先週末の日経平均は9時9分にあっさり2万円台に到達し、その後もじり高で推移。大引けにかけ利食いが入りましたが、それでも終値20177円。これは局面が変わった印象です。(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2017年6月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
外国人投資家に続き信託銀行も買い転換、完全に流れが変わった
ようやっとの2万円台回復
ようやく日経平均は2万円台に乗りました。一貫して今年、当塾では日本株に対し強気でした。昨年11月のトランプ大統領誕生以来、強気のポジションを取っています。
ひとつにはトランプ大統領の政策がリスク選好相場を喚起するものであること。もうひとつは世界的な市場環境がリスク選好相場であること。この状況の中、売り方よりも買い方有利と判断し、買い本命を続けています。
トランプ大統領就任以来、株式市場は活況です。昨年11月9日の大統領選でトランプ氏勝利のときは一時大暴落でしたが、すぐに急反騰し、以降、クリスマスまで上げ相場が続きました。
しかしそれ以降、日経平均は持ち合い圏に入ります。上は19600円台、下は18700円台のボックス相場です。
方向感のなさに、うんざりされた方も多かったのではないでしょうか。3月FOMCで利上げが決まりながらも、その後、ドル安円高の動きが進行し、4月にはボックス下限だった18700円ラインをも割って下落が進行したときには、さすがに弱気姿勢に一時変わりかけました。
底なし沼をずぶずぶと日々沈むような動きで、4月17日には1万8224円まで安値をつけたのです。
絶好の買い場だった4~5月の調整相場
4月17日塾内「明日の予想」(14時46分)は以下内容でした。
明日の日経平均は、今晩の米国市場しだいです。本日後場日経平均はプラス圏へ一時戻し、その後、一進一退。売り買い交錯が続き、方向感が見えません。したがって、今晩の米国市場の結果、明日の方向性がわかるでしょう。今晩の米国市場は先週木曜に続き、軟調な地合いになる可能性もあります。優良銘柄に限り粘り強い動きも見られますが、方向性はまだ出ておりません。日経平均のリバウンドがどこで入るか。今週その可能性もあると見ています。日経平均18000円前後まで調整した後でしょうか。14時半の東証1部売買金額は1兆3046億円。東証1部上昇銘柄比率67%。中小型株中心に買い戻されているようです。
その前の相場観は4月15日土曜日配信の週刊メールマガジンです。下押しがまだ続きそうとしながら、以下の内容で書いています。
まだ下落が続く可能性が高いということです。では、いつ頃がセリングクライマックスになるかですが、早ければ来週から再来週にかけて、遅ければGW明けと見ます。
4月14日金曜の終値が18335円。リバウンドは近いとしながらも18000円前後までの調整も覚悟しています。
4月に入り、ボックス圏下限を割り込み、ずるずると下落が続く中、どこで、そろそろ底ではないかと見たのは、まずその予感が4月15日、そして実際、底をつけたのが週明け月曜の寄り付きで、その夜のNY市場が事前の予想を裏切る大反騰、そしてシカゴ先物日経平均が大証比165円高の18475円で、翌日18日は底入れに少し期待をかけています。
しかし、18日の日経平均の動きは高く始まったものの、上げ幅を削る動きが前場一貫して続きました。後場に入ると上げ幅縮小の動きは止まったものの売り買い錯綜の横もみあいで、引け前の「明日の予想」は以下のメッセージを送りました。
「不安面も確かにあるけれども、案外、明日は続伸のような気がしないでもない。NY市場はレンジブレイク的先週末の下落を食い止められたならば(それは今晩にならなければわからないが)、日本もそろそろリバウンドが入っておかしくない。シャープやDDS、ラクスなどが押し目反騰しており、強い銘柄には押し目買いが優勢の動きとなっている。日経平均自体も東証1部空売り比率が40%超えが続いている需給面から考えると買戻し需要も相当大きなものになっているはずで、GW前のポジション解消は買いだけではなく売り方からしても同じ条件であることを考えると、北朝鮮情勢で米国や北朝鮮のチキンゲーム的なピリピリした状況の今が案外「最悪の時」である可能性も考えておきたい。14時45分、1兆5041億円。
※下図「明日の予想1」
つまり、最悪な状況の今が、底ではないか、と結んでいます。底という言葉で明言したのは4月下落相場の中でここが初めてです。
