米連邦準備理事会(FRB)は18日のFOMCで0.25%の利下げを発表し、2019~20年の利下げ停止を示唆。しかし、トランプ大統領の「根性なし!」との批判を受けてか、パウエルFRB議長は記者会見で追加利下げの可能性を否定しませんでした。市場は期待継続の構えです。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2019年9月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
追加利下げの期待は継続へ。カネ余り・官製相場もまだまだ続く
「0.25%の利下げ」実施へ
FedはFOMCにて、25bpの利下げを実施しました。新たな政策金利の誘導目標は、1.75%-2.00%です。
トランプ大統領は“No guts”とツイート。NYダウも一時200ドル安。
しかしパウエルFRB議長がFOMC後の会見にて追加利下げの可能性を否定しなかったことで、NYダウの終値は前日比36ドル高です。
NYダウ 5分足(SBI証券提供)
全部合わせると、「25bp利下げ、NYダウ36ドル高。ついでにドル円もしっかり、1ドル108.40円」となっています。
米ドル/円 5分足(SBI証券提供)
カネ余り官製相場も継続
FOMC直後の株売りには、Fedに対する失望感を煽る狙いがあったように見受けます。
そして、その煽りをパウエル議長がかわした。世界的な金融緩和が持続する中で、カネ余りによる資産価格の値持ち効果が勝った形です。
申し方ないです。何が仕方ないって、債券にしても世界の中銀が買い占め、その影響が社債市場にも波及、企業は社債発行にて得た資金で自社株買いです。
加えて、日銀も株(のETF)を買い続けています。
市場の価格発見機能なんてありゃしません。官製相場ここに至れりですけど、世界の中銀とケンカしても中々勝てません。毎度の「何でインフレ率は上がらないの?」が解消されるまで、資産価格以外の物価上昇が顕著になるまで、カネ余り官製相場も継続です。
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出来高・売買代金が停滞したまま
日経平均株価は2万2,000円台での地固め、下げ渋り時に仕掛けが入れば一段高もありそうな気配。
ドル円も、Fedの姿勢が玉虫色、というかバラバラな分だけ、リスク選好度の高まりに合わせた堅調地合いです。
景気減速懸念、地政学リスク、はたまた日本では消費税増税間近と、株等のセールストークを妨げるネタがゴロゴロしています。
そのせいでしょうか、出来高・売買代金が停滞したままです。
それでも官製相場は資産価格を押し上げます。WSJには「インデックス投資(パッシブ:余計なことしないで指数の動きに沿ったポートフォリオを作ること)がキング」とありました。「何でも良いから黙って買って寝ていろ」と言われているようで、ちょっとムカつきます。
仕方ないので、もっとムカつく展開「薄商い・多くの人が付いて行けないけど、気付けば値上がり」を念頭に置いて、本日も相場と向き合いたいと思います。
<今回のまとめ>
・米25bp利下げ、FOMC直後は株安も引けにかけて戻す
・カネ余り、官製相場の為せる業
・毎度の「インフレ率が上がるまで続く」をFedも後押ししています
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- Fedも世界的な官製相場に一役買う(9/19)
- 「韓国ウォン=ずっと暴落」に惑わされるよりも(9/18)
- 過熱感を癒すサウジへの攻撃(9/17)
- 曖昧な上げ相場、インフレ率が上がるまで続く(9/13)
- 今日の主役はドイツ市場、と思ったらトランプ…(9/12)
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- ゴムゴムの株高、もう一週くらい(9/6)
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『高梨彰『しん・古今東西』』(2019年9月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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