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若者に支持された安倍政権と「不都合な真実」を伝えないメディアの責任=斎藤満

不都合は国民に知らせない

若い人が安倍政権を支持する背景に、政府の雇用拡大を評価し、自分も職にありつけた点を挙げる人が少なくありません。

これは否定しませんが、安倍政権は都合の悪いことはあえて国民に伝えない、ないしは隠すようにしています。特に使途を問われない官房機密費をふんだんに使い、メディアをコントロールしています。このため、NHKをはじめ、主要メディアのなかには政府の広告塔になっているものが少なくありません。

つまり、政府に都合の悪いことは報道せず、政府に良いことだけ伝える傾向があり、情報に偏りがあります

実際、政府は雇用賃金の増加を盛んに強調していますが、雇用創出の過半は「非正規雇用」によるもので、非正規は今や全体の4割近くに達しています。その平均年収は170万円余りで、正社員のおよそ3分の1でしかありません。しかもその多くは会社が社会保険料を負担していません。

社会保険料負担も含めて、企業の人件費負担を軽くするような雇用制度を政府が率先して進めてきました。この結果、職には付けたものの「ワーキング・プアー」をたくさん生み出し、将来の無年金者を大量に排出しています。将来の年金不安を政府自ら作り出している面があります。賃金は統計が操作されていて、実際には実質賃金が何年もマイナスとなっています

企業は最高益を更新するなど富み、労働者は実質賃金の低下、労働分配率の低下を余儀なくされ、年金の実質減額で高齢者の生活も貧しくなっています。これらは一般メディアが報じません

外交の失敗、有志連合への参加

世に「外交の安倍」「トランプ氏と話せる唯一の総理」とか持ち上げる声がありますが、現実は異なりそうです。

年間に何度も外遊をし、トランプ大統領とは3か月で3回も会談し、ロシアのプーチン大統領とも数えられないほどの回数、会談しています。

それでいて、日米通商交渉では自動車や農業での米国の厳しい要求を飲まされ、日米安保は米国にとって不公平だと言われっぱなしで、米軍基地の問題や地位協定の不公平など、日本から見た不公平についてはモノが言えない関係のままです。

ロシアからは一向に北方領土問題の交渉が進まず、いまだにロシア国民は「北方領土返還に反対」を貫いています。

韓国とは外交の失敗から、レーダー照射旧徴用工問題などで「堪忍袋の緒が切れた」として感情的に反韓国ムードを煽っています。中には韓国との国交を断てとの議論まであり、第二次大戦につながった戦前の対中国強硬論と似た面があります。

そのすきを縫って、北朝鮮は短距離ミサイル発射で日韓を揺さぶり、中国ロシア軍も尖閣から日本領空を脅かしています。

米国はホルムズ海峡などでの船舶護衛に、有志連合への参画を日本に求めています。韓国はすでに軍の派遣を決めましたが、日本は自衛隊を派遣し、長年の友好国イランとの交戦も辞さないのか、重大な判断を求められています。

日本の外交はいよいよ危機に直面しています。

Next: 事実を知った若者を何を想うか?伝えないメディアにも責任がある

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