当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
筆者プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
日経平均株価、5/19大引け時点の理論株価は1万7646円に
今期業績予想のスタート値が固まり、今年度の理論株価がスタート台に
5月の決算発表時期のピークを過ぎたことで今期の業績予想がほぼ出そろい、理論株価は今年度のスタート台に立ったと言えます。5月19日現在の日経平均ベースの予想EPSは135円32銭となり、4月末の123円76銭から約12円、10%の上昇となりました。
決算がまだ発表されない4月時点の業績予想は、実際は前期実績見込みであり、足元で環境が改善していても前期の業績に間に合わなければ、数値的には低迷を続けることになります。こうした足元の環境の改善は今期の業績予想には織り込まれますので、それが5月に一気に顕在化して5月に予想EPSがジャンプアップすることがよくあります。
下図は2009年5月から直近の2016年5月までの日経平均ベースの予想EPSの月末値の推移です(2016年5月は19日現在)。大きく上昇した年の5月はマークしています。
今回(2016年5月)も4月を底に跳ねていることが分かります。
日経平均ベースの予想EPSの推移
2009年5月~2016年5月

(2016年5月19日現在)
足元、米ドルレートが110円近辺で落ち着くとするならば、理論株価は1万7600円台となり、19日の日経平均の終値、1万6646円から1.000円程度上の水準となりますので、上昇のポテンシャルは高いと見ることができます。
ただし、直近の通常変動の下側は1万6616円で日経平均は通常変動の範囲内にあることから、上昇圧力として顕在化するまでには至らず、日経平均は上昇機運を抱えながら比較的おとなしい動きを見せる可能性が強そうです。
今期の予想EPSのスタート値が135円で固まったことで、今年度の相場評価がスタートを切ったと言えます。
Next: 詳細グラフ:理論株価の推移/変動範囲の上限・下限/直近5日間のかい離率