ウクライナ戦争をきっかけに各国でロシアルーブルと人民元による決済が増加しており、脱ドル化が加速している。この機会を逃さぬ中国・ロシアによる新しい国際決済通貨の導入で、近い将来金融危機が起こる可能性がある。この新基軸通貨は、新興国と発展途上国であれば、かならず導入せざるを得ない状況にあるのだ。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』2022年8月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め 今月分すべて無料のお試し購読 今月分すべて無料のお試し購読 をどうぞ。
ロシアルーブルや人民元による決済が増えている
中ロによる新国際決済通貨の導入で起こる可能性のある、次の金融危機について解説したい。
ウクライナ戦争による対ロシア経済制裁の発動以後、ドルではなくロシアのルーブルや中国の人民元による決済があらゆる国で増えている。
ロシアは、ウクライナ侵攻に絡んで指定した「非友好国」に輸出する天然ガスについて、代金をルーブルで支払うよう求めている。EUはルーブルによる決済を拒否したため、ロシア国営エネルギー企業のガスプロムは、自国とドイツをつなぐパイプライン「ノルトストリーム1」で天然ガスの供給を80%削減した。またラトヴィアに対しては、ガス供給を完全に停止した。これは同国のエネルギー消費の27%に相当する。
これとは対症的に、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は、ロシア産ガスに対する支払いの一部をルーブルに切り替えることで合意した。両首脳は5日、黒海のリゾート地ソチで4時間にわたり会談し、輸送業、農業、建設業で協力を強化することでも合意した。また、ロシア産穀物の無制限輸出などに関する協定を確実に実施する必要性を強調した。
また、中国の人民元とロシアのルーブルの取引が爆発的に増加している。特に人民元の成長が著しい。ロシアが「友好国」とみなす国々がドル決済を回避しているので、人民元とルーブルの取引は1,067%も増加している。また、インドもルーブルやルピーによる決済を検討している。
新国際決済通貨導入の動き
このように、ウクライナ戦争による対ロシア経済の発動以降、ルーブルや人民元を使って決済を行う脱ドル化の動きが確実に加速しつつある。
そうしたなか、中ロによる新国際決済通の導入が現実化しつつある。しかし、その本格的な導入は既存のドルベースの世界経済の体制を揺るがせ、最終的には金融危機を引き起こす可能性がささやかれている。
新国際決済通貨導入への動きを見るためには、時計の針を2カ月ほど前に戻し、今年の6月に開催されたロシアと中国が主導する2つの国際会議を見る必要がある。
そうすると、新国際決済通貨の導入が新たな金融危機を誘発する可能性が見えてくる。
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