リスクと成長可能性
事業のほうも、宿泊予約のオンライン化が進む限り伸び続けることが想定されます。もちろん、その後も一度導入したら手放せないシステムとして安定的にキャッシュを生み続けるでしょう。
もちろん、リスクがないわけではありません。
宿泊サイトコントローラーには、リクルートや楽天系の企業が参入しています。資金力では勝ち目がないことから、注視すべきでしょう。
例えば、ブロックチェーンなどでもっと便利な仕組みができたら、あっという間に淘汰されてしまう可能性があります。
また、小規模所帯も一長一短です。コストは最小限に抑えられるのですが、人の入れ替わりもあり安定性に欠けます。何よりも、人材のクオリティ維持が経営陣には求められるのです。
投資家としての視点で見るなら、貯まったお金は貯め続けるのではなく、将来を見据えた新たな事業へ投資して欲しいと考えます。いつまでも投資キャッシュフローがゼロでは、面白味に欠けます。
もっとも、かつて手間いらずの事業を買収し、ここまで育ててきた経営者ですから、その能力はあるはずです。「手間をなくす」というシステムを他の分野へも応用できる可能性はいくらでもあるでしょう。
既存事業の成長と、新規事業への参入という2つの軸で同社の将来性を見ていきたいと思います。
PERは30倍を超えるが、割高とは言えない
株価は順調に右肩上がりをたどっています。業績が大きく伸びているので、当然といえば当然です。

手間いらず<2477> 週足(SBI証券提供)
PERは37倍と、高めの水準となっています。ただし、過去の水準は低くても30倍程度であり、成長性を踏まえると決して割高とは言えず、下がりにくいと言えます。
景気もあまり関係のない事業に見えます。安定した事業・成長性・財務状況のどれを見ても、これからが楽しみな会社です。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年11月8日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。