今週は、前半までは強い地合いが続きそうですが、後半からの予想が難しいです。理由はVIX(恐怖)指数です。今のVIX指数は2016年8月、2014年6月と同じ低い水準にあります。(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2017年1月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
今週の株価・為替展望~週前半は強そうだが後半の予測が難しい
投資家心理はホクホク状態
現在の世界の株式市場の状態を表すのがVIX指数です。S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを表すもので俗称、恐怖指数と呼ばれています。値が高いほど、投資家が現在相場に恐怖を感じ、低いほど恐怖から遠い、安心状態を表しています。
現在の水準は昨年8月、2014年6月と同じくらい恐怖から反対の、株式投資家にとりかなりホクホク状態です。
VIX指数はS&P500指数に関連したものですが、NY株式市場全般の過熱感を見る指標でもあります。この数値が年間で最も低い状態にあるということは、世界的にも現在、株式市場が活況であるだろうことを類推させます。
現に日本をはじめとしてドイツや英国などG7先進国や、それに続く新興工業国、Brics諸国やアルゼンチンなどの後進国の株式市場も強い動きです(ブラジル、インド、中国は押し目反騰)。
世界的に株式市場に資金が流入する状態で、強さの秘密は、ひとつには金回りがよくなってきたからです。ロシアの株価指数を見ると明らかですが、Bricsの中でもひときわ上昇率が高い状態です。
世界3位の産油大国(2014年)ですが原油先物価格が昨年末OPECでの減産合意以来、長期的な底入れを脱したと見られており、現在、安定して1バレル50ドル台を維持しています。名目GDPに占める原油輸出が13.6%と大きなシェアを占めるロシアで原油価格の底入れ傾向が株式市場に影響を与えていることがわかります。
もちろん原油先物価格の長期的底入れ傾向だけが株式市場への投資マネー流入の理由ではありません。最大の原因は昨年11月9日の米国大統領選で勝利した次期大統領、ドナルド・トランプがリーマンショックがきっかけでできた金融規制法、ドッド・フランク法を廃止するとしたことです。加えて大型減税やインフラ投資を公約に掲げています。
従来米国政府が取り続けた小さな政府から180度転換し財政出動により強いアメリカを取り戻そうとする新政権への政策期待相場です。トランプ相場に乗り遅れてはなるまいと世界的に株式市場にマネーが流入しています。
昨年低迷していた商品先物市場ですら底入れ現象の銘柄が増えてきました。シカゴ小麦やNY金が底入れ兆候なので関連するETF銘柄をヘッジで買うのもひとつのアイデアでしょう。
世界的には上述したとおり余剰資金を投資に回す、いわゆるリスク選好相場なのですが、これが目先と長い目で、どのように展開していくかを以下、書きます。
今週の相場見通し
まず短期ですが今週前半までは強い地合いが続きそうです。ですが後半からは予想が難しいです。理由は冒頭ご紹介したVIX指数です。現在、2016年8月、2014年6月と同じ水準の低い位置です。この後、S&P500指数がどうなったかというと翌月、いったん反落しています。つまり調整に入ったわけです。NY市場は現在過熱感が高い状態で、直近、NY主要3指数の動きは絶好調です。NYダウなどは直近持ち合い圏をブレイク上伸傾向なので今週は強い動きになりそうです。
ポイントはその後です。次の動きで上値が重い天井圏の動きになったら、そこでいったん調整に入る可能性が高いと思われます。
6日のシカゴ先物日経平均は大証比185円高の19585円。金曜は反落したのでシカゴ先物に救われました。目先、持ち直すと思います。ただし東証1部25日騰落レシオや日経225PERにピークアウト後の下押し圧力が感じられますので早ければ今週後半にも調整に向かう動きが予想されます。NY市場の強い動きに助けられるなら、あと2週間ほどは強さを維持できるのかもしれません。
しかしそれ以降はNY市場にもいったん調整が入ると見ています。1月20日からトランプ政権がスタートしますので、それ以降はいったん出尽くし売りが入りやすいのではないでしょうか。となると影響を受けやすい日経平均も連鎖して調整が入るでしょう。騰落レシオは現在120P台ですが100P台まで調整するはずです。
もっともNY市場の調整は長期上昇トレンドを壊すほど大きなものにはならないでしょう。過去5年間のVIX指数とS&P500の動きを見る限り、VIX指数が年間最低水準でも上昇トレンドを維持できていますしテクニカル的調整が終了すれば新政権への政策期待から再び上昇トレンドを築いていくと思います。
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なぜトランプはドル高を牽制しないのか?
