ(金利先物市場が織り込む利上げの確率)を見る限り、現段階で49.4%となっていますから、かなり織り込みは進んでいるんですけどね。一般に70%以上であればFRB(連邦準備制度理事会)は、実際に行動に移すとされています。
年末までは、まだかなりの時間がありますから、今回の結果が良かったからといって急激にここの数字が高まることはなさそうなので、そういう意味では、これを理由に一段のドル高というハードルも高そうです。
というわけで、今回の雇用統計はあくまで補完的な位置づけというか、あくまでもFOMCの答え合わせといった程度なのかなと。
逆に、予想を下回る結果になってしまうと、先に書いた貿易問題を先取りした影響との認識で、いつも以上に悲観的に受け止められる可能性がありますから、警戒しておきましょう。
Next: 今夜のトレード戦略は? 気になる先行指標も
先行指標は弱めだが、賃金の伸びはしっかり
それでは、いつものように先行指標の結果を確認して行きましょう。全体的にやや弱めの数字となっていますが、前月比+0.3%・前年比+2.7%という賃金の伸びの堅調さが予想されています。

雇用統計の先行指標(※数字は速報値、青は改善・赤は悪化)
特段どうこうという数字はないですが、貿易摩擦に伴う不透明感が雇用に影響するのではないかといった指摘も一部でありましたから、ISMの雇用指数のやや低調な推移は気がかりでしょうか。
とはいえ、それでも50.0といった節目は大きく上回ってますから、しっかりとした雇用が維持されているというのは間違いないように思います。
基本はロング!レンジブレイクがあるかに注目
ドル円相場はずーっとレンジ相場が続いているので、トレード的には悩ましいですね。上下どちらかに放たれるのであれば、それについて行きたいところではありますが…。
ドル円の日足チャート
ここ2ヶ月半、200日移動平均線(110.152円)を中心にして、ほぼ1ドル=109~111円というレンジが続いていましたから、動き出すパワーはそこそこ溜まっていると思われます。
なので、引き続き通常のトレードとしては、レンジ上限付近ではショート(売り)、加減付近ではロング(買い)というのが引き続き基本路線となります。
しかし、今日は通商問題と雇用統計の合わせ技でブレイクという可能性はありますから、それを踏まえたトレードをして行きたいですね。
Next: 基本的には押し目・ロング狙いで。1ドル=110.00~111.50円を想定
基本的には押し目・ロング狙いで
トレードアイデア的には、関税問題で相場が押し下げられていたとしても(110円台を割り込むというような動きが雇用統計前になければ)、平均時給が事前予想並かそれ以上の良好な結果が出れば、ロング(買い)で入りたいところでしょう。
5月高値である111.40円をしっかり抜けていくのであれば、ホールドして利幅を狙っていくというスタンスです。
現状でしつこい円売りもありますし、上昇基調そのものは維持されていることと、よほど弱い数字でも出ない限り年4回の利上げというFRBのスタンスが急に変わることはあり得ませんから、これらを踏まえると110.00円を事前に割り込むといった動きでもない限りは、平均時給の数字がまずまずであれば、ロングで良いでしょう。
また、もしも上抜けが難しいようであれば、レンジ上限で一旦利食いして、レンジ相場を意識したショート・戻り売りもアリだとは思います。
トランプ発言にも要注意
ただ、先ほど書いたように、円売りが続いているため、ショートからというのは少し難しい印象ですね。関税発動で110円台をしっかり割り込んで、平均時給がマイナスに転じるといったショック相場にでもならない限りは、現状で下方向へのレンジブレイクはなさそうです。
こんな感じで、今日は1ドル=110.00~111.50円といったレンジ想定で基本的には押し目・ロング狙いでトレードを進めて行きたいと思います。
ちなみに、先月はトランプ大統領が雇用統計発表前に結果を匂わせるツイートをしたことで、事前にドル円が上昇するなど織り込み済みとなりましたから、今晩もしっかりツイート(@realDonaldTrump)を監視しておきましょう。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年7月6日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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