2. なぜ「投機」は存在するのか?
何も、投資だったらすべてがよくて、投機は全部悪いという意味ではありません。
たとえば為替などにしてみても、よく海外で大きなお金を動かしている人たちのことを、「ハゲタカファンド」と呼んだりしますが、そういう人たちが頻繁に売り買いをすることによって、市場に流動性が生まれています。現在、世界中でお金が滞りなく流通しているのは「彼らの存在があるから」という一面を、否定はできません。
お金は、動かなければ価値を生まないからです。
ハゲタカファンドの行動がいいか悪いかは、立場によって見方が変わりますから、一概にはいえませんが、確かなことは、それらを含めて「世界経済が成り立っている」ということです。もし、投機が本当に不必要なものなのであれば、市場によって淘汰され、やがては消えていくはずです。
僕らが「自分には関係ない」と思っているものであっても、存在している以上は、さまざまな影響を受けざるをえないのです。
確かにある意味、投機の方が、桁違いのお金を増やせるチャンスはあるかもしれません。以前のメルマガで「ボラティリティ」の話をしましたが、覚えていますか?
簡単におさらいすると、ビットコインなどの小さい市場の方が、比較的短期間の間にボラティリティが大きくなり、「差益」が生まれやすくなります。今は、ビットコインなどのデイトレード市場も誕生しています。
ボラティリティのお話をしたときに、「小さい市場では、故意にボラティリティを引き起こし、差益で儲けようとする者がひしめいている」ことをお伝えしました。「投機」とは、そうした「操られやすい」市場に参入することを意味します。つまり「見えないリスク」です。
ところが、同じ市場であっても、長期的目線から「ビットコインの未来に賭けたい」という、「投資」の立ち位置からの参入も可能で、その際は「仮想通貨の将来性」が「見えるリスク」となり、さらに時間が味方へと変わります。
投資の場合は、未来の可能性が高ければ高いほど、それが「保全」の役割を果たしてくれるのです。
3. 自営業者(S)と投資家(I)の違い
ここまで、投資と投機の違いは、ご理解いただけたかと思います。続いて、「自営業者」と「投資家」の違いについてです。
ロバート・キヨサキ氏が提唱した「キャッシュフロー・クワドラント」については、これまでにも何度かとり上げてきました。内容は、「世の中のすべての職業はE(従業員)、S(自営業者)、B(ビジネスオーナー)、I(投資家)の4つに区分けできること」、「収入を得るのに、EとSは時間を使い、BとIはお金を使っていること」「E、SとB、Iの間にはキャズムという溝があること」などでしたね?
なぜ、またここでクワドラントの話を出したかというと、「自分は投資家だ」と思っている多くの人が、実際は投資家ではなく「自営業者」だからです。ここまでお読みいただいた人は、もうお分かりでしょうが、「株を売買している」「FX取引をしている」だけでは、必ずしもその人たちを「投資家とは呼べない」ということです。
たとえば、デイトレーダーをやっている人などはその典型だと思いますが、彼らは自分の時間を使い、画面を見ながら注文を入れています。最近は、スマホやタブレットがありますが、そうなる前は、トイレの中にもパソコンを置いておくのが、割と普通に行われていたといいます。
現在は「オートトレード」という、自分で決めた金額に到達したら「売る」「買う」など、事前に指示出しをしておき、自動で取引を行ってくれるシステムも開発されてはいますが、その裁量は、自分で決めなければなりません。デイトレーダーとは明らかに、仕事としてはS(自営業者)の領域です。
もちろん「Sだからダメ」とか「Iだからいい」とかいうことはありません。Sでもたくさん稼いでいる人はいるし、Iではちっとも稼げていない人もいるでしょう。どのような人生が理想なのかは、人によりさまざまです。
ただ「トイレの中でも、スマホでトレード画面とにらめっこ」をすることが、「本当にあなたが目指しているゴールですか?」ということなのです。
オススメしたいのは、いつできるかは別として、「自分はこうありたい」という、クワドラントのポートフォリオも決めておくことです。
4つのクワドラントには、それぞれ特徴があります。たとえばEとIは比較的参入しやすく、Sは技術が必要で、Bはもっとも参入し難い、などです。目安のひとつとしては、自分が気になってドギマギするような投資は、自営業の領域だということです。
そうしたクワドラントの特性と、自らの能力、目指す姿などを考慮しながら、最終的には、どういう力配分で生活していきたいのかを、今のうちから思い描いておいた方がいいと思います。なぜなら、こうしたことは、一朝一夕に思いつくことはできないからです。普段から、考えておくことが重要なのです。
「自分が生涯、目指す収入の比率と、どことどこのクワドラントから、どれくらいお金を得たいのか?」
以後はぜひ、クワドラントのポートフォリオを念頭に置きながら、将来設計をしていって欲しいと思います。
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