3月9日には東証一部の値下がり銘柄数が過去最多の98.75%に及ぶなど、まさに「総悲観」の状況です。私たちはどう対処すべきでしょうか?天才投資家バフェットから学びます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
値下がり銘柄数98%の「総悲観」
先週に引き続き、株価は大幅に下がっています。3月9日には東証一部の値下がり銘柄数が98.75%に及ぶなど、まさに「総悲観」の状況です。米国市場でも、10年国債利回りが過去最低水準を記録するなど、完全にリスク回避の動きがピークに達しています。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

NYダウ 週足(SBI証券提供)
状況が悪くない銘柄まで値下がり
個別の銘柄を見ると、状況が悪くないと思われる銘柄まで下がっています。
例えば、リーマン・ショックでも業績がびくともしないキユーピー<2809>ですら、年初から20%も値を下げています。PER的にも20倍と過去の水準から見て決して割高ではありません。

キユーピー<2809> 日足(SBI証券提供)
このような動きを見ると、投資家がいかに企業の業績などのファンダメンタルズではなく、市場の「雰囲気」で売買を行っているのかがよくわかります。
株価が「雰囲気」で動くのは、今に始まったことではありません。おそらく、相場が生まれてこのかたずっとそうだったと言えるでしょう。特に、短い期間で見るほどその傾向が顕著となります。
相場にこのような不安定な要素があるからこそ、素人がいきなり大儲けしたり、逆に百戦錬磨の玄人が不意に大損失を被ってしまったりするのです。それほど、短期の株価の動きは読むのが難しいのです。
だから、初めてから数週間や数ヶ月の成果を見て「自分は投資が下手だ」などと考える必要はありません。その成果は、たまたま良い時に始めたかどうかという「運」に尽きるからです。
しかし、賢明な投資家は、時間を味方につけて運を実力に変えていきます。間違いなく言えることは、成長している企業の株価は長期で見た時に必ず伸びるということです。利益が10倍になったのに、株価がマイナスになったという話は聞いたことがありません。
すなわち、相場の動きが読めないことを前提とすると、私たちにできることは、とにかく成長する企業を買うことです。そうすれば、目の前の荒波を超えてやがてプラスに転じ、そこから大きく伸びることになります。始めたばかりのポートフォリオが含み損かどうかなんて関係ありません。