現金はただの紙くずになる危険性がある?
こうした流れを加速させたのが、新型コロナウイルス問題です。
感染拡大の影響が現れ始めてから、わずか数ヶ月の間に、世界では総額11兆ドル、日本円にして約1160兆円もの財政出動が行われました。
この財政出動が世界のGDPに占める割合は、2009年に世界金融危機が深刻化した際の2倍以上だとも言われています。
現在も、感染症の収束は見えていません。専門家の間では、年単位の時間がかかると言われています。国の財政政策にも限りがある以上、支援が打ち切られれば、信用不安から経済危機が起きる可能性もあります。
万一、国家が財政破綻に陥るようなことがあれば、私たちのお金がただの紙くずになってしまう可能性も否定できません。
以上が最近、金が値上がりしている背景です。次から、主な金投資の方法や、それぞれのメリット・デメリットを見ていくことにしたいと思います。
「金を保有することはコストである」という現実
金投資には、いろいろな方法があります。代表的なのは「地金(じがね)」「金ETF」「ステーブルコイン」の3つです。
まずは地金ですが、これは金の現物を購入することです。有名どころだと、田中貴金属や三菱マテリアルなどの地金商から購入することができます。
地金を購入するメリットは、「自分の手元に置いておける」ことだと一般的には言われています。
しかし実際は、金を手元に置いておくことは現実的ではありません。本当に手元に置くとなると、保管のための金庫などを購入する必要があり、盗難や災害などにも気をつけなくてはなりません。
より手軽な金現物としては、純金積立などがあります。少額からの購入も可能です。購入手数料が2~3%前後かかります。
金は日本ではモノ扱いとなり、購入時に消費税が別途10%かかります。売却時にも消費税がかかるので、最終的に売却金額分の消費税は戻ってきますが、保有している間は返ってきません。購入先で金を保管してもらう場合は、さらに保管手数料がかかります(半年で3,000円前後~)。
このように、金は保有しているだけでさまざまなコストがかかります。しかも、利回りなどは一切付きません。基本的には、売却差益のみとなります。