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「まるで桃鉄」三井不動産、東京ドームを1205億円で買収。巨人軍は念願の球場自前化へ

三井不動産が東京ドームに対して株式公開買い付け(TOB)を実施する方針を固めたと報道され、大きな反響を呼んでいる。

各社の報道によると、株式会社東京ドームはプロ野球・読売巨人軍の本拠地である東京ドームをはじめ、その周辺の東京ドームシティアトラクションズや東京ドームホテルなど、都心を中心に多くの資産を所有。買い付け価格は1株1,300円で総額1,205億円での買収となる。

現在東京ドームは、経営方針を巡って大株主である香港ファンド「オアシス・マネジメント」と激しく対決しており、ファンドからは一部経営陣の解任を要求する株主提案を受けていたという。東京ドームは今回のTOBに同意する方向で、三井不動産は事実上のホワイトナイトとなる模様だ。

東京ドームへのTOBというインパクトのある話だけに、ネット上でも大きな反響が。なかでも、つい先日に最新作が出たばかりとあって「まるでリアル桃鉄」と、人気ゲーム「桃太郎電鉄」となぞらえて驚きの声をあげる方がかなり多かった。

球場の自前化がトレンドのなか巨人は…

今回三井不動産がTOBを実施するということで、ネット上で多く見られるのが「東京ドームにららぽーとが?」という反応。なかには「ドームを潰して作ろうぜ」といった声もあがっている。

東京ドームといえば、日本初の屋根付き球場として1988年に開場。すでに誕生から30年以上が経ち、最近では老朽化も指摘されることもあって、最近は球場の移転話もまことしやかに囁かれていた。

読売グループとの関係性が深い印象のある株式会社東京ドームだが、実際のところは直接の資本関係はなく、巨人は年間30億円ともいわれる球場使用料を払って、東京ドームを借りている。ただ、最近では阪神やソフトバンクなどのように自前で球場を所有、あるいは所有こそしないものの球場の管理や運営を担い営業権を握るといったような、球団と球場の一体経営がトレンドに。現に日本ハムは、高額な球場使用料がかかる札幌ドームから離れ、近隣の北広島市に建設中の自前球場への移転を進めている最中だ。

巨人としても球場の自前所有は宿願だったようで、豊洲への市場移転で空いた築地、あるいはNHKのほど近くの代々木公園周辺など、様々な移転先が噂された。ところが実際に話は一向に進まず、今年7月には巨人と東京ドームが総額約100億円をかけて東京ドームの大規模な改修を行うと発表。

これによって、巨人の東京ドームからの移転は当面無くなったと見られていたが、今回の買収によって、その状況がどう変化するのか。それこそ今の東京ドームがららぽーとになり、巨人は玉突き的に新球場移転へと向かう可能性もあるのか。

……と、そんな想定もされるなか、27日夕方に報じられた記事によると、三井不動産はTOBによる買収の完了後、東京ドーム株の20%を読売新聞グループ本社に譲渡するとのこと。なんとも想定外な方法で、巨人は球場の自前化を果たす格好となったようだ。

「松戸がタワマンに?」心配する競輪ファン

いっぽうで、今回のTOB話に対して野球ファンと同様に気を揉んでいるのが競輪ファンだ。

千葉県松戸市にある松戸競輪の運営を担い、またその土地も所有する「松戸公産」という会社。これが実は、株式会社東京ドームの完全子会社なのだという。

今の東京ドームのある場所には、かつて後楽園競輪という競輪場があったが、それ自体は1970年代に休止となった。しかし、その後建てられた東京ドームは、組み立て式の自転車競技用トラックが設営できるよう設計されるなど、競輪復活の可能性も多少は想定されていたようだ。東京ドームが松戸公産を子会社にしたのも、その時に備えた競輪場運営のノウハウを蓄積するため、といった目的もあったという。

そんな松戸競輪だが、なんと常磐線北松戸駅から歩いて5分もかからないという好ロケーション。北松戸という駅自体、東京駅から40分ぐらいの距離とあって、全国の競輪場のなかでも比較的集客力のある場として知られるが、それは逆にいえばタワーマンションなどの立地条件としてもバッチリということ。そこを競輪ファンは大いに心配しているようなのだ。

このように大きな波紋が広がる形となった今回の東京ドームへのTOB。野球ファンのみならず競輪ファンにとっても幸せな方向に進むことを願うばかりだ。

Next: 読売ジャイアンツはこれで一応自前球場?

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