しかしその夜のNY市場が大幅反落、CME日経225先物は18330円、大証比-110円と底見通しの逆風となる内容で、寄り付き、大きく下げて始まりました。しかし下げ幅を縮小させる動きに「後場は売り買い交錯は続くものの底堅さを維持できるのでは」とプラス圏回復を期待。後場、期待通り、プラス圏を回復して、そのまま引ける見通しから、明日の予想で次のメッセージをお送りしています。
続伸を予想。現在東証1部空売り比率40%超の状態が続いているため買戻し需要が発生しているのではないだろうか。日経平均の25日騰落レシオは昨日時点で、66.9と70を下回り、売られ過ぎ状態であることに間違いはない。シャープは日中足、右肩上がりの上昇で+6.9%。有望銘柄にはしっかり買いが入っており、この状況は続きそう。GW明けを待たずに、いい銘柄には押し目買いが入り始めている。明日以降もこの動きは広がるだろう。日経平均そのものに関しては売り買い拮抗するところもあるかもしれないが現在売り飽き状態で、そろそろ買戻しに入るタイミングだろう。14時45分、1兆8260億円。
つまり、明確にリバウンドに入ることを感じ、メッセージを送っています。翌日20日は売り買い拮抗、まだ方向感はこの時点で明らかではありませんが、21日に窓を空けて上昇し、明確なリバウンド開始となっています。リバウンド開始タイミングの予想がピタリ、的中しています。
さて1カ月後の5月18日にNYダウ-372ドルの暴落が起こりました。FBI長官をトランプ大統領が罷免させた直後のことです。しかし当塾ではNY市場の立ち直りは早いと今日の予想で予測し(「FBI長官の首を取られたことに対しての報復だけれども、NY市場はそのうち再び買い戻されるだろう」)、後場予想では下げ幅縮小を予想し、NY市場の暴落は一時的現象にすぎないという見方を取っています。そして明日の予想では反騰を予想しています。この日が大型連休後の最安値でした。
反騰を予想します。5月8日に作った窓を埋めたかたち。ドル安円高で現在、111.20円ですが、ドル円も下げきったと見ています。ただし、トランプ大統領が辞任となると、話は違ってきますが、今日明日そういう話にならないでしょうし、これで世界の流れが変わることはないでしょう。
※上図「明日の予想2」
以上が直近1カ月半の大きな転換期であったことは、チャートで確認いただけるとおり、間違いありません。
以上がこれまでの話。次はこれからの話です。昨日6月2日、日経平均は2015年12月以来の2万円台を回復しました。今年3月、5月にも2万円ライン奪回が期待される上げ相場がありましたが、押し返戻され一時難しい空気もあった中ようやくの出来事でしたが、当塾では木曜、6月1日に到達を予想しています。
日経平均連続足だと、明日は続伸を予想します。ひとまず底割れは防いだと思います。外資の可能性が高そうですが、仕込みを昨日入れて今日、ボラ高めの上昇をしていますので、上へ持っていくつもりなのでしょう。2万円ラインに今度は到達するのかもしれません。
そういう見方をした伏線が、先週水曜5月31日の東証1部売買金額にあります。突然3兆円を超える大商いだったのです。
しかし5月31日までの日経平均の動きはひどいものでした。日経平均を構成する大型株は避け中小型株シフトを推奨していたくらいです。見方が変わったのは翌日6月1日の午前10時です。
日経平均反騰、9時59分、+189円 19840円。昨日、東証1部売買金額が3兆円超えで、これは、いい傾向ですね。つまり、仕込んだのではないかと考えられます。(塾内メール)
11時14分の後場予想では、さらに明確に次の予想をしています。
後場は横もみあい以上を予想します。昨日の東証1部売買金額が3兆円超え。これは、大口の仕込みだった可能性を感じます。シカゴ先物で昨日、大証比10円高の19670円で引けて今日、買われる要因は特に見当たりませんが今日から6月1日ですし、昨日、仕込みが入り、これから反騰を目指す考えかと推理しています。
そして、先ほどご紹介したとおり明日の予想で「続伸か」のタイトルで「仕込みを昨日入れて今日、ボラ高めの上昇をしていますので、上へ持っていくつもりなのでしょう。2万円ラインに今度は到達するのかもしれません」とメッセージをお送りした次第です。
明確な2万円突破で「局面」が変わった
6月2日金曜は19970円で寄り付き、9時9分にあっさり2万円台に到達。そして9時40分台以降は安定して2万円台を推移。11時台に入ると2万100円台を推移。これで安定して2万円台を今後推移するのではないかと、感じました。11時15分配信の後場予想は以下の通りです。
