長期投資は期待値がプラスのゲーム
それでも、多くの人は短期的な利益を求めてしまいます。これは、目の前に食べるものがあったら食べるという、原始からの人間の習性とも呼べるものです。
だからこそ、長期投資には優位性があります。
多くの人は目の前の利益に目がくらみ、一方で将来のリスクを恐れます。そのため、株を持ち続けることを敬遠する傾向があるのです。
ここに利益の源泉が生まれます。学術的にはこれを「リスクプレミアム」と呼びます。リスク(人が嫌うこと)を取ったからこそ得られるリターンです。これがあるからこそ、長期投資は普遍的に期待値がプラスのゲームとなるのです。
バフェットは、かつてAmazonのジェフ・ベゾスとの会談で次のようなことを言いました。
ベゾス「なんでみんなあなたの投資戦略をマネしないんですか?」
バフェット「誰もゆっくり金持ちになりたいひとなんていないよ」
一度買ったら売らない投資
長期投資をする理由をもう一つ挙げるとすれば、精神衛生上の安心があるでしょう。
「この株(企業)は大丈夫なのか」
「どれくらい下がったら損切りすべきか」
「上がっている株を売ったほうが良いか」
こんなことを考えていてはおちおち夜も眠れなくなってしまいます。
しかし、株価の動きはランダムです。そんなものをいくら気にしても、お金持ちになれるわけではありません。
一方で、良い企業は時間とともに利益を積み上げ、その価値を増やしていきます。すなわち、良い企業を持っていれば、株価の動きなど気にせずとも、勝手にあなたの資産は増え続けるのです。
このような企業でポートフォリオを作っておけば、夜も安心して眠れ、いつの間にか資産が増えていたという状態を作ることができます。一度買ったら、売ることなど考える必要がない株を選ぶことこそが、長期投資家の仕事なのです。
たとえ証券取引所が10年間閉鎖されることがあっても喜んで持ち続けたい銘柄だけを買いなさい。
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image by: Nada Sertic / Shutterstock.com
『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年11月29日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。