雇用市場は引き続き弱く、サプライズの悪化も
先行指標に目を向けると、経済状態は決して悪くはないものの、雇用市場そのものは厳しい状況が続いていると言えそうです。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)
ISM(米供給管理協会)の発表する景況指数において、製造業の雇用指数は改善傾向を示しているものの、それ以外は悪化傾向となっています。
特にADP社の発表する雇用調査レポートは、雇用者数の増加が+8.8万人増という予想に対して、−12.3万人減と非常に悪い数字でした。多くの企業が雇用を増やすより、減らしていることが明らかになりました。
やはりFRBの2大責務は物価の安定化と雇用の最大化ですから、雇用市場の回復が進まないのであれば、長期的な緩和政策が継続しやすいとの意識で、過度なドル高にはなりにくいと考えられます。
逆に、これら先行指標の悪化をものともせず、雇用の回復が想定よりも堅調という話になれば、早期の緩和縮小意識によるドル買い戻し、さらには米国経済の回復を先取りする形で株価も上昇しますから、円売りも合わさって一段高になる可能性がありますので、警戒が必要でしょう。
強い数字が出れば反発のきっかけになりそうなだけに警戒!
今のところは良いとこ取り、都合の良い解釈でドルの買い戻しが進んでいることに加え、これまで急ピッチでドル安が進んできたことの反動があると考えています。
今後、持続性のあるドル買い戻しに繋がるためには、やはり予想を上回る雇用統計の数字が必要になってくると考えています。
ADPが発表した雇用者数など、先行指標は全体的に下振れ気味ですから、マーケットは非農業部門雇用者数がマイナスに落ち込むことも想定しているかもしれません。
市場の期待値は低そうですから、前回並み、+20万人増に近い数字が出れば、かなりのサプライズとなり、ドル円の上昇に繋がることになるでしょう。
一方で、非農業部門雇用者数が予想未満、マイナス圏に沈むというのであれば、FRBによる早期の金融引き締め観測は遠のくわけですし、場合によっては追加緩和という期待につながるため、ドルの買い戻しが一旦ストップすることになりそうです。