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肥大化したM&Aの出口戦略は継続か…ライザップがぱどのディスカウントTOBに応じた背景

<2.RIZAP>

2019年3月期:連結経営成績において大きく赤字を計上。過去1年以内に同社グループ入りした企業・事業を中心に経営再建が当初の見込みより遅れていること、また、在庫や不採算事業の減損等、構造改革関連費用を含む非経常的損失等を計上したことが主な理由。

⇒ 当社は、RIZAPが今後の中心に据える美容・ヘルスケア分野とビジネスモデルが異なるためシナジー効果が必ずしも高くないこと、協業の効果も限定的であったことから、同社主導による短期的な収益改善が難しいと判断し、事業の整理・売却等を検討

<3.畑野幸治氏(「公開買付者」)>

・大学在学中:インターネット広告関連の事業を行う(株)Micro Solutionsを創業し事業売却

・公開買付者は、連続起業家として複数の起業を行い、新しい事業を生み出し事業を拡大させてきた経験がある

2019年10月中旬:RIZAPにサンケイリビングも加えた応募予定株主に対して、当社株式の取得に関する基本方針を説明したところ、本応募予定株主からも当該基本方針に関し前向きな返答があったことから、TOB価格を含む諸条件について金融機関を通じて協議・交渉を複数回にわたって行った。

10月下旬:応募予定株主に対し、2020年3月期第2四半期決算の業績を踏まえ当該市場価格から一定のディスカウントを行った価格とする旨の提案を行った。

11月6日:応募契約を締結し、TOBを実施することを決定

<4.株価推移(TOB価格:170円)>

11/1 206円、11/5  213円
11/6 211円、11/7 204円

RIZAPグループは6日、フリーペーパーなどを発行する子会社のぱどを売却すると発表した。M&A(合併・買収)アドバイザリー企業などを経営する畑野幸治氏がTOB(株式公開買い付け)で、RIZAPと同社の子会社が持つぱどの株式(発行済み株式の72.5%、約24億円)を取得する。ぱどは2019年3月期に最終赤字となり、業績が低迷している。TOBの期間は11月7日から12月4日。成立すればRIZAPに10億円の株式売却益が発生し、20年3月期の連結決算に計上する。

出典:RIZAP、子会社ぱど売却へ‐日本経済新聞(2019年11月7日公開)

<感想>
本件は、RIZAPの事業の選択と集中の結果、肥大化したM&Aの出口戦略として、ディスカウントTOBに応じることにしたもの。

過去、何件もディスカウントTOBで株式を取得してきたRIZAPが逆に応募する立場になるのは何とも皮肉な結果であるが、今後も、その種の案件が継続するものと思われる。

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image by : Atstock Productions / Shutterstock.com

元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2019年11月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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