さて肝心の東京株式市場についてですが2017年という長いスパンで見た場合、青天井と一概に言えない不透明要因があります。すでにご察しのとおり為替です。
1月6日大きな話題(ニュース)になったのがトランプ次期大統領がツイッターに書き込みしたトヨタ・バッシングです。経済団体の新春会合で建設中のメキシコ新工場について記者から尋ねられた社長が建設継続を明らかにしたのですが、それを見たトランプはメキシコで作った車をアメリカに輸入するなんてとんでもない、高い関税をかけるとしたのです。
トランプが大統領選で勝てたのはリーマンショック以降、格差拡大で疲弊した白人労働者階級の支持を集めたからだと言われています。メキシコとの間に壁を作るという公約も、裏を返すと移民に国内労働者の仕事がいかに奪われたかを示唆しているようなものです。
トヨタは即座に、すでに米国内に10の工場を持ち13万6千人の米国人を雇用しておりメキシコ工場は米国人の雇用を奪うことにはならないと声明を出しました。今後の展開に注意していきましょう。
話をもとに戻しますが、米国製造業のためには輸出競争力の面でドル安のほうがメリットがあるのは論を待ちません。ドル高円安が続けば米国内の労働者の雇用は不安定になるかもしれません。
ただ現実としてドル円の動きはトランプ当選後、一貫してドル高円安に動いており、そのことを彼がけん制する言動はありませんでした。おかしいですね。なぜでしょうか。
ドル高を何故彼がけん制しないかというと、彼の政策は再び世界のお金が集まる偉大な米国を復活させるというものだからです。ドル安では米国に魅力はありません。世界のお金が米国に流入し米国国民を豊かにさせるものなら大歓迎です。
不動産王と言われるぐらいの資産家ですからデフレよりインフレを目指していると考えるのが自然でしょう。
というわけでツイッターなどでけん制はするものの米国からの排除は彼はしないはずです。TPPの代わりに二国間通商条約を目指すとしていますが、その中で外国製品に対して高関税をかけるなどしていくのかもしれません。
米国に直接投資を行う企業は大歓迎です。大統領選勝利後、面会したソフトバンク社長が5.7兆円の直接投資を表明したら賞賛したことは記憶に新しいです。
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120円を目指すドル円
ドル円は年内120円を目指す方向と読みます。今年前半に到達する可能性があります。その後は年内、持ち合い圏に入るのかなというイメージです。
日経平均に関して現時点での読みですが短期的には今週後半から調整に入る可能性があるけれども米国しだいで、NY市場が強ければ1月20日前後まで底堅く推移すると読みます。その後は過熱感が高まったNY市場の下押しが連鎖して調整が入るイメージです。
短期の見方は以上です。長期は繰り返しになりますが日米ともにインフレを目指していることから株価は上昇していく確率が高いと見ています。ただし、あくまでも長い期間を要してです(トランプ大統領の在任期間)。
日経平均が短期調整入りなら新興市場に妙味
最後に直近で見逃せない傾向はマザーズやJQグロース指数のチャートが大底を入れている点です。まだまだわかりませんが昨年1-4月期はこれらの市場は強い動きを見せました。ですので、今年も季節的に相性が良いこれらの市場が再び活性化する可能性があります。
両市場には情報通信やサービス業、バイオ医療など為替に影響を受けにくい企業が多くあります。昨年4月以降、下降トレンドが延々と続き、ようやく変化が見えてきた出遅れ銘柄も散見しますので、成長力があり、今年の市場テーマと合致した企業は先回りで仕込み始めていい頃かと思います。
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地合い予想
日経平均は来週も底堅さを維持できるかもしれないが、次第に利益確定売りに押され、代わりに新興市場シフトに移行するイメージ。
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※本記事は、『山の中の超相場観』2017年1月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山の中の超相場観』(2017年1月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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