切り替えの必然性に疑問
その新札への切り替えも、本来的には偽札づくりのリスクが高まった時に、より偽造ができないようなハイテクを生かした紙幣に切り替えるのですが、今の紙幣には必ずしも偽札づくりのリスクが高まったわけではありません。
その点では今なぜ新札への切り替えが必要なのか、必然性はありません。
むしろ、新元号のお祝いムードに便乗した夏の選挙向けの花火打ち上げのようなもので、レガシーらしきものがない安倍政権が、躍起になって「実績作り」をしようとしているように見えます。
新元号の発表でも、安倍総理が必要以上に前面に出て、メディアもこれをとりあげ、キャンペーンに協力していました。新札提案もその流れと見られます。
キャッシュレスとの矛盾
その政府は、一方でキャッシュレス化を進めようとしています。
いずれキャッシュレスになるなら、新札への切り替えの意味もなさそうなもので、矛盾を感じます。しかし、今の日本では、新札への抵抗よりも、キャッシュレス化への抵抗のほうが強そうで、この矛盾の向かう先は、信頼できるキャッシュをベースにした制度となりそうです。
新札への切り替えは、日本でのキャッシュレス化を考える良い機会となりました。
日本でのキャッシュレス化には、次の2点を考える必要があります。
1つは、なぜ中国や韓国に比べて、日本ではキャッシュレス化が進まないのか。第2に、それと関わりますが、現金決済とキャッシュレス化とではどちらのリスクが大きいか、という点です。