相場は短期的には上へも下へも動きますが、長期的な傾向は一貫しています。このトレンドを形成している要因が、「経済成長」と「リスクプレミアム」です。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
経済成長が進めば進むほど、両者の経済格差は拡大する
長期でみれば、米株は一貫した長期トレンド
相場は短期的には上へも下へも動きますが、長期的な傾向は一貫しています。
例えば、目下最高値を更新し続ける米ダウ平均株価は戦後70年間で150倍以上になりましたが、この間短期的なブレを除けばやはり上昇が続いています。
私たち長期投資家はこの一貫したトレンドにベットしているのです。

出典:チャート全体像イメージ‐BaseViews ※リンクから拡大チャートが見られます
「庶民」と「資本家」の明確な違い
このトレンドを形成している要因が、「経済成長」と「リスクプレミアム」です。
「経済成長」は文字通り経済が成長し、株価を形成するファンダメンタルズが改善することを意味します。他方「リスクプレミアム」とは、「将来のことはわからない」と考える投資家心理によって株価が常にディスカウントされるため、経済成長に対して上乗せされるリターンです。
数年前に話題になった『21世紀の資本』(トマ・ピケティ)はこのことを論じています。
この本の主題は「r>g」つまり、資本利益率(r)は経済成長率(g)を上回るということです。そのため、資本主義社会においては資本の成長が経済成長を上回り、金持ちはより金持ちになるという理論です。
格差社会が問題になりますが、これを見ればどういうことかわかるはずです。資本を持たない人は経済成長程度の果実しか得られませんが、資本家は複利によって時間が経つほど経済成長以上の果実を得ているのです。これでは、格差が拡大するのは当然と言えます。
すなわち、私たちが経済的に豊かになろうと思ったら「資本家」を目指すことが明確な答えとなります。株式投資はその最たるものです。
実際に「お金持ち」とされる人は一様に株式や不動産でお金を増やしています。会社を経営している人もいますが、それも「資本」の一種と言えるでしょう。
もともとお金があるからこれらを買うという側面もありますが、その後さらに株式や不動産で資産を増やし続けているのです。つまり、金融資産はさらにお金を生むのです。