上げ幅拡大を予想します。日経平均は11時9分、+251円 20111円。上へ抜けた感があります。いままでずっと閉塞感があったので、上へ放れていく可能性もありそうです。
後場に入ると予測通り上げ幅を拡大。2万200円台で推移しました。大引けにかけて利食いが入りましたが、それでも終値、20177円です。
局面が変わった印象です。2日後場予想で「いままでずっと閉塞感があったので、上へ放れていく可能性」と表現していますが、一種の持ち合い圏です。この上限を上に放れたので、これまで弱気に見ていた人は見方を変えるしかありません。
直近まで東証1部空売り比率は30%台後半から40%台までの高い空売り比率で推移しており、このまま上へ持ち上げられると売り方は買い戻すしかありません。ぼやっとしていると含み損が膨らむばかりです。上値の天井はありませんので、局面が変わったと見れば、即座に空売りは買い戻す必要があります。
日経平均PERは昨年秋のトランプ・ラリーで16倍台、今年に入ってからの持ち合い圏で15倍台に低下し、現在はさらに低下して、6月2日時点で14.39倍です。
日経平均株価 PER
先週木曜、東証発表の投資主体別売買動向で信託銀行が買い転換しておりますし、今週は機関投資家の買いにも期待できます。
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バブルの萌芽?
というわけで、今週以降は2015年6月高値の20952円を目指す動きになりそうです。そこを抜けると世相的に株式人気となり一般週刊誌などで株の記事が一気に増えるでしょう。バブルのときに財テクという造語が流行しましたが、そういう傾向になるでしょう。
つまり大きな局面の変化を迎えます。その可能性も感じます。
経済のファンダメンタルズで、これまでと何が変わったというわけではありません。金曜のNY市場は上昇したものの、為替市場は1ドル110円43銭まで東京市場比で円高ドル安、シカゴ先物日経平均は大証比5円安とほぼ変わらずの20165円。トランプ大統領のロシアゲート問題や北朝鮮問題など不安材料も取り巻いています。
特にいい材料や市場環境の変化などありません。しかし水曜の東証1部売買金額が前日や前々日の1兆円台、薄商いから急に変わったわけです。シンプルな答えは、ここで大きく仕込んだところが勝ち組だということです。そこから流れが変わったわけですから。状況が一変しました。
投資主体別売買動向が示唆する今後の相場シナリオ
4月第4週の週刊メルマガ「来週の相場展望」を再読いただければと思いますが、当塾では毎週、投資主体別売買動向をチェックしています。
3月まで外資はずっと売り越しでした。ところが4月第1週から買い越しに転じたのです。ポジション転換かと注意してその後も、動向をチェックしていました。日経平均の動きは冒頭詳細に書いた通り、3月までの持ち合い圏下限を割り、底なし沼をずぶずぶと日々沈むような動きだったのです。
そんな中、北朝鮮のロケット発射が起こったのが4月中旬です。株式にとってまさしく最悪の市場環境でした。そんな中でも着々と日本株を3週連続、買い越したことがわかって4月第4週、過激にああいう内容で書いたのでした。
つまり外資は、北朝鮮のロケット発射があっても「今が買い時だ」ということがわかっていたからこそ、バーゲンセールと判断し黙々と買っていたわけです。
というわけで、先週水曜から突然仕込んだ筋がどこか明確にはわかりません。しかし数千億円規模であることは明らかです。それだけ大規模で買い向かえるところは限られています。あくまでも憶測にすぎませんが、そこから流れが変わりましたので、そういうところにも目をつけてマーケットを観察してみてください。
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※本記事は、『山の中の超相場観』2017年6月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(「ヒット銘柄探しの作法その9 長期上昇銘柄検証」)もすぐ読めます。
『山の中の超相場観』(2017年6月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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リーマンショックや東日本大震災の前にショート(売り方)ポジションを取り大暴落を大幅利益に変え、アベノミクス上昇相場が始まる前にバブル崩壊後の日経平均の長期下降トレンドは底打ちしたと判断し買い方に転換。山中株式投資塾がおくる1週間ごとの相場